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ろんぐろんぐあごー

605
デビュー以前に書いた素面では到底読めない作品をひっそりと公開。
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2023年7月の記事一覧

MAD LIFE 088

MAD LIFE 088

6.女の勇気に拍手!(14)4(承前)

「ドアって……一体、どこに繋がっているの?」
「それはわからないけど」
 由利子の問いかけに対してそう答えたあと、瞳はドアノブに手をかけた。
 しかし、ノブはまったく動かない。
「駄目。鍵がかかっているみたい……あ」
 ……鍵?
 瞳は自分の手の中にあるものを確認した。
 たくさんの鍵がぶら下がったキーホルダー……。
 もしかしたら、ドアを開けられるかもし

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MAD LIFE 087

MAD LIFE 087

6.女の勇気に拍手!(13)3(承前)

「西龍組の奴らは、俺たちの仕業だと思うだろうな」
 立澤は窓の外の夜景を見ながらいった。
「おそらくそうでしょうね。そんなことはしていないのに」
「いや、否定もできねえだろう。もしかしたら、俺の部下が独断で行動して末木を殺したのかもしれねえしな」
「あり得ますね。末木はこの組を裏切った男ですから」
「ああ……」
 窓にかかるカーテンを閉じたあと、立澤は深い

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MAD LIFE 086

MAD LIFE 086

6.女の勇気に拍手!(12)3

「全員、集まったな」
 西龍統治は皆の顔を見回しながらいった。
「末木が死んだ」
 誰も騒ごうとはしない。
 ただ、殺伐とした空気だけが蔓延していく。
 統治は先を続けた。
「殺ったのは立澤組の奴らに違いねえ」
「立澤組め……汚え手を使いやがって」 
 組員のひとりがそう吐き捨てる。
「明日の朝――」
 統治はそこでいったん言葉を止めた。
 皆はじっと彼の顔を見つ

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MAD LIFE 085

MAD LIFE 085

6.女の勇気に拍手!(11)2(承前)

「お恥ずかしい話ですが……」
 中西は宙を仰ぎながらいった。
「僕は警察の奴らに、すべてしゃべるつもりでいました」
「だが、君はなにもいわなかった」
「ええ……急になにもいえなくなってしまったんです」
 情けない表情で答える。
「僕のひとことで、あの娘は兄を失う……幸せを失う……そう思ったら言葉がなにも出てこなくなってしまって……」
「しかし、今のままでは

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MAD LIFE 084

MAD LIFE 084

6.女の勇気に拍手!(10)1(承前)

「……瞳さん」
 由利子が弱々しい声を発した。
「これは一体、どういうことなの? 私……あなたの部屋で気を失って……気がついたらこんなところに閉じこめられていたんだけど……」
「説明はあとでします。今は早く逃げましょう」
 タイミングよく、由利子のロープがほどけた。
「さあ、早く」
「え……ええ」
 瞳にうながされるまま、由利子は立ち上がった。
「おっと、

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MAD LIFE 083

MAD LIFE 083

6.女の勇気に拍手!(9)1(承前)

 向きを変え、一目散に走る。
 一刻も早く由利子さんを助け出して、ここから逃げよう。
 瞳は中央の倉庫へと向かった。
 もし、無事にここから逃げ出すことができたら……
 荒い呼吸を繰り返しながら、ようやく決断する。
 逃げ出すことができたら、すべてを警察に打ち明けよう。
 そうしなければ、どんどんみんなが不幸になってしまう。
 瞳は倉庫の扉に手をかけた。
 

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MAD LIFE 082

MAD LIFE 082

6.女の勇気に拍手!(8)1(承前)

「誰だ!?」
 長崎の声が聞こえた。
 ……しまった。
 見つかったかもしれない。
 だが、瞳は逃げようとしなかった。
 こうなったらやけくそだ。
 ドアの横へと走り、息を殺して長崎が出てくるのを待つ。
 手にはしっかりと薪を握った。
 防犯ベルが止まる。
 小池たちが止めたのだろう。
 となると、彼らはまもなくここへ戻ってくるはずだ。
 それまでに決着をつ

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MAD LIFE 081

MAD LIFE 081

6.女の勇気に拍手!(7)1(承前)

 怖くないの?
 自分に問いかける。
 怖い……とっても怖いよ。
 それが正直な答えだった。
 だったら、どうしてこんな危険なことをするの?
 じゃあ、どうしろっていうの? このまま指をくわえて静観していろとでも?
 私はもう誰も不幸にしたくない。
 そのためには自分から行動しなくては。
 瞳は力強く頷いた。
 ただ悩んでいたって、なにも解決はしないのだから

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MAD LIFE 080

MAD LIFE 080

6.女の勇気に拍手!(6)1(承前)

 星の美しい夜だった。
 あたりを見回し、人がいないことを確認すると、瞳は隣の倉庫へ向かった。
 由利子さんを助けなくては。
 彼女はおそらくそこに幽閉されているはずだ。
 足音を立てぬように注意しながら移動する。
 鼓動が激しい。
 汗が止まらない。
「あ……」
 瞳は声を漏らした。
 隣の倉庫にの扉には、南京錠がかけられていた。
 力任せに引っ張ってみた

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MAD LIFE 079

MAD LIFE 079

6.女の勇気に拍手!(5)1(承前)

 なんとかしなくては。
 瞳は脳をフル回転させた。
 とにかく、今は一刻も早くここから逃げ出さなくちゃいけない。
 床に散らばったガラスの破片を、ほとんど自由の利かない手でつかむ。
 手首を縛っているロープを切ることができれば……。
 瞳はロープにガラスを当て、左右に動かした。
 手首を見ることができないため、うまく切れているかどうかはまったくわ からない。

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MAD LIFE 078

MAD LIFE 078

6.女の勇気に拍手!(4)1(承前)

「おまえが末木を殺したときに使ったナイフをあいつらに持たせ、警察に通報する。そして、あいつらよりひと足先に西龍組の事務所に行き、指紋のついたワイングラスを置く」
 長崎は喉を鳴らして笑った。
「完璧だろう? 黒川」
「でも……」
 黒川と呼ばれた男は不安げにいった。
「あいつらには末木を殺す動機がありません」
「動機? そんなものはどうにだってなるさ。末木は

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MAD LIFE 077

MAD LIFE 077

6.女の勇気に拍手!(3)1(承前)

 倉庫の外から数人の足音が聞こえた。
「どうした一体?」
 長崎の声が耳に届く。
 瞳は防犯ベルの鳴り響く中、彼らの会話を聞き取ろうと耳を澄ました。
「まさか、春日と中西が戻ってきたんじゃねえだろうな」
「それはないでしょう。今頃、ふたりは警察で取り調べをうけているはずですから」
 警察で取り調べ?
 やはり、なにかあったんだ。
 瞳は胸を押さえた。
「おい

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MAD LIFE 076

MAD LIFE 076

6.女の勇気に拍手!(2)1(承前)

 瞳はバランスを崩さないように、ゆっくりと立ち上がった。
 両手は背中の後ろで縛られているので、こけたりしたら大変だ。
 窓のそばに近づく。
 三日前、彼女は頭上に見える窓ガラスを割った。
 窓はそのまま修理されていないようだ。
 倉庫内は埃っぽい。
 おそらく掃除もしていないだろう。
 だとしたら、窓の下にはあのとき割ったガラスの破片が落ちているに違いない

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MAD LIFE 075

MAD LIFE 075

6.女の勇気に拍手!(1)1

 風の音で瞳は目を覚ました。
 あたりは真っ暗でなにも見えない。
 おそらく夜なのだろう。
 ……ここはどこ?
 瞳は記憶を探った。
 アパートを訪ねてきた由利子と口論をしているとき、小池が部屋に押し入ってきたことを思い出す。
 いきなり口を押さえられ、鼻の奥がつんと痛くなったと思ったら、そのまま気を失ってしまったのだった。
 ……そうか。
 一度忍びこんだことのあ

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