国際バカロレアって?ケン先生インタビュー(1)
みなさんこんにちは。
名寄市の高校魅力化コーディネーターのクロイです。リエです。
先日、札幌開成中等教育学校の教員である弟ケンにラジオ番組(音源はyoutubeにあり)に出てもらってインタビューしました(podcastでも聞けるよ)。本エントリーはそのインタビューから抜粋&再編集したものです。
※ケンとリエの紹介はこちらにもあります。
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リエ:ケン先生こんにちは。自己紹介をどうぞ!
ケン:札幌開成中等教育学校で英語教諭をしています。ケンです。ぼくの学校は、公立の中高一貫校で、7年前にできました。公立の中高一貫校で「国際バカロレア(IB)」という国際基準の教育プログラムを導入し認定を受けた全国で初めての学校で、ぼくは、その学校設立に関わってきました。いまは増えてきているけど、当時は前例がなくて、めちゃくちゃ大変でしたね。相談する人も共感してくれる人もいなくてね~。
▼国際バカロレア認定校と普通の学校の違い
リエ:すごいね!で、「国際バカロレア」の認定校と、普通の学校との違いはどんなところにあるの?たくさんあると思うんだけど。
ケン:通常、学校って「授業に出て知識を得る」ということにフォーカスされていて、そういった教育を受けてきた人が多いと思うんだけど、IBでは、これからの社会で生きていくために必要な「スキル」を得ることが重視されています。例えばコミュニケーション、社会性、自分をコントロールすること、今だと情報リテラシーとかも。そういったスキルをきちんと全教科の授業の中で育んでいくように設計されているんです。
そしてもう一つ、「知識ではなく概念にフォーカスする」ということもIBの特色です。
リエ:が、がいねん・・・
ケン:うん。概念とは、場所とか空間とか、時代に左右されない、いろんなものを含んでいるとても大きなもののこと。その概念というものを学びましょう、ということなんです。
当然、それを理解するのは、先生も子どももとても難しい。だから学校自体が、そこに通う人たちみんなが、学び続けなくてはならないんです。だれも正解を知らないからこそ、生徒も先生も保護者もみんなで学ぼうというのが、他の学校には全くない学校づくりにつながっているし、特色でもあるし、ぼくが一番ステキだなと思うことかな。
リエ:そこに、保護者も入ってくるんだね。
ケン:そう。IBにはプログラムモデルという図があるのだけど、その円の中心には、子どもの姿、大人の姿、保護者の姿、地域の人の姿、が描かれています。IBというのは学校に通う人たち全てが関わってつくっていくものなのですよ、ということが示されているんです。保護者もバカロレアのコミュニティメンバーとしてIBのことを理解して、支援して、自分たちも学び続けるということを求められているんだね。
そして、5年に1回、IBのエラい人たちが来て評価していく評価訪問というのがあって、この学校がIBの理念をちゃんと全うしているかどうか、3日間にも渡ってチェックされます。その際には先生や生徒だけでなく、保護者もインタビューされるんです。IBは国際基準の教育プログラムとして世界に認められているけれど、このチェック機能があるという点が、その大きなポイントだね。
リエ:すごいねぇ・・・。そのエラい人たちはどんなことをチェックしているの?インタビューではどんなことを聞かれるの?
ケン:「実践要綱」と言われる、これを守ってなくてはIBとは言えない!という、日本でいう「学習指導要領」のようなものがあるのだけど、それが目的・文化・環境・学習の大きく4つの項目に分かれていて、それぞれの項目について聞かれます。例えば「学校の文化をどんな風に創っていますか?」とか。こういう質問って「学校の文化とはなにか?」ということを常に考えて、かつ実践していないと答えられないんだよね。
▼「世界統一試験」って?
リエ:IB認定校を卒業した子どもたちは、世界の大学へ進学できるんだよね?
ケン:それもIBの魅力の一つだよね。IBには「世界統一試験」というものを受けてスコアをとるんだけど、それがなんと3週間に及ぶ試験なの。世界同一時間帯で行われます。そこで一定のスコアを得ると、そのスコアに合った国内外の大学に入学できる資格を得られるんです。子どもたちは自分のスコアを見ながら、日本ならここ、海外ならここ、と選んで進学していくことになります。
リエ:まってまって、3週間ってすごくない?
ケン:日本は共通テストと大学個別の試験を合わせてもせいぜい2~3日だよね。IBの世界統一試験は、数学だけで3日間、計5-6時間かかったりするし、各教科1日では終わらなかったりする、特殊な試験なんだよね。さらに「知識を得ることにフォーカスされていない」というIBの特色の通り、IB側が用意した公式集や資料集を持ち込んで試験に挑みます。まさに知識の有無は問われず、「この資料を使ってアナタはどう考えますか」という試験で、自分の考えや視点をいかに論理的に記述できたり表現できるかということが、国際基準に則って評価されます。
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