甑島を日帰り旅行したら思いのほか楽しかった話
こんにちわ、くろもあさんですよ。
今日も今日とて酔った勢いで投稿してみます。
みなさまは甑島をご存知でしょうか。
難しい漢字ですね。わたしも最初は読めませんでした。
現在はこしきしまと呼ぶのが行政的には正しいようです。
が、長らくこしきじまと呼んできた住民の方々には複雑な思いもあるらしいです。
ちなみに、甑というのはセイロみたいな蒸し器の一種らしいです。
土器だそうです。
浅学のわたくしめはもちろん知りませんでした。
地理的には、鹿児島県の串木野(現いちき串木野市)や川内(現薩摩川内市)の沖合いに位置しています。
上甑島、中甑島、下甑島の有人三島といくつかの無人島で甑島列島を構成しています。
わたしは灰色の街東京在住ということもあり、遠路はるばる甑島に訪問するなら、せっかくだから上甑島、中甑島、下甑島の三島をすべて楽しみたいと思いました。
そういった人のために、甑島はツアーが充実しています。すばらしい。みなさんは利用しましょう!
が、残念ながらわたくしめは貧乏暇なしなので、お金がたくさんあるわけでも、休暇がたくさんあるわけではありません。
なので、ツアー参加ではなくセルフメイドで上甑島、中甑島、下甑島を歩いて渡るという日帰り旅行を企画し実践してみました。
結果、思いのほか楽しくて、また行ってみたい場所として深く脳裏に刻まれる体験となりましたよ!
というわけで、今回は甑島について日帰りのニワカが旅行記形式で紹介していこうと思います。
何をしに行くか
とにかく、島の間に架けられた橋が気になっていました。とくに甑大橋。
甑大橋をはじめとして、甑島の有人島の間は架橋されており海の上を渡ることができるらしい。
今回は橋を楽しみたいという一心で、特産品やグルメなどは考慮から完全に外してしまいました。そういったものに興味関心があってこの記事にたどり着いた方はごめんなさい。
計画を立てる
甑島に渡る前に、現地までの移動手段、現地での移動手段の両方についてちゃんと調べておきましょう。離島なので一歩間違えると大変なことになります。
甑島商船
甑島に渡るには、甑島商船のお船を利用する必要があります。なぜならアクセスの手段がこれしかないからです。
わたしが甑島に渡ったのは臨時増便があるGW期間及びお盆期間以外の日でしたので、日帰りでも十分に甑島の滞在時間を取れるよう以下のルートを選択しました。
高速船甑島 下り1便
川内港乗船
里港(上甑島)下船
フェリーニューこしき 上り2便
長浜港(下甑島)乗船
串木野新港下船
なお、本土への帰りの便を高速船甑島の上り2便にすれば、甑島の滞在時間を更に1時間くらい延ばすことができます。が、わたしは川内港と串木野新港の両方の航路に乗って両方の雰囲気を感じたかったのでこのときは見送りました。
ちなみに、高速船はフェリーと比べて以下のような違いがあります。
所要時間が短い
運賃が高い
車両航送はできない
予約が必要
船酔いしやすい
レンタサイクル、レンタカー
島内の交通について、まずはレンタルできる乗り物について検討しました。
しかし、わたしのように里港で下船して長浜港で乗船して島を離れる行程を組む場合は乗り捨てが必要になりますので面倒です。
が、それよりなにより、一番のネックになったのは以下の一文。
そうです。車両には圧倒的に素晴らしいロケーションである甑大橋で立ち止まることが許されないビハインドがあるのです。これはコンプライアンスを遵守したいと日々願っている(※1)わたくしめには見逃せません。
※1=わたしには生きているだけでコンプライアンス違反という疑惑があります。
コミュニティバス
というわけで、甑大橋を満喫するためには歩いて到達することが必要です。しかし、甑島列島は日帰りで踏破できるような小さなエリアではありません。
すなわち、歩きたい区間をしっかり歩くためには、逆に歩かない区間をしっかりと決める必要があります。
そこで、今回はコミュニティバスを使うことを前提に歩かない区間を検討しました。
時刻表をご覧になるとおわかりかと思いますが、コミュニティバスは運転間隔が開いています。基本的に甑島商船の船の発着時間に合わせて運行されているからです。
なので、どこかのバス停でふらっと降りて、次の便に乗ってまた別のバス停で下車みたいな気まぐれ旅的な考え方だと日帰りの観光客は詰みかねません。
基本的には、下船後バスに乗って目的地に着き、目的地で十分楽しんだ後はバスに乗って帰りの船に接続するという、単一の目的地への送迎として利用する考え方がよいと思います。
が、脚力に自信があるならバスの途中の区間を歩くという選択肢もアリでしょう。日中は概ね2〜3時間間隔での運行なので、逆に言うと2〜3時間好き放題に歩けるということになります。
ある意味、コミュニティバスの長めの運転間隔は上甑島、中甑島、下甑島の間を歩いて渡る旅行者に適したダイヤであると言えるかもしれません。
結局
こういう行程になりました(記載の時刻は2023年9月2日時点のものです)
高速船甑島
川内港 8:50発
里港 9:40着
コミュニティバス
里港 9:50発
甑大明神橋 10:10着
徒歩
甑大明神橋 10:10ごろ発
鹿島港 13:11までに着
コミュニティバス
鹿島港 13:11発
長浜港 13:41着
フェリーニューこしき
長浜港 14:20発
串木野新港 16:05着
上記のとおり、徒歩で移動できる時間は3時間くらいあります。Google Mapsによると甑大明神橋から鹿島港までは、およそ9kmの距離。人間の徒歩はおよそ時速4kmであることを考えると、これは余裕……?
はたして。
プロローグ〜川内港への移動
川内港を8:50に出航する高速船甑島に乗船できるように、余裕を持って港に到着するためには鹿児島県内で前泊するのが間違いがなくてよいでしょう。わたしは鹿児島市内で前泊しました。
(いちおう、博多駅から始発の九州新幹線に乗っても間に合うみたいですが)
なお、この旅では途中で食事できるポイントには一切立ち寄りません。もし、この旅行記をマネする奇特な方がいらっしゃいましたら、昼食用の食料は出発前に調達しておいてください。
新幹線駅でもある川内駅から川内港までシャトルバスが出ていて便利です。ですが、この川内港行きのシャトルバスには肥薩おれんじ鉄道線の草道駅から乗ることもできます。乗り鉄なら肥薩おれんじ鉄道に運賃をお布施するのもいとをかし。
ただし、草道駅前のバス停は同じ乗り場から川内港行きのほかに阿久根港に行くバスも出ています。港行きという共通点がある上に発車時刻も近いので、乗り間違いには十分ご注意ください。
いざ、甑島へ
川内港
川内港は一見すると、ごくごく普通のオシャレな建物。
しかし、ひとたび中に入れば、なにやら既視感にとらわれる人もいるかもしれません。なんというか、JR九州でよく見た気がするナニか。
手続きを済ませたら、高速船甑島に乗船できますよ。出港の10分前くらいに乗船してほしいみたいです。時間が迫ると待合所がソワソワしはじめます。
ちなみに、チケットカウンターの横にコーヒーショップがあるのですが、本格的でおいしいコーヒーを出してくれます。おすすめ。
御船印
御船印を集めている人はチケットカウンターでお求めください。
甑島商船さんは高速船甑島とフェリーニューこしきの二種類の御船印を用意されています。川内港からは高速船甑島のみが出港しますが、フェリーニューこしきの御船印を買うこともできます。
日付記入はスタンプ式でセルフ。鹿児島の御船印参加社ではポピュラーなスタイルですね。(桜島フェリーさんとか、十島村さんとか)
高速船甑島の御船印は名物を配して甑島列島を形どったもの。あっさりとしたデザインなので万人受けしそうです。
高速船甑島
高速船ということですが、他社でよく見かけるようなスピードに特化した外見ではなく、普通の船っぽく見えます。
船内を見ると、もはや隠しきれない水戸岡鋭治氏の圧……。
さて、この高速船甑島ですが、外見は高速船らしからぬものの、性能はバッチリ高速船です。
つまり、船酔いのしやすさも他の高速船と同等。船に慣れている人であっても外洋を航行する高速船の三半規管に対する攻撃力は侮ってはなりません。船酔い対策の薬は持っていても損はないでしょう。
ここで、船酔いに不安がある人に朗報です。高速船甑島には高速船には珍しくカーペット席があります。船についての一般論として、寝転がっていたほうが酔いづらくなります。船が苦手な人は、ぜひカーペット席をご活用ください。
ちなみに、わたしが乗船した日は階下のカーペット席には誰もいませんでした。景色が見えないことも理由の一つでしょうが、どちらかというと入るための階段がどこにあるかわかりづらいのが他のお客さんがいない最大の理由のような気がしました。
なお、本当に船酔いに耐性のない人は、高速船甑島ではなくフェリーニューこしきに乗船されることをおすすめします。
出港からおよそ50分、上甑島の里港に着岸します。高速船はやはり速いですね。船に弱い人はとても長い地獄のロードに感じるかもしれませんが。
なお、高速船甑島はこの先、下甑島の長浜港まで運航しています。
上甑島
里港
上甑島に上陸。
高速船甑島に乗船している間に大いに揺さぶられた三半規管が平常運転に戻るまで数分かかりました。
ここは里港。里というエリアの港なので里港です。
里エリアは、かつては鹿児島県薩摩郡里村という単一の自治体でしたが、2004年に平成の大合併により甑島や海を超えた九州本土の自治体と合併し薩摩川内市の一部となりました。
コミュニティバスに乗車
里港で下船後コミュニティバスの乗り場は目と鼻の先です。着岸前から待機してくれていたので、一見さんなわたしも乗り場に迷うことなく安心。
バスが発車すると、すぐさま車窓には「甑島に来てよかったな〜」と思わせてくれる景色が流れてきます。
玉石垣は甑島名物。独特な景観でテンション上がります。八丈島にも多いということで、離島つながりなのかも。
八幡前というバス停で降りると玉石垣の見事な武家屋敷通りに近そうです。次に甑島に来る機会があれば、ぜひこのあたりも散策してみたいですね。
里の中心集落を出てしばらくすると、一気に山がちになります。
しばらく走って、山を抜けると中甑港。
中甑という集落は上甑島にあり、中甑島にあるわけではありません。
中甑港停留所はバスの結節点でもあり、もし乗り換える人は、「まだ上甑島にいるから大丈夫」とたかをくくらずに案内情報に注意しましょう。
中甑港を過ぎると左手には再び海が広がり、およそ3分で今回の旅でウォーキング区間の起点に設定した甑大明神橋停留所に到着です。
甑大明神橋
甑大明神橋停留所でバスを降りてすぐに視界に飛び込んでくる立派な橋が甑大明神橋。圧倒的な景観に気分も高揚します。さっそく渡ってみたいところですが、まずは傍らにある甑大明神橋展望所資料館によってみましょう。
甑大明神橋展望所資料館
展望台と資料館を兼ねる一石二鳥的なものとして誕生したのではと想像します。
ピラミッドのような、大社造のようなシルエットの建造物。甑大明神橋の主柱を模したのかな?でも甑大明神とのかかわりから、神道要素もあるのかも。
建物そのものは雨ざらしですが、2階部分のガラスの向こうには資料が展示されています。甑大明神橋を含む甑島縦貫道の成り立ちについて思いを馳せられるかな……と思いきや、資料はけっこうボロボロ。
資料の展示スペースからは海が見えます。おそらく中甑湾。きれいです。
3階まで上がると展望台。ただ、甑大明神橋からはちょっと遠いかな。あと、道路の電光掲示板が景観的にちょっと邪魔ですね。交通安全を守るためには必要なシロモノなのでしょうが。
渡る
甑大明神橋展望所資料館をあとにして、いよいよ甑大明神橋を渡ります。
この日は自動車の往来がほとんどなかったので、まるで我が物のように歩みを進めてゆきましたよ。
左手に奇岩が!地質マニアの方は好きそうですね。その脇をかすめる立派な橋。両者の対比が最高に面白いロケーションです。
甑大明神
橋の脇には神様が祀られています。甑大明神。
荒波に揉まれた岩場の上に御神体の大岩がちょこんと乗っています。
その不思議な光景は、実に神秘的で畏敬の念を抱かずにはいられません。
きっと、最初に発見した人も同じ感覚を味わったのでしょう。
この御神体の大岩が甑の形をしているということで、甑大明神と呼ばれることになり、甑島という地名の由来となったそうです。
甑島に上陸してまもなく、甑島の甑たる所以を早々に拝んでしまったわけですね。まだ中甑島や下甑島に一歩も足を踏み入れていないのに早々に甑島のルーツのネタバレを食らった気分。
もしかすると、甑島の旅のゴールは甑大明神にしたほうが、より感動的かもしれませんね。
鹿の子大橋
中島
甑大明神橋を渡ると、そこは上甑島と下甑島の間の島であるから、中甑島かな……と思いきや、中島という別の島。
立派な道路が敷かれていますが無人島のようです。
パーキングエリアにはハイビスカスが植えられていて南国気分。
でも、甑島の花であるカノコユリは見当たらず。
中島には花の広場という公園もありますが、花はぜんぜん咲いておらず草原が広がっていました。
鹿の子大橋を渡る
中島は無人島ということもあり、完全に通過点。ということで、中島と中甑島を結ぶ鹿の子大橋をさっさと渡ってしまいます。
おや、この橋は甑大明神橋や写真で見た甑大橋とは違って地味……?いや、海の上を渡れる橋というだけでその価値は無限大ですけれど。
振り返ると
鹿の子大橋は期待外れかなと思いつつ橋を渡りきり、中甑島に上陸。脇にある展望台に上がって振り向いてみると
おおおおおー!?
さっきまで渡っていた橋がまさかこんなに美しい橋だったなんて!これはテンションが上がる!!
中甑島
かの子ふれあい広場公園
鹿の子大橋の近くにあるかの子ふれあい広場公園で甑島の花であるカノコユリが咲いてたのを見ることができます。できますが、なぜか写真が手元にない。
甑島に来てカノコユリの写真を記録に残さないってアホすぎませんか。
みなさんは、忘れずにカノコユリを愛でて、記念に写真を撮りましょうね。
ひたすら山道
中甑島は平良の集落以外はとにかく山。アップダウンはそんなに激しくないのですが、景色的にはちょっぴり退屈です。後述の平良トンネル含め、この区間だけは自動車でワープしたい。
長いトンネルとの戦い
そして、今回の甑島の旅最大の難関。平良トンネルが現れます。
ここを左折すると平良集落があり、遠目に人家が見え人の営みが感じられます。
玉石垣をイメージしたと思われるすごい立派なトンネル。これは気合入ってるなーと、最初はのほほんと眺めておりましたが、トンネルの延長に目をやるやいなや、たちまち暗い気分になりました。
1,674m……。
よっぽど引き返そうかと思いましたが、ここまで来て甑大橋を諦めるわけにはいきません。勇気を出して足を踏み出しました。
暗くて終わりの見えない道程。自動車の往来がほとんどないことは救いでした。観光客の多いハイシーズンは自動車に煽られて心折れそうな気がします。
ただひたすら歩きに歩いて、ようやく到達した中間地点。
進むも地獄(840m)、退くも地獄(840m)。
iPhoneで音楽を再生して自らを鼓舞しながら、ただひたすらに歩き続け……そしてついに踏破!
平良トンネルを歩くのはトラウマ。
そして、もうひとつのトンネル
平良トンネルをぬけると、鍋倉浦が見えました。きれいな景色でいやしのひととき。海を見ると元気が出ますね!
と思ったのもつかの間、黒浜トンネルが立ちふさがりました。
またトンネルかいな〜。
平良トンネルと同じデザインなので身構えましたが、長さは587mと平良トンネルのおよそ1/3。
長い……けど、もう慣れちゃったね。
甑大橋
トンネルの果てに見えるものは?
山道を過ぎ長大トンネルをくぐり抜け、最後の関門たる黒浜トンネルを抜ければついにご褒美タイム……と思いきや、トンネルの出口に見える景色に違和感。
あれは利島(※2)……?
わたしは鹿児島県で伊豆諸島の幻を見ているの?
ついに、天に召されるの???
いや、違う。
実は、黒浜トンネルを抜けた先は断崖絶壁。平地がないので、そのまま行けば海にドボン……のはずが、トンネルの出口に甑大橋が直結しているので我々は海の藻屑とならずに下甑島へ渡ることができるのです。
なんということでしょう。
黒浜トンネルの中から見る甑大橋は、ここまで過酷なウォーキングを続けてきたわたくしには感動もの。観光メディアでは甑大橋はたくさんとりあげられていますが、トンネルの中から撮影した甑大橋の写真は見たことがなかったので、まさかこんな絶景が待っているなんて思いもよりませんでした。
※2=東京都利島村が所在するスライムのこと
甑大橋を独り占め?
トンネルを出て甑大橋を渡ります。
中甑島と下甑島の間の長距離を、海を歩いて渡る感覚、最高すぎます!
しかも他に人もいなければ車もたまにしか通過しないのでほぼ独り占め。贅沢過ぎる空間でした!!
中甑島と下甑島の間に広がる海は浅く、とってもきれい。
甑大橋をある程度渡ると、なにやら海面がモゾモゾしています。
甑島でまさかうずしお?を見られるなんて。しかも甑大橋という最高のロケーションで。車で通過する人たちは見ることができない光景です。
下甑島に着いちゃった
大はしゃぎで甑大橋を堪能しておりましたが、楽しい時間はいつか終わりをむかえるもの。いつしか対岸の下甑島に着いちゃいました。こちら側も断崖絶壁にまたもやトンネル。
鹿島トンネルの名前を見たとき、少し安心しました。鹿島は今回の旅の歩行区間のゴールである鹿島港がある地区。つまり、このトンネルを抜ければ長きに渡ったウォーキングもついに終わるのです。
しかも、497mしかないので気が楽です。このトンネルの延長が平良トンネルと同じだったら卒倒していたかもしれません。
トンネルに入る前に、甑大橋をふと振り返ってみました。あれ……なんだか物足りない。
甑大橋のファーストインプレッションで最高の感動を味わうなら、北から渡ることをおすすめします!
下甑島
鹿島地区
鹿島トンネルを抜けると、鹿島地区。しばらく人気のない場所を歩き続けたせいか、人心地つきました。
なにやら、浜にゴミが散乱しているのが気になりますが、九州本土から流れ着いたものでしょうか。あるいは、隣の国から流れてきた?
鹿島港
ウォーキング区間のゴールに設定した鹿島港につきました。感慨深い。
鹿島港には、かつて甑島商船の船が発着していたようです。
が、訪問時はすでに閉港ということで、なんとも物悲しい雰囲気。待合所の扉は固く閉ざされ、中に入ることはできませんでした。
旅客待合所内のお手洗いは閉港により使えませんでしたが、近くに公衆トイレがあるので鹿島港をウォーキング区間のゴールに設定したのは正解でしたね。
再びのコミュニティバス
鹿島港バス停に着いたのは12:50ごろ。バスの発車時刻は13:11ということで、思ったよりギリギリでしたね。たぶん寄り道したり景色に見とれていたせいでしょう。
コミュニティバスの時刻表によると、バスは里港から手打港まで直通しているように見えますが、13:11の便は鹿島港バス停で車両交換が行われていました。
里港から来たバスは手打港行きのバスに豪快に横付けして乗り換えの便宜をはかっていました。利用客に寄り添ったサービスですね。
起伏に富んだ下甑島
手打港行きのコミュニティバスに乗り込んで、途中の停留所である長浜港を目指します。長浜港から甑島商船のフェリーニューこしきに乗船して本土に帰るためです。
バスに乗ってしばらくして、下甑島は上甑島や中甑島に比べてアップダウンが激しいことに気付かされます。中甑島はトンネルで貫通しているから気にならなかっただけかもしれませんが。
この区間を徒歩やレンタサイクルで往くのは相当大変でしょうね。
長浜港が近づくと、ようやくコミュニティバスは高度を下げてゆき、集落を抜けて、ついに長浜港に到着です。
フェリーニューこしき
入港
長浜港には食堂があったので食事をとろうかなと思ったのですが、バスの到着からほどなくしてフェリーニューこしきが入港してきたので、ついついそちらに吸い寄せられてしまいました。
着岸の儀式。
甑島商船の社紋は魔法陣のようでカッコいい。
船体には甑島の花であるカノコユリが大きく描かれています。
フェリーなので、ランプウェイを開けて車両を降ろします。
船内探訪
昭和の香りのする船内。高速船甑島の圧倒的なミトーカデザインとは好対照ですね。
令和の現在においては、名前にニューが付く船は新しくない法則(※3)に合致していますね。
カーペット席の奥にはカーテン仕切りではありますが授乳室があったり、車椅子優先席があったり、昭和の香りがする割には先進的な設備を備えています。
案内所ではお菓子など食料も販売されていますが品数は多くない模様。
しばらくして、出港のお時間。甑島は楽しかったです!
※3=名前に『ニュー』を付けるのは、昭和に流行したのでしょうね。その当時、導入された新船は在来船に比べて新しかったので、その意味で『ニュー』をつけたのでしょう。知らんけど。
御船印
フェリーニューこしきの御船印は高速船甑島の御船印とはコンセプトが異なり、典型的な御朱印ライクな御船印です。
甑島商船の社紋を基調として甑島らしさで彩ったデザインは、「なるほどそう来たか!」と思わずうなってしまいましたね。
エピローグ in 串木野
串木野新港からは各方面にバスが発着しています。川内駅に行く便もあれば、鹿児島中央駅や鹿児島駅までロングランする便もあったりして。そんな中、最寄り駅である串木野駅へ行くバスは殿として最後の発車です。
串木野駅停留所のひとつ手前にある串木野停留所(ややこしい)が最寄りのコーヒーショップ、珈琲堂ジャマイカさんにお邪魔しました。
コーヒー好きにはおなじみの、カフェ・ド・ランブルのケトルが。
本日最高のデミタスをいただきました。とってもおいしくて薫り高く旅の疲れが一気に吹っ飛びました。
以上で、わたしの甑島の日帰り旅はおしまいです。お読みいただきありがとうございました。
もっと良い旅にするために
先述のとおり、わたしは串木野新港の航路と川内港の航路を両方に乗船したかったので、あえて甑島の滞在時間が短くなる旅程を組みました。
ですが、往復を両方とも高速船甑島にすれば甑島での滞在時間がのばせるため、わたしの旅よりもより充実した日帰り旅行にできるかもしれません。そのご提案を書いておわりにしたいと思います。
※実証したものではないため、自己責任で。
長目の浜展望所
わたしも今回の旅で実は超超超超行ってみたかったところです。
里港からコミュニティバスで須口三差路バス停下車徒歩40分強。
高速船甑島1便から接続するバスに乗車して、須口三叉路バス停到着は9:58ごろ。
急ぎ目に戻れば11:33発の里港方面に行くバスに間に合うでしょう。
もしかすると、里港〜長目の浜展望所の往復だけレンタサイクルを借りるというのも、実はよい選択だったりするかもしれません。
里麓武家屋敷通り
里の集落には見事な玉石垣がそこかしこで見られます。街歩きがとてもはかどりそうです!
里の集落散策後にわたしと同じように甑大明神橋、鹿の子大橋、甑大橋を歩いて渡りたい場合は、里港を12:35に発車する長浜港行きのバスに乗車ください。長目の浜展望所からコミュニティバスで戻ってきた場合は、散策時間はだいたい40分ほどでしょうか。
手打地区
甑島列島の最南端。甑島制覇の意味でもぜひ行ってみたい場所です!
本文記載の行程にプラスで訪問する場合、13:41に長浜港に到着するフェリーニューこしきに接続するバスはそのまま13:55発の手打港行きとなりますので、降りずに待っていればOK。
高速船甑島2便に接続する折返しのバスの発車まで30分程度、散策の時間がありそうです。
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