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蜜猫的おすすめ魔術本(たぶん玄人向け)

わたしのおすすめの本を聞かれることが多くなった。
以前からいろんな人に尋ねられていたのだが、わたしが読んでいるものがあまりに多すぎて、資料を読み漁る漫画家のようだし、しかも専門書や洋書ばかりなので、「果たしてこれはおすすめできるのか?」と考えていた。

それでも最近のふわふわスピリチュアルブームの影響で、ふわふわな知識が飛び交い、何が本当で何が似非なのか混同する。またその混同からますますオカルトが干上がってしまうことを危惧する。

そこでわたしはとにかく専門書だろうが洋書だろうが、自分が読んでこれはいいと思ったものを記しておくことにした。
これを黒猫魔術店本サイトのブログに書こうか悩んだが、「有料記事メイン」と言っているnote読者の方が、この情報は必要だろうと思いこちらに書く。

従って、生半可な気持ちで選ばないことをおすすめする。オカルトや魔術に関する本は、専門用語が多く、何を言っているのかさっぱり意味わからなくて序章で挫折する。例えるなら六法全書のようだろう。そうなるであろうことを念頭に置いて選んでほしい。わたしの解説も参考にしてほしい。

世の中に出ている本は、一般人向けに優しい解説をしているものが殆どだ。このnoteまで読んでる人に浅学の人はいらっしゃらないと思うので心配無用だが、そういう優しい本は書店でパラパラめくって確かめて購入する方がいいかもしれない。

オカルト全般

まず、魔術を行うならこちらの上下巻は外せない。黄金の夜明け団(ゴールデンドーン)の密儀参入者向けのテキスト。
瞑想、四大元素、占星術、呼吸法、タットワ、召喚術、カバラなど、様々な魔術の基礎とも言えるべき書物。全6巻からなるが、古書なので値段は高い。わたしは6巻以外は全て持っている。

黄金の夜明け団アレイスター・クロウリーが瞑想の果てにまとめた、様々なものの対照表。深層心理下とイマジナルワールドに関連するので、ユング深層心理学やカバラ、4大元素、占星術、聖書の知識がないとまったく意味のない数字の羅列された本で終わる。

法の書も有名。黄金の夜明け団に所属したアレイスター・クロウリーの書。難解だーと言われる書だが、正直、現代人にとっては難解で当然である。トランスになることが儀式の前提であるが、当時は麻薬を使っており、それによって見えたいわゆる幻覚(という説もあれば霊的世界という説もある)を記した書物。トートタロットの理解の参考に。

錬金術と4大元素について学ぶならこれ。ヘルメス文書に関連する、ヘルメス思想の原点。「下のものは上にあるもののごとし」などの言葉が有名。魔術をやるならこれを理解していないとまったくお話にならない。魔術は、新しいものを生み出す意識変容だから、そのしくみがわからないとね。

しかしこれらを読むとなると様々な教養が必要となる。特に呪文の中に出てくる聖書や神話の知識がないと読み進めるのには困難だ。

神話

とりあえずこの本でだいたいの旧約聖書ストーリーは補完できる。初学者はこういったイラストや漫画から聖書や神話を勉強するのが良い。なぜなら聖書を普通に読むと専門用語が多く、「誰のことを言っているの?」という部分も多い。また、ラップのように同じような節回しが多い(まるで呪文のよう)から難解に聞こえる。
この本は旧約聖書の途中(ソロモン王あたり)までで終わる。それ以降(バビロン捕虜とか)も面白い話が続くので、興味があれば他の本で補填してね。

日本の神話であれば、古事記の漫画を探そう。わたしは漫画以外も色々読んだが、どれを読んでもだいたい一緒。というのは古事記や日本書紀は、大和朝廷と明治政府が作り上げたストーリー。神道系の術や占いを扱う人、神社を巡る人は、それでも一度頭に叩き込んでおくと良いかと。

神社にフィールドワークに行くならこの本がおすすめ。わかりやすいし、綺麗だし。寺・密教系はわたしは詳しくないので長南氏に聞いてほしい。

カバラ

カバラはこの一冊。ダイアン氏のまとめがあまりにしっくりくるし、魔術をやってもイメージしやすい。セフィラの瞑想もしやすいし、タロットとの対照にも良い。数秘術もタロットも占い師ならこれ読んでからやれや…と思うほど。ただし専門用語が多すぎる。例えば、ミクロコスモスとマクロコスモス、アストラルなど。四大元素や旧約聖書の知識がないと難しい本だ。

特に、1ケテル、2コクマー、3ビナーがわかりにくい。そんな時にはこちら。

日本のユング深層心理学の第一人者、河合隼雄氏の本。「ユング心理学入門」という本もあるが、わたし的にはこちらを推す。昔から童話や神話の中にひそんでいる、グレートマザーやグレートファザーが、前述のカバラと繋がる。

もっとカバラを詳しく!という人はこちらがおすすめ。アレイスター・クロウリーとも親交が深かったイスラエル・リガルディーの書。英語だと「A Garden of Pomegranates」とてもカッコイイ表題と装丁でテンションが上がる。黄金の夜明け団の教義をベースに、東洋的な象徴が対照されているのが見どころ。

カバラの本をここまで読んでしまうと、クロウリーのトートタロットの理解は超スムーズになる。タロットを展開しただけで生命の樹が広がるのだ。

占星医学とハーブ

ハーブや自然療法を語るならこれを読め。医学用語とハーブ用語と占星術用語が多用されるので素人には読みにくいのだが、これが読めて初めて立派な識者と言ってくれ。ハーブ学の祖ガレノスと並ぶカルペパーの理論。下に紹介しているスコット・カニンガム著本の「魔女的おまじないやハーブの意味」の道理を追求したまとめのような本。例えばハーブをどのように調理し、体内に摂取するかによって作用が違うとか、どのようなプロセスで臓器に作用するのとか。
もちろんこれを実際にやると薬事法にひっかかる。だから知識として補完してほしい。

西洋占星術に関してもっと詳しく勉強したい人は、石川源晃氏の本をおすすめする。むしろこれ一冊で良い。これよりも簡単にまとめた一般的な占星術本は基礎が疎かだったり、実用向きと思えないからだ。私も様々な占星術本を読み漁ったが、これは一番わかりやすく、かつ教科書のようにまとめられた、占星術師向きの一冊と言える。これは実習とあるが、初学者向け。惑星、サイン、ハウス、アスペクトの意味。出生図をメインに進行図と経過図にも触れる。

次にこれ。ハウスなどをもっと詳しく勉強できる。

こちらは経過図を含めた未来予測を詳しく見ています。どれもおすすめ。古い本なのでちょっと高い。

召喚術

洋書。黄金の夜明け団マクレガー・メイザースとサムエル・リデルがまとめたゲーティア。いわゆる「ソロモンの小さき鍵」。うわ、今こんな高値になっているの。信じられない。日本語版で探すと数冊出てくるが、文字潰れしていたり、意味がちがったりしていて、原本読んでくれ…ってなる。

召喚術の基礎はこちら。魔法円の構築と退去、小五芒星儀礼、物見の塔など、悪魔云々よりむしろこっちだろと。

こちらはエノク魔術を詳しく解説している。エノクを扱うなら聖書とあわせてこちらを読むべき。ただし覚悟してほしいのが辞書並みの厚さがあるうえに1ページ2段構成という文章量。もちろん内容は面白いのだが、ちょっと天使や悪魔をかじりたい人には向かない。

まあそんな人にはこんな辞典がある。しかしこれも辞書並みの厚さで1ページ2段構成。エノクの鍵よりはわかりやすいかと思う。

トランス・体外離脱・瞑想のしくみ

これを読むと、ふわふわスピリチュアルは深層を知らない浅学だと気付かされる。南米のシャーマンが現代でも用いる麻薬によってトランス状態になること。原始人が描いた壁画の半人半獣や、中世ヨーロッパでの妖精の子供交換、現代のエイリアン。この類似点と異次元の世界を考察する著者は、かなりバッシングを受けたが、わたしはおおむね理にかなっていると思う。
とりあえずトランス、体外離脱、魔女の飛行をしたいのであればこれを読んでしくみを知ってから試した方がいい。(麻薬は国によっては使えないが)ちなみに異次元の刻印は上下巻、神々の魔術は上下巻がある。

呪術

呪術と言えばこれしかない。呪術と宗教は関連性があるとして生涯にわたり研究をしたJ・G・フレイザーの本。金枝篇は長いので上下巻でよくまとめたなと。
一応、人形呪術もSNS呪術(笑)も同じ呪術の類になるわけで、これを極めたい人は読んでおくことが必須。特に日本は藁人形をはじめとした呪術に信仰が深い宗教観を持つ。日本人で魔術を行うなら読んでおきたい。

鉱物学(追記)

YouTubeでも紹介しましたが、この本は全てを網羅する。図鑑のように写真がいっぱい、専門的な解説もある。これがイギリスの自然史博物館で販売されている位だから、子供も読むのだろう。むろん魔術的能力としての記載はないが、その多くは成分と歴史的背景から垣間見ることができる。例えば「マラカイトは古くから子供のお守りだった」など。パワーストーンの曖昧な意味本を読むよりもめちゃくちゃ良い。洋書だが、日本の鉱物図鑑でここまで詳しいものはないしおすすめできるものはないかな…。

Amazon kindle unlimited のすすめ

ところで、こんなに本買えるかよってなる。そこでおすすめしたいのが、Amazonのkindle unlimited。サブスク定額で読み放題。魔術や占星術の本も多い。例えば、簡単な魔女の本で知られるスコット・カニンガム著本などはすべて月定額で無料で読むことができる。

これも無料。この本はハーブと占星医学の知識がないと難解。

このあたりも全て無料。ウィッチクラフトし放題。ただしスコット・カニンガム著本はあくまでも一般向けの本であり、基礎を学ぶには良いが、深く追求したい場合は専門書をおすすめする。なお、kindleでは素人も本を売れちゃうので、情報の真意については各々考察願いたい。

おすすめ本まとめ

いかがだったろうか。わたしの読む本は原典が多く、それは決まって堅苦しいものだから、苦手な人は最初の1ページで挫折してしまうと思う。しかし原典をわかりやすくした本は、もちろんいいのだが、わかりやすくしてしまうと、本来その難解な真理到達まであれこれ考えなくなってしまうのではないかと危惧する。つまり、結果よりもその複雑なストーリー展開にわたしは興味がある。そしてこういった宗教・歴史・心理・哲学について、わたしは深く自由に考察したいのだ。
きっとそんな人向けなので、「てっとり早く結果を知りたい」という人は漫画とか図解の本を求めたり、黒猫魔術店のセミナーを受講した方が良いかもしれない。

ともあれ、こうしてまとめることによって、ふわふわスピリチュアルだけでなく、オカルトに興味を持つ人が増えてくれればいいと思う。オカルトは教養の宝庫だと思う。学ぶことによってきっと、人生に役立つものがあり、人と話をしていても「君の抽斗が深すぎて底が見えないね」と面白がられること必須だろう。知識はいくらあっても良いだろう。お金を知識と経験に変えるのだ!


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