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【高ネットキャッシュ銘柄】 サカタインクス(4633)


業界3位ながら海外で存在感増すインキメーカー

印刷インキ国内3位。1896年に新聞印刷用インキ製造販売で創業、現在も新聞用に強み。商業・包装・グラビア用などの各種インキを国内外で販売するほか、それぞれの印刷用機材の国内販売も手がける。2006年に産業用インクジェットインキの米国企業を買収。インドに第2インキ工場を建設。国内では価格競争の激しい印刷インキの落ち込みを高機能品で補い、米国やアジアで稼ぐ中期戦略を推進。印刷インキメーカーとして国内シェアでは首位の東洋インキSCホールディングスとの株式持ち合いを解消、物流や購買での業務提携は継続。

四季報オンラインより

大阪府に本社を置くサカタインクス。自分もこの銘柄を探し当てるまで名前すら知らなかった企業ですが、調べていくうちに久々にビビッとくる感覚を覚えて新たにINしました。まずはざっくりと経営指標を確認しておきたいと思います。

まず目を引くのはネットキャッシュ比率の高さ。自己資本比率は40%台と低めながらながら、流動性資産は時価総額の0.54倍と充実。固定資産の3割以上が投資有価証券で占められていることが大きいようです。なので、配当も数えられるだけでも26期にわたり非減配中で、今後も安定的な還元も期待できそうです。
ROIC(投下資本利益率)も8%台をキープし、WACC(加重平均資本コスト)をわずかではありますが上回っています。ただ、一人当たりの労働生産性は620万円、営業利益率も4%台と少し低めです。
2025年12月期にかけての予想EPS成長率は20%と期待が持てそうな内容ですが、長期的にも成長は維持できるのか、3つのポイントにまとめました。


① アルミ缶用のインキで世界トップシェア

サカタインクスHPより

サカタインクスの海外売上高比率は70%弱、中でも米国が売上高全体の3割以上を占めています。いくつかの分野で世界トップシェアを誇る製品を持っていて、アルミ缶用のインキもそのひとつで、米国でのシェアはほぼ100%!
最近になってサカタインクスをカバーし始めた野村證券は「マイクロプラスチックの削減に向けた、ペットボトルからアルミ缶への需要シフトに伴うメタルインキの需要増、自社株取得などにより堅調なEPS(1株当たり純利益)拡大を見込んでいる」とか。
世界最大の市場、米国でひとつ武器を持っているという点は非常に魅力的な要素といえます。

さらに、こちらの記事によると、「パッケージ印刷の技術は、近年の脱プラスチックの流れの中で、包装をプラスチックから紙に置き換えていくための重要な技術となっている。同社のシェアはさらに拡大する可能性がある」とサカタインクスの持つ特許力に注目。その変化率がここ数年著しく、成長が期待できると書かれています。米国で高いシェアを取れる背景にはこうした強さも背景にあるのかもしれません。


② 資本コスト対策を開示

サカタインクス「2023年12月期決算説明および中期経営計画説明会」資料より

3月5日に発表された中期経営計画の中で、「PBR1倍以上」という資本政策の具体的な目標を発表しました。最新のいわゆる”東証リスト”ではまだ未掲載の状態で、次に発表されるリストには掲載されるはずです。
今後3年総額で150億円を株主還元に当てる計画で、総還元性向50%以上が目標。現状は25%なので、連続増配とより積極的な自社株買いにも期待が持てそうです。
今のレベルでPBR1倍を達成するだけでも株価は2割弱上昇する計算になるので、割安感も大きいですね。

SBI証券より

ご覧の通り、2023年の8月頃を境に、13倍台だったPER水準が9倍台へ切り下がった一方で、株価は大きく上昇を続けています。PBRの推移を見ても良好な株価パフォーマンスで、十分に割安な水準であることが見て取れます。


③ 社長の発信力

最後に買いの決め手になったのがこちらの動画。冒頭、上野吉昭社長が真っ白なパッケージの画像と、印刷されたパッケージの2つの画像を提示。どちらがより魅力的ですか?という問いかけから話がスタートします。非常にシンプルな対比ですが、この業界をよく知らないような人にとっては、インキという製品が持つコアな存在意義がパッと印象付けられて、その後の話にも自然と興味が向けられました。
失礼ながら見た目は地味な印象ですが笑、技術畑出身ならではの視点でわかりやすく発信していける力をお持ちなのではないかと察しました。こうした発信力が社内でも発揮されているのであれば、長期ビジョンの実現にも夢が膨らみます。

あと、さすがインキを手がける会社さんだけあってホームページも全体的に見やすいのと、何より良かったのは役員一覧が全員顔写真付きで紹介されている点。大型株では何ら珍しいことではないかもしれませんが、中小型株クラスでは社長の写真すら載っていないところもあるくらいなので素晴らしいですね。経営への積極的な姿勢もうかがえます。


留意点: 欧州事業の立て直し

四季報オンラインより

ひとつ留意点としては、ロシア問題の影響もあってトントンだった欧州事業の収益が再びマイナス基調に。また国内の利益率も改善していけるか。今後もどんどん原油価格などが上昇していくと収益を圧迫することになりそうなので、その辺もリスクとして認識しておいた方がよさそうです。


目標株価:2600円

DCF法・収益還元法・配当還元法の各種手法で企業価値を導き出すと、1200〜1400億円に。その平均を元に理論株価を計算すると、だいたい2600円ぐらいになります。

四季報オンラインより

上場来高値は2017年につけた2195円ですので、まずは高値更新を目指して上昇していって欲しいものです。



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