いわゆる"仮説思考"の正体とその鍛え方
こんにちは。初めての投稿になります。JJと申します。今回は、就職活動をやっている、もしくはやっていたみなさんなら一度は聞いたであろう「仮説思考」の正体について、私なりの考えを述べようと思います。
この記事は、
・仮説思考とは何か?
・仮説思考は何のためにどう使うのか?
・仮説思考はどうやって鍛えるのか?
の3つの問いの答えを明らかにすることで、最終的に僕含め皆さんが「仮説思考を使いこなす超速思考マン」になることを目的に書いています。
仮説思考とは何か?
では早速本題に入っていきたいと思います。
仮説思考とは、ズバリ「過去の蓄積による直感(=仮説)から始まる、解の導出方法」です。もう一度言います。直感です。
過去に見聞きしたもの、それを基に過去に考えたこと、の双方を引用することで、今問われているものの答え"っぽいもの"を瞬間的に導き出します。この答えっぽいものを"仮説"と呼びます。仮説を出発点として、分析の方法を定め、もっともらしい答えを即座に得る思考法。これが「仮説思考」として、数多のビジネスマンが大事にするものの正体です。
具体的な話をしてみましょう。たとえば、友達と「鬼滅の刃の映画、日本で興行収入1位になってたけどなんでだろう?」という話になったとします。その時、いろいろな答えが浮かぶでしょう。例えば、めちゃめちゃ劇場に通っていた鬼滅ファンの女友達を思い出して、「女の子の鬼滅ファンがすごくリピートしてるんでしょ」と答えるかもしれません。
この時、「じゃあチケットの単価が高いのかな?それとも見た人が多いのかな?」なんてトップダウンで考え始めても、すぐその答えには辿り着かないですよね。問いに対してその都度立ち止まり、迷いながら分析する、というトップダウンなアプローチに比べ、仮説を出発点にして考えるという手法には、余分な作業がほとんどありません。
そんな形で、過去の蓄積を用いて答えを瞬時に出す思考こそ、まさに仮説思考なのです。
仮説思考は何のためにどう使うのか?
とはいえ、仮説はそれ単体では単なる思いつきです。その答えっぽいものは、納得感もなければ、そもそも答えにすらなっていない場合もあります。先程の友達の問いに対して、「おじいちゃんが何回も見るからじゃない?」とあなたが答えても、「おじいじゃんそんな見るの!?」ときっと友達に言われるでしょう。これは仮説そのものが答えになってない典型的なパターンです。
では、この答えっぽい仮説を基にして、納得感のある答えを導くためにどうしたら良いのでしょうか。ここで、みんな大好きロジカルシンキングが出てきます。
さて、それを踏まえ、改めて見出しの問いに答えましょう。
仮説思考は、「問題解決の際、思考時間や作業時間の削減のために、論理的思考と併せて用いる」ものです。
具体的にお話ししましょう。解決すべき大きな問い(イシュー)が立てられたとき、まず初めに仮説思考を用いて、答えっぽいものを考えます。この時、仮説は"ある程度"未完成であったり、納得感がなかったりしても構いません。あまりにも弱い仮説な場合はもう少し考えましょう。
(仮説が浮かばないパターンもしばしばあるので、そのような場合は論理的思考を基にトップダウンで切ってみて、それらのサブイシューで仮説が生まれないか考えてみましょう。)
次に、論理的思考を用いて、なぜそれが言えるのか、トップダウンに考えていきます。切り口は仮説思考を用いた段階である程度見えているでしょうから、他の選択肢(サブイシュー)になるものを漏れなくダブりなく拾い、そしてそれらでない理由を改めて考えます。そして、その中でさらに深掘りすべきイシューに着目します。この作業を繰り返します。
この時、仮説思考力の高い人なら、深掘りすべきサブイシューの列が、きっと答えとなる仮説に一直線につながる道になっているでしょう。
ただ、だいたい途中で他にもっと深掘りすべきイシューが見つかり、仮説が間違っていることが判明したり、一応仮説までたどり着いたけどまだ深掘りが必要だったりします。その際は、改めて仮説思考を用い、今解いているサブイシューの下から答えっぽいものを探すのです。
このようにして、仮説思考と論理的思考のサイクルを作ることにより、超スピードで、納得感のある答えを探すことができます。
(本当は、真にこの仮説が正しいかを検証する必要が大いにあります。ですが、今回は就職活動に求められる範囲を考え、検証方法については省かせていただきます。)
具体例を用いて考えてみましょう。
「なぜ鬼滅の刃の映画は興行収入1位になったのか?」考えてみることにします。
この時、イシューツリーの一番上にこの問いが来ますね。
さて、まず仮説思考の出番です。あなたは、鬼滅の刃を見ている層が幅広いこと、そして自分がコロナで暇な時にネトフリで鬼滅を見たことを思い出します。そして、仮説思考を基に「コロナウイルスによる自粛で家での可処分時間が増えた際に、多くの人が鬼滅のアニメを見たからではないか?」と仮説を立てました。この時点で、立てた問いからサブイシューが枝分かれしており、その一番下のイシューの一つに先程の仮説が位置する構造になります。
さて、この思いつきをどう納得感のある答えに仕上げましょうか。論理的思考を用いてトップダウンで見ていきます。興行収入は、その映画における映画館での売り上げですから、興行収入がとても高いということは、見ている人数か、客単価が他の映画よりとても大きいということです。ただ、鬼滅の映画だけチケット料金が高いなんてことは、映画館では基本起こらないですよね。ということは、来た人数が多かったのでしょう。ここまでは仮説は正しそうです。
さて、それではなぜ来た人の数が多いのでしょうか。リピーターの友達はいるけど、自分の周りでもそういう人は極少数なイメージです。リピーターが頑張った映画としてはプ⚪︎ルが有名ですが、あれと比べてリピーターの数や彼らの視聴回数が特別高いというわけではありません。ということは、リピート回数はそこまで大事な問題ではなく、そもそも多くの人が見に来ていそうですね。ここまででも仮説は正しそうです。
このようにして、先ほど描いた不明瞭なイシューツリーを、少しずつ完成形に近づけていきます。
しかし、この作業の途中で今の仮説に頼れなくなる時が来てしまうかもしれません。今回はその中でも、間違っていたパターンではなく、行き着いてしまったパターンで見てみましょう。
あなたは、最後に「人はどうやって映画を見るのか」のフローに着目し、鬼滅の要因は一番初めの「知る段階」を、多くの人がコロナ下でアニメを見ることで突破したこと、と気づきました。
ただ、フローで見てみると、それだけでは人は映画館に行かないことがわかります。知った先に、興味を持ってもらい、「見に行きたい」という欲求を抱かせなければなりません。
そこで、仮説思考を基に、「なぜアニメを見ると彼らは映画館で鬼滅を見るのか」考えてみましょう。そこであなたは、アニメのクオリティが高く、映画もきっとすごいだろうと、期待していたことを思い出します。もっと他の映画を考えてみましょう。ジュラシック・ワールド、アベンジャーズ、スター・ウォーズ…ヒットした作品はどれも続編ゆえに「絶対面白い!」と信頼できるものではありませんでしたか?
そこで、あなたは、「アニメにより映画の質の高さがある程度保証されていたからではないか?」そう仮説を置きます。
こんな論点は仮説思考がないと出てきませんよね。仮説思考さまさまです。
さて、この仮説は本当でしょうか。論理的に考えてみましょう。消費者はお金を払います。消費者の目線に立って考えると、パフォーマンスだけではなくてコストの低さで映画を選ぶこともあるかもしれません。ただ映画館のチケットの値段はそんなに変わりませんから、パフォーマンスのみを重視する仮説は正しそうですね。
こんな感じで、一応「コロナウイルスによる自粛で家での可処分時間が増えた際に、多くの人が鬼滅のアニメを見て、彼らが映画に期待したから」という答えが導けました。検証してないので、嘘の可能性も全然ありますけど。
こんな形で、仮説思考と論理的思考を巧みに使い分けながら、短時間で納得感のある答えを作り上げていくのです。
仮説思考はどうやって鍛えるのか?
では、このような力をどうやって獲得すれば良いのでしょう。インプットとアウトプットそれぞれに関して具体的な方法を述べますので、ぜひ実践してみてください。
まずインプットに関してです。仮説思考の材料は過去の蓄積ですから、筋の良い仮説を、なるべく多く、そして広範囲に適用できるように貯めねばなりません。ただ、人間が覚えられる量には限りがあります。よって、筋の良さと適用範囲に注意して蓄積しましょう。
筋の良い仮説を貯めるためには、「過去の事実や、解いたことのある問題の答えに対して、自分なりに論理を導きましょう。」たとえば、新聞記事なんて良いですね。だいたい起こった事象が見出しで、記事の中に原因が書いてあります。「なぜ⚪︎⚪︎になったのか?」のイシューツリーを書きながら原因を追っていきましょう。また、ビジネスケースにおいては、リーディングカンパニーの打った施策を調べ、それをなぜやったのかイシューツリーを書きながら追っていくと良い蓄積になります。これを日常的にやり続けることで、量もカバーできますね。
広範囲をカバーするためには、「筋の良い仮説を抽象化して考えてみましょう。」たとえば、さっき鬼滅の刃を見る人が増えた原因であった、「コロナで家での可処分時間が増加したこと」から何が言えるでしょう。きっと家で使うものの消費量は増えてそうですし、外で使うものは減少しているでしょうね。本や、料理の材料は売り上げが増加してそうですし、口紅やファンデーションなんかは減少してそうですね。「使用するタイミングが家の内外どちらかに偏る商品の売り上げは、コロナによる可処分時間の変化により大きく変化した」としておけば、いろんなことに使える武器になりそうです。
次に、アウトプットに関してです。
基本は、問題を見ながら、今までの蓄積と共通するポイントを探り、そこから仮説を導くことになります。よって、ポイントを見つけるための見方を何個持っておくかが非常に大事です。
よって、日頃から「複数の視点、視座から仮説を考えてみましょう。」
消費者目線で見てみたら?供給している会社の目線で見てみたら?この商品は抽象化するとなんなのか?など、見方を変えることで、自分の蓄積に引っかかる割合、すなわち仮説を持てる割合が変わってきます。
また、本来の目的を考えると、仮説を出すまでのスピードも大事です。スピードを上げたければ、「ケース面接の回答を10秒でしてみましょう。」瞬時に視点を変えながら、自分の思考の引き出しを探し回るトレーニングを積むことで、短時間でも結論を導くことが可能になります。
おわりに
本記事では、仮説思考について一通り説明しました。22卒の就活生も、GDや咄嗟の質問で活きること間違いなしですので、ぜひマスターして本選考を勝ち抜いてください。
23卒の学生は、早期からこれらのトレーニングを積むことで桁外れの仮説思考力を会得し、無事第一志望から内定をもらってください。
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