ストレッチの大切さ

太極拳や内家拳では、一部の技を除いて柔軟性がなくてもそれなりになんとかなります。もちろん蹬脚の足は高く上がらなくても套路はできます。ただ、私の経験から言うと、足首(ふくらはぎ)、股関節、肩の柔軟性が上がると、動きの自由度が上がります。すなわち、套路のレベルがアップします。これは見た目の美しさだけではなく、力の伝達についても当てはまります。さらに、健康においても関節の柔軟性が高いと可動域いっぱいまで動かせるので、血流も良くなり、手や足がしびれたり、冷えたり、凝ったりすることもなくなります。

では、具体的にどのようなストレッチをすると良いのか紹介します。足首については、足首をぐるぐる回すのが基本となります。立ったままでつま先を地面につけてぐるぐる回します。いろんな角度で、少し地面に押しつけるようにするとさらに伸びます。座って、足の指の間に手の指を差し込んで、手で足首をぐるぐる回すのも良いです。足の指を甲側に反らせるのも大切です。ここは意外に縮こまっているので、しっかりと足を反らせましょう。ふくらはぎが固いと足首も曲がりません。弓歩の姿勢になって後ろ足のアキレス腱を伸ばすのが基本です。壁に足裏をつけて、ふくらはぎを伸ばすストレッチは強度が強いですが、慣れてくると非常に気持ちよく、足首が柔らかくなります。裸足の時に、足の裏を階段の段差などにぐいぐい押し付けて、足裏のマッサージをするのも効果的です。これは休憩しているバレリーナの方がやっているのを見かけて以来真似をしています。

次に股関節です。股関節は、立った状態で腰をぐるぐる回すことから始めましょう。この時に骨盤が大きな筒の中を拭いているようなイメージで回すとよく伸びます。固定されてフラフープの内側に沿って回しているようなイメージもいいと思います。この時に、前、特に左前と右前に行くところを少し強調すると股関節がよく伸びます。次に、肩幅に立って、片足のつま先を内側に90度入れます。股関節が固いと完全に内側に向きませんが、できるところまでで構いません。内側に入れた足の方の股関節を意識しながら痛気持ちい範囲で腰をぐるぐる回します。私はこれがすごく効果が高かったです。あとは、一般的な腰割り、立位での前屈、足を伸ばして座っての前屈、開脚前屈などが良いです。前屈が進まない(なかなか柔らかくならない)人は腰が固いだけでなく、脇腹(体の側面)が固いのかもしれません。開脚前屈、または片足をたたんで、片足だけ広げて座って体の側面を伸ばすストレッチが一番基本です。立位で前屈した後に右や左に向くのも脚から腰の後ろ〜側面が伸びて効果的です。

最後に肩関節です。肩は、手の先を肩につけて肘の先で大きな円を描くようにぐるぐる回します。壁に手をついて色んな方向に伸ばすのも効果的です。少し強度が強いですが、壁に背中を向けて立ち、両腕を下から後ろに後ろに回して手をつきます。そのまま体を沈めると、肩のストレッチになります。鉄棒などがあれば、同じように鉄棒に背中を向けて立って、後ろ手に鉄棒を握ります。そのまま体を沈めると肩関節の強いストレッチとなります。

足首や股関節の可動域が広がると、重心の位置が変わります。今までは、後座の時にもう少し足首が柔らかくて、後ろに行けたらかかとの上に重心が乗るのに、行けないので姿勢が高くなってしまったり、雲手の時にもう少し股関節が柔らかいときちんと片足に乗れるのが、上手く乗れなくて上半身でバランスを誤魔化していたり、そういうことってあると思います。ほんのちょっと柔軟体操をやれば一つレベルが上がります。ぜひ習慣化してください。


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