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【読書メモ】「韓非子」を見よ!(守屋洋)【#52】

韓非子の解説書です。岩波文庫の韓非子が4冊セットで、かなりボリュームがあるので、その前に読んでおこうと思って書いました。とってもよかったです。

西のマキャベリ、東の韓非子と言われますが、そういえばマキャベリを読むときも「君主論」の前に「よいこの君主論」を読みました。難しい本をいきなり読むより、入門書を軽く読んでおくと理解が深まります。

裏表紙に韓非子の言葉が書かれています。これが一番韓非子の考え方を表しているのではないかと思います。

人間を動かしている動機は、何か。愛情でも、思いやりでもない、義理でも人情でもない。ただ一つ、利益である。人間は利益によって動く動物である。

元々は、荀子の性悪説を推してました。「人の性は悪なり、その善なるものは偽(ぎ)なり」(『荀子』性悪篇)ということです。孟子の性善説とか、おめでたい考え方で、特に今はそんなことを考えていたらカモにされると思っていました。キングダムを通して、もう一度「法家」についてちゃんと勉強しようと思って調べてみると、やはり韓非子の「清濁、併せ持ってこその人間である」というはリアルです。

韓非子自体は非常長いので、この本の目次を紹介します。一読してあれば、この目次を見返すだけでも、あ、あれね。という風に復習になります。

目次
第一部 人間通になる!
早めに、手を打つ
ーー形になる前に、動きを察知して対策を講じる
  人はまず利益で動く
  小さなことに注目し、大局を読む
  火種は「ボヤの段階」で消す
自分に対する信用を高める
ーー傲慢は「自分の進歩」もとめてしまう
  ただ一度の嘘で信用を失うことがある
  「嘘をつくこと」を否定しない
  利害関係がからんできたとき?
まず相手の心を読んで、対応せよ
ーー怒りを買わず、言いたいことを十分に伝えるには
  「相手の意向を汲みながら」がポイント
  問題は相手が「その言葉をどう受け取る」か
  「自分は相手にどう思われているか」を知る
顔色を見る、心を読む
ーー「本心はどこにあるか」を見極めよ!
  「心ここにあらず」をずばり言い当てた男
  「知っていても、知らないふり」
  その”才気”を買われたはずが・・・
勘所さえ、押さえればいい
ーー大所高所より、目を配れ!
  相手の「善意」に期待をかけるな!
  組織掌握術の柱ーー「法」と「術」
  ”じたばた””あくせく”せずに、力を引き出す法
自己満足に陥らない
ーー「頑張る」のは、自分ではなく部下
  権限は手中に「がっちり」おさめておく
  申告と実績の不一致には、相応の罰を持って臨む
  好き嫌いを顔に出さない
人を信じ過ぎない
ーー手足をもがれないために
  人を見る、察する、見抜く!
  一見、極端な話のようでありながら・・・
  「実は、敵は内部にいる」
気を許し、隙を見せない
ーー相手の「六つの思惑」を見破れ!
  権力の座に甘え、のほほんとしていると
  単純だが説得力のある、この「ものの見方」
  相手の思うままに墓穴を掘るな!
「欲」、一色に染まらない
ーー目先の利益よりも、大きな利益を追求する
  「気を利かせたつもり」が裏目に出るとき
  「礼」と「人の道」を忘れるな!
  「楽しみなくて、なんの人生ぞ」とは言うが・・・
「やりすぎること」のマイナスもある
ーー欲に目がくらむと
  過ちに、どう対応するか
  頼りにするのは、とにかく自分
  いかなるときでも「ケジメ」をつける
第二部 したたかに生きる!
人のどこを見るか
1、「ほどほど」で満足すべきとき
2、一番頼りになるのは?
3、うかつに情報を漏らさない
4、五を捨てて十を取る
5、とらわれない
6、些細な兆候を見落とさない
7、的確に先を読むには?
8、人を害する心を持たない
9、「勘所」をどう見抜く?
10、先人の知恵に学ぶ
11、まず与える、そして取る
12、心を平静に保つ
13、自分の力を知る
14、「食われない」ために
15、拙くとも、誠意を尽くすと
人の本能を知る
1、心の機微をどうとらえる?
2、豊かになりすぎても
3、人を見下さない
4、知恵や能力をひけらかさない
5、一人、目立ちすぎない
6、人間、誰でも「欲」を持っている
7、相手の利益をしっかり「保証」する
8、賞罰のケジメをつける
9、進言こそ慎重に
10、言うべきときに、言うべきことを
11、「世の中は不平等」であることを知る
12、嘘も真実になる
13、矛盾に惑わされない
人の心をとらえる
1、時を待てるか?
2、物事を感情で判断しない
3、小さな悪事を見逃さない
4、違う意見に耳を傾ける
5、賞罰の権限を握る
6、第一に人を思いやる
7、心を見透かされない
8、好き嫌いを言わない
9、おべんちゃらに惑わされない
10、信頼を積み重ねる
11、長所を引き出す
12、相手の気持ちを汲み取る
13、鼻にかけず、ひけらかさず
14、「汚い手」が必要なとき
人は何で動くのか
1、筋の通った厳しさを持つ
2、時に厳罰も必要である
3、目的を考える
4、賞罰に情を入れる
5、働かざるもの食うべからず
6、根本を押さえる
7、歯止めをかける
8、仲間のうちの結束を深める
9、内面外面ともに充実させる

こうやって一覧にして見ると、岩波文庫の現代語訳を読みながら考えるよりも、こういう入門書方がまとめてくれてあるので、めちゃめちゃ読むのが楽です。もちろん原本を読むことも大切です。そういう難しいものと、あーでもないこーでもないと格闘することで、本当の身になることは確実ですが、さらっと読むには最適です。

おわり


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