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#001 「鶴瓶の家族に乾杯」の放送から見た都城の現状(1/2)

今回は先日放送されたNHKの「鶴瓶の家族に乾杯」の放送内容の一部から、地元の都城市が抱える問題に触れてみたいと思います。

「日本一の肉と焼酎のふるさと」都城市を巡る旅

2022年9月5日(月)と9月12日(月)の2回に分けてNHKで放送された「鶴瓶の家族に乾杯」の舞台は、私の地元の都城市でした。

都城市は平成27年度・平成28年度・令和2年度と、ふるさと納税の寄附額が過去3回も日本一(※)となった街。
令和3年度は北海道紋別市(152億9,700万円)に抜かれて日本一連覇こそ逃したものの、総寄附額は146億1,619万円(※)と、前年度の135億2,500万円をさらに上回りました。
※都城市プレスリリースより(下記リンク参照)

この原動力となった一つの理由が、肉用牛・豚・鶏をあわせた産出額が日本一(※)の精肉や畜産加工品といった食肉と、売上高が国内トップの霧島酒造など地元の酒造会社が誇る焼酎といった、豊富にラインナップされた地元ならではの特産品の返礼品の魅力だと思います。
※農林水産省 令和元年市町村別農業産出額による

今回の放送ではゲストに女優の吉高由里子さんを迎えて、このおいしい肉と出会いを求めて都城市を旅をするという流れでした…。

「鶴瓶の家族に乾杯」の魅力とロケのルール

1997年から放送されている「鶴瓶の家族に乾杯」の魅力といえば、ロケのルールが事前に決められた地域のエリアを出ないことや、出演者のスケジュールなどの撮影終了の時間以外は何も決まっていない、ガチで“ぶっつけ本番旅”なところ。
事前の打ち合わせや台本が用意されていないのはもちろん、訪問先の自治体の関係者でも事前にロケがあることを知らされるのは一部だけ。
NHKの局内でも取材クルーの予定は他のスタッフにすら行き先が秘密にされるという徹底ぶりなのだそうです。
(このウラ話については下のリンク先に詳しく紹介されています)

このあたりが同じNHKの地方ロケでも、番組スタッフのリサーチャーが事前に徹底した取材や打ち合わせを行って、ロケ先や案内人や地図とかの資料だけでなく地形の模型まで用意されている「ブラタモリ」とは完全に別物なんですよね。

だからこの2番組が毎年新春スペシャルで同じ場所でロケをしてコラボすると、そのギャップが相乗効果になってものすごく面白くなるんです。

ちなみに「鶴瓶の家族に乾杯」では25年を超える長寿番組となったこともあって以前に放送した近隣の地域を再び訪ねることがありますが、それでも同じような場所の訪問や内容になることもなく飽きずに楽しめるのも、このルールがあってこそだと思います。

そして「本当は登場人物やシナリオを事前に用意してるんじゃないの?」と疑いたくなるくらいの名(迷?)展開になる、いわば“神回”が良くあるんですが、こういう時はゲストの知名度や人柄もさることながら、その地域のコミュニティとか地元の情報網とかと出演者や番組の展開がうまく噛み合っているんですよね。

例えば、まずは最初に出会って声をかけた人と話をしていると、たまたま居合わせた別の人が会話に入ってきて「それなら○○さんが詳しいかも」って提案してくれたり、紹介されたその近所の詳しい人を訪ねてみると、今度は地元のネットワークを束ねているキーパーソンとなるような人に電話をしてくれて、そこから面白い人物や隠れた名所を紹介してもらったりすることがあります。

さらには先回りして伝わった「鶴瓶さんが来てる!」っていう噂を聞いた物好きで濃いキャラクターの人物が逆に会いに訪ねてきたりして、地元の人との交流がカケ算的にどんどん展開して盛り上がっていくようなパターン。
時には名物を食べたり体験したいという鶴瓶さんやゲストのために、地元の人がせっかくだからと閉店後や休みなのに店を開けてくれる…なんて場面もありますね。

つまりスポンサーのいないNHKの番組であるのはもちろんですが、行き先を決めることができるのは鶴瓶さんやゲスト本人だけで、番組スタッフや訪問先の自治体ですら意図的に訪問先を選んだり誘導すらできないロケ方法。
それだからこそ特定の名所が宣伝のように紹介されたり、魅力が誇張されることもなく、その地元のありのままの生の現状が番組になってしまう…。

そういう点では見る側にとっては面白くもあり、紹介される自治体や地元の住民にとっては別の意味で恐ろしくもある番組なのです。

それでは都城市ではどのようなロケが行われて番組になったのか?

そんな「鶴瓶の家族に乾杯」の実際の放送で紹介された都城市の“現実”について、次回以降で触れていきたいと思います。

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