クスノキの四季
昨年の春に近所の公園で新緑のクスノキ(楠)を見て驚き、それから1年間、クスノキを観察してみました。
クスノキは身近なところで見られる良く知られた木です。特に関東以西では、公園、神社、寺等に行けばたいていあります。以前の私は、クスノキは冬でも葉があるので常緑広葉樹である、ということしか知りませんでした。
落葉広葉樹は秋に葉を落とし春に新緑となる。これは誰もが知っていることです。これに対して、常緑広葉樹は葉が一斉に散ることはなく四季を通じてやや濃いめの緑、というのが一般的なイメージです(レッドロビンのように春に赤い葉を出す常緑広葉樹もあります)。
このようなイメージしか知らない時に、常緑広葉樹であるクスノキが新緑になっているのを見て驚いたのです。しかも、新緑のクスノキの下には枯葉がたくさんありました。春に古い葉を落として新緑に衣替えしたのか!?と驚いたわけです。
ということで、近所の公園のクスノキを1年間観察してまとめてみました(ほとんど写真です)。
4月の新緑からスタートします。
5月になると小さな白い花が咲きます。花びらは6枚です。花の直径は1cm弱くらいと小さいので、ほとんどの人は気がつきません。私も観察を始めて、初めてクスノキの花を知りました。
6月には花が散って、その跡が丸くなっていました。
7月には緑色の実がなっていました。
8月になると枝が伸びて新緑が出てきました。古い葉は黒い斑点が増えてきています。
11月には実が黒くなり、12月に実は落ちました。
そして、12月には枝の先に新しい葉の芽(赤く細長い円錐状)ができていました。葉の新芽は3月まで変化は見られませんでした。
3月になると赤い枯葉が増えてきて、3月末には枯葉がたくさん地面に落ちていました。
そして3月末には葉の新芽が成長していました。
4月の初めには新芽からたくさんの赤い若葉が出てきました。
数日後に葉は薄い緑色に変わり、花の芽も出てきました。
今年の4月、公園内の他の常緑広葉樹の様子も観察しました。すると、他の常緑広葉樹も枝を伸ばしてその先には新緑が生えていました。但し、クスノキのように古い葉を大量に落としてはいませんでした。
「常緑広葉樹は一斉に葉を落とすことなくいつも濃い緑色」という素人的思い込みで新緑のクスノキを見て、そして驚きました。そして、自分の思い込みとの違いに気づき、驚いたおかげで観察を1年間続け、クスノキのことをより好きになりました。やはり、春に紅葉して葉を落としつつ新緑に衣替えするクスノキは面白い樹木だと思いました。
皆さんも公園に行った際は是非クスノキを観察してみて下さい。クスノキは葉の葉脈に特徴があります。下の写真の葉と同じものを探せばすぐに見つかると思います。
以上