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【読書メモ】池上彰の講義の時間 高校生からわかる「資本論」【#70】

表紙って大事だなって思います。古い表紙だったら手にとってなかったと思います。


古い表紙

新しい表紙の方が入りやすいです。


新しい表紙

中身はやっぱり「資本論」です。難しいです。ただ、難しいと言っても、実際に高校生を対象に講義をした内容をまとめているので、解説は分かりやすくなっています。

第1講 「資本論」が見直された
第2講 マルクスとその時代

最初の2講で、まずはマルクスと資本論、現代という時代の背景について解説されます。そこから、第3講 世の中は商品だらけ、という資本論の最初の「商品」の定義についての説明から始まります。

この本を読んで、とても秀逸だと思っている点が2つあります。1つ目は、ギリシャ哲学やキリスト教思想についての解説が入っている事です。特に西洋の本にはベースにキリスト教の歴史や思想を知らないと、どの時代のどの前提に立って話しているのか分かりにくいものが多いように感じます。その辺りの説明を加えてくれているので、今の日本人からしたら、そういう考え方はしないだろう、どうしてそんなことを思いついたんだろう、というところが腑に落ちやすくなっています。本来は、歴史やキリスト教、哲学の基礎知識がないと解説ですら分かりにくいものなのですが、そこは池上彰さんの真骨頂といいますか、高校生相手の講義なので分かりやすく説明してくれてあります。

2つ目は、適度なとところで「以上のまとめ」という項目があって、それまでの部分を総復習してくれているところです。本来なら、こういうことは自分でやりながら読み進めていかないといけないのですが、ついつい分かった気になって進んで、あとで、あれ?なんだっけ?となるのがオチです。講義として、リアルに高校生を集めて話しているので、講義形式のいい部分が読んでいてとても役立ちました。

そして、この次に読書メモを作るよていの「書く力」にも出てくるのですが、池上彰さんの独特の文章の力が発揮されています。それは、リアルタイムで理解しやすい文章なのです。講義で話している内容なので、言葉は次々に消えていきます。本のように後で振り返って読むことはできませんし、その瞬間でさえ、次々の新しい情報がやってきてしまいます。池上彰さんの本は、テレビやラジオで話す経験がベースになっていて、聴いたままに理解できる、イコール、読んだままに理解できる、頭に沁み込んでいくのが特徴です。そういうこともあって、読みやすい上に、講義で話しているという性格上、たまに振り返りのまとめがあるという構成がとても理解を助けてくれます。

何冊か資本論の解説書を読んで分かった気になっていましたが、この本を読んだ後に読み返すと、さらに深い理解ができそうで、しばらくは新しい本を買う時間がなさそうです。この本の中身だけでなく、過去にだ本の理解を深めてくれ、さらに今後読み返す未来の本の理解を助けてくれる良き本だと思います。

おわり


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