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たぶん分かり易い!気候変動に関する政府間パネルIPCC第5次評価報告書の超要約版(11)将来予測(炭素循環の変化、気候安定化)

【報告書の要点】は報告書記載内容から重要な文章をそのまま引用。【解説】は報告書に記載されている内容を用いて要点を解説。【補足】は報告書以外の情報も含めて私が必要と思う情報を記載。


【報告書の要点】

気候変動は、大気中の二酸化炭素濃度の増加をさらに促進するような形で、炭素循環過程に影響を与えるであろう(高い確信度)。

海洋の更なる炭素吸収により、海洋酸性化が進行するであろう。

人為的な二酸化炭素排出のみによる温暖化をある確率で1861年〜1880年の平均から2℃未満に抑えるには、同期間以降の全ての人為的発生源からの累積二酸化炭素排出量を下表の範囲に制限する必要があるだろう。

2011年までに515GtCの二酸化炭素がすでに排出された。Gt(ギガトン)=10億トン、C=炭素(二酸化炭素の中の炭素の重量)。

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【解説】

地上気温の上昇による永久凍土の融解で、二酸化炭素やメタンが放出され、それが炭素循環に影響を与えることが報告書に記載されています。

二酸化炭素の累積排出量と世界平均地上気温の応答は、ほぼ比例関係にある、との記載もあります。

大気中の二酸化炭素濃度が増加すると、それにつれて海水中の二酸化炭素濃度も増加する(大気中の濃度と平衡となる濃度までは海水中に吸収される)ため、海洋の酸性化が進行します。

温暖化を1861年〜1880年の平均気温から2℃未満に抑え、気候を安定化させるための二酸化炭素の許容排出量が表に示されています。

【補足】

「高い確信度」とは、見解の一致度が高く証拠が中程度、または、見解の一致度が中程度で証拠が確実、というレベルです。5段階の上から2番めで、最上位は「非常に高い確信度」です(見解の一致度が高く、証拠が確実)。

気候変動による大気中二酸化炭素濃度の増加促進には、海水温の上昇による二酸化炭素溶解度の減少(二酸化炭素吸収量の減少または二酸化炭素の放出)という要因もあります。

2017年の世界の二酸化炭素排出量中の炭素量は、約9GtCです。残された許容排出量から各国が今後の取り組み(毎年の排出量削減計画)を策定することになります。尚、温室効果ガスは二酸化炭素だけではありませんので、温暖化を2℃未満に抑えるための累積二酸化炭素排出量は790GtC(表の右下)と考えるべきだろうと思います(超概算ですが、2020年末に残された許容排出量は200GtC弱です)。


次回は、まとめとあと書き(最終回)です。これまでの内容で分かりにくい部分が結構あると思いますので、要点のみ簡潔にまとめてみます。

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