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初めての太極拳(その4)

第4回目は立身中正です。
太極拳では虚領頂勁、立身中正、尾閭中正などの要訣があります。いわゆる頭をまっすぐ上に、天井から吊られているような意識です。第3回までは肛門から吊られているという言い方をしていました。これは、よく言われているように虚領頂勁、立身中正、尾閭中正と言ってしまうと、頭が上に向かう意識なのに尾閭(尾骨)は下に向かう意識となって、身体の中で反発する方向をイメージするのが難しいと思われたので、あえて上方向だけのイメージを書いていました。

少し慣れてきたら、頭は天井から吊られ、体はその下にぶら下がり、尾閭が下に向かっているという意識を持ちます。この時に、無理に頭頂を持ち上げたり、首を伸ばして緊張させたり、腰を緊張させて骨盤を引き下げたり、そういう無理な力は必要ないということです。頭頂にひもがついていて天井からぶら下げられている。頭蓋骨の下に背骨がただぶら下がっている。その結果、尾骨も重力で自然と下向きにぶら下がるという感覚です。引き下げる必要はありません。

この感覚を養うのにもっとも適した練功が站椿功です。足腰の鍛錬ではないので、ゆるい感じで馬歩站椿の姿勢をとります。頭が天井から吊られていて、背骨がその下にだらっとぶら下がっている感覚を感じるようにします。肩関節と股関節に力が入りやすいので、その4箇所の脱力を意識しながら立ってみてください。最初は退屈だったり、足が疲れたりしますが、慣れてくると10分以上気持ちよく立つことができるようになります。

で、ここで一番注意することを書きます。指導をしてきた中で、尾骨の形状と感覚というのは人によってかなり違っているようです。なので、ある人はぶら下がっているという意識だけで尾骨が下を向くのに、ある人は尾骨が下を向くにはお尻を巻き込むような意識を持たないといけない場合もあります。ここは鏡を見ながら、自分の尾骨の向きと感覚の修正を細かくやってください。腰が反っている人は巻き込む意識が必要になるかもしれませんが、それは今までの生活習慣や運動習慣の結果なので、気にせず鏡に映るホントの姿を確認しながら感覚を修正してください。ここで試行錯誤すると、その後の上達が一気に早くなります。

この感覚は動き出すとすぐに消えてしまうので、動く場合、まずは起式で練習してください。慣れてきたら一つ一つの動きの中で失われないように、注意しながら感覚をつないでいきます。後座の時だけ、後ろ足で押すときだけ、脱力して動き始めるときだけ、のように一部だけでも大丈夫です。少しずつ広げていければいいと思います。

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