暗闇でおにごっこ

皆さんは夜の校庭でおにごっこをしたことはありますか?
私はあります。

私は高校生のとき、生物部でした。
ゆるい部活と思いきや、結構いろいろなことをやっている活発な部活でした。
文化祭ではカエルを解剖したり、みんなでフィールドワークに行ってみたり、毎日部活が楽しく、高校には部活のために行っていたと言っても過言ではありません。

1年生の夏休み、ウニの卵の細胞分裂を観察しよう、ということで、合宿と称して学校の理科室に泊まることになりました。
ウニの卵は一晩で幼生と呼ばれる状態まで成長するとのこと。
夕方、学校に集合し、ウニの中から卵を取り出し、受精させ、いよいよ分裂していく卵の観察が始まりました。
卵が取り出されたウニは先生方が食べてしまいました(汗)

細胞分裂が始まったらポンポンとテンポよく進んでいくのかと思いきや、1時間後、40分後と意外とゆっくりでした。

夜7時ごろ、顧問の先生方が理科準備室でビール片手に焼き鳥を焼き始めました。(なぜ?)
私達生徒は家から持ってきたお弁当を食べ、先生方から焼き鳥のおこぼれを頂き、さらにお菓子やアイスを食べ、ちょっとしたパーティーのようでした。

時々顕微鏡を覗きますが、細胞分裂は思ったように進みません。

夜8時ごろ、先輩の1人が「校庭でおにごっこしよう!」と言い出しました。(なぜ?)
先輩含む数人とノリノリで校庭に行ってみました。
見事なまでに真っ暗です。
ここでおにごっこは怖いな…と思いました。
本当に真っ暗で何も見えないのです。

先輩が白衣を取り出し、鬼はこれを着て走ること、と言い出しました。(いつ準備したの…?)
ジャンケンし、鬼を決めて、真っ暗な校庭を走り始めました。

何も見えないってこんなに怖いことってなんだな、と思いながら、暗闇の中を全力で走りました。
白衣がはためくのがかろうじて見えます。

しばらく走っていると暗闇に目が慣れてきました。
かすかに誰が近くにいるのかわかります。
足が遅い私は鬼に捕まってしまいました。
白衣を着て、また全力で走り出しました。

真っ暗な校庭はいつもより広く感じました。

次から次へ、鬼を交代しながら1時間くらいおにごっこをしていたでしょうか。
高校生になっておにごっこをするとは思ってもみませんでしたが、とても楽しかったです。
先生に「戻ってこーい!」と呼ばれて、みんなでまた理科室に戻りました。

私達が戻ったころにまた細胞分裂が進んでいました。
顕微鏡をのぞき、卵の様子をノートにスケッチしたりしながら、みんなでいろいろな話をしました。

他の先輩たちは肝試しと称し、夜の学校探検に行っていました。
こちらも相当怖かったそうです。

日をまたぎそうなころ、みんなウトウトしながら顕微鏡を覗いていたので、本当は夜通し観察する予定でしたが、先生が「今日はこれで終わり!」と言い、理科室の床で雑魚寝して、その日は終わりました。(先生も眠そうでした。)

次の日の朝、細胞分裂が進み、ウニの赤ちゃんが生まれていて、みんなで感動したのを覚えています。
お昼前に解散し、楽しい合宿は終わりました。

その後、そのウニの幼生たちは頑張ってウニらしくなるまで育てました。

合宿の内容はその年の文化祭で発表しました。
その後は毎年学校で泊まる合宿をして、楽しい3年間を過ごしました。

私の中で高校生活=部活だったので、夏になるとあんなこともあったな、とふと部活のことを思い出します。
顧問の先生に淡い恋心を抱いていたこともあり、まさに私の中で青春の1ページです。

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夏の思い出

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