まともになろうったって

気づいたら橋の欄干の上にいた。
迷うことなく飛んだ。

ざぶーん!ってなると思ったら水深が浅く、ドンという着地音と同時に、背中に走る激痛

ずぶ濡れの体で「こんなところで死んでたまるか!」と叫びながら川沿いまで這い出た。

死にたくないならなぜ飛び降りた。自分でもわからん。アルコールと処方箋のせいだ。

川沿いで動けなくなって悶えていた。
季節は11月下旬夜、寒い。震えてくる、アスファルトに寝転びながら、大声でわめいた。ポケットにいれていた2000円札を出して、「このお命救ってくれたら2000円差し上げますよ!」と叩き売りコール。だんだん周囲に人が集まってきた。近隣住民は布団をかけてくれた。

「救急車呼びますか?」若者の声、たのんますー救急車がつくころには握っていた2000円は誰かに引き抜かれていた。

近くにずっといてくれた若者に「ありがとうございますお名前は?」と聞くと「しょーたって言っとけ」と聞き覚えのある乾いた声がした。しょーたは親友の倅の名前だった。その時現場に親友がいたかどうか未だ確認できていない。

救急車の中でアルミホイルみたいのを巻かれてヒーターで暖められた。

病院につくとすぐにct にいれられ、痛い痛いわめきつづけ、病院から呼び出された親に「どーせなら殺してくれりゃ良かった」と吐き捨て、ならなぜ川岸に上がった、人を呼んだ、救急車を呼んだこのムシケラが、自己批判の声。


とにかく冷静ではない状況で、病室に運び込まれた俺は眠る薬を打たれた。

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