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「地獄でなぜ悪い」を見た

期せずして「カメラを止めるな!」に引き続き「映画を撮る映画」を見ることとなった。ただし、カメ止めが映画と踊る作品だとすれば、「地獄でなぜ悪い」は映画に踊らされる作品だ。

リアルな不良もヤクザも被写体としか見れない映画バカたち、供給過多な血糊の床を滑り現れる少女、包丁でヤクザを次々と殺していく友近……冒頭だけで分かるように、この映画は(作中の台詞を借りると、)「リアリズム」より「ファンタスティック」を重視している。そこが最大の魅力であるし、好みが分かれる部分でもあるだろう。

しかし、映画作りに魅了された若者たちと、女優に魅了されたヤクザや星野源はどんどん熱に侵されていく。最初は巻き込まれた側の人間たちも、一度はカタギの世界に戻ったササキも、ヒラタ=園子温監督の熱に当てられて最後は狂気のダンスを踊り狂う。それこそがフィクションの持つ魔力なのだろう。

映画はどんどん熱を帯びていき、視聴者もどんどんハイになっていく。終盤にいくつか出てくる冒頭のリフレインには涙を禁じ得ない。

最後に主題歌で星野源がネタばらししているように、そこは地獄だ。この映画に魅了されてしまった視聴者もまた地獄に落ちてしまっている。だが地獄でなぜ悪い?

同じ地獄で待つ。

(結局、本編同様、レビューも星野源に良いところを持って行かれてしまうんだよな……)

#映画 #映画感想 #園子温 #地獄でなぜ悪い #星野源

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