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スピイベント潜入記④【2020年10月6日、7日「シンデレラ・プロジェクト」】


③はこちらから

◇◇

■「そりゃずるい」

二日目。最終日だ。
雨が降っている。乗り換えを派手に間違える。色々と辛い。
予定より30分も遅れて海浜幕張に着いた。ま、前日も列が順調に動いたし、なんとかなるだろう。

うおおおお!甘かった。大行列だ。
昨日と何が違うんや。これはあかんて。

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ソーシャルディスタンスもあってか、幕張メッセ入り口から数百メートルは列が伸びており、なんと隣の施設の階段下まで延々と歩かされ最後尾へ。

どうなってやがる。
開場時間になっても列が動かない。並んでいるキラキラスピ女子達みんなけっこう不安そうだ。

理由は単純。なんと時間になっても開場してない! う、嘘だろ…。
実は本日はウォッチャーさんがもう一人参戦(潜入)している。私よりも事情通のその方によると「リハーサルが遅れていた」そうだ。

マジかよ。こんな大規模イベントでそんなのある?
そのウォッチャーさんは雨の寒い中で1時間半も並ばされたそうでキレていた。
どうどうどう……私は初日にかなり免疫がついている。(謎)

やっと入れた。開場予定から40分遅れ。
開演は予定より30分遅れる見込みのアナウンスあり。おいおい。
前日よりちょっとだけ前の席に座る。

暇を持て余す。マルシェでも冷やかしに行くか……。

旺季志ずか氏(吉本興業所属、脚本家)が所持している「サウンズスキャニングセラピー」のチラシをゲット。
するとスタッフらしきおじさんが律儀に解説してくださる。

聞くと、「この音波の技術はソ連の機密で」という。
「ロシアですか?ソ連からの機密がロシアに引き継がれたのですね!?」と強めに確認してみる。
「ええ、はい…。それで」 待て待て待て、そこ大事よ。流すな流すな。
「体内から出ている音波を探り、整えて、免疫が上がる」「旺季先生は毎日この機器を使っている」とおっしゃる。

「え、すごい!じゃあ病気も治って健康になれますね!」(この演技力よ)
「いえ、“治る”という言葉は我々は使えないのです」
チッ!残念。引っ掛からなかった。よく分かってるじゃねえか。

この機器の代理店は2社しかなく、いま“医療用”も含めて1500台が日本に入っているそうだ。
ご興味を持たれた方はぜひ、日々を明るく生きることに集中してこのことは何もかも忘れてください。


さて、開演だ。待ってました…か?
まずは「アンビビッド」のファッションショーから。
昨日から何回ファッションショーやりゃ気が済むんだよ……。

このショーが別格だった。
なぜかというと、この「アンビビッド」はhappyが初めて洋服のデザインをしたというブランド。つまりがっつり宣伝。がっつり。
なんと本物のファッションモデルさんを使って見せている。

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すごいスタイルだ。みんな足が長い顔が小さい。媚びない。身のこなしが洗練されている。

昨日までの素人のモデルとはどう見ても明らかに違う。
いやあ、ちょっとそれはあまりにも、あまりにもご勘弁くださいよ!
いくら宣伝したいからといって素人さんだらけのショーの中でこれを持ってくるかね、しかし!?

スクリーンにご本人様のカッコいい感じのプロモーション映像。
それが流れる中で、こじゃれたビビッドな色合いのアウターにベレー帽にサングラスのhappy様が颯爽と登場。きたきた……。あーあ。

ランウェーでポーズして「anvivid」と白画面にブラックでカッコよく書かれたスクリーンに向かって歩くと、15人の本物のモデルさんもずらりと横並び、モデルさん達にだけライトが当たらず黒いシルエットになる。
その中央でスポットを浴びるhappyがバーンとキメ。あーあ。

マイクを受け取り、
「シンデレラ・プロジェクト2日目始まりましたー!」
(冒頭の写真)

会場、どわーー!ギャーー!大拍手の大歓声。
お前ら30分以上も待たされてよくそんなんやれるな……。

「かっこいいよねえー。私もかっこいいでしょう?あははー」
うるせえ。話す時はグラサンとれ。芸能界でも限られてるんやぞ、それ許される人は。

happy「白黒のシルエットの時、周波数(ヘルツ)出ませんでした? うわーって」
勝手にヘルツ=周波数にして書き起こしたぞ。感謝しとけよ。

服のブランドを作りたいと思って1年でこのショーにこぎ着けたそうだ。シャネルと同じツイード生地を使っているとかなんとか。
金払いのいい信者たちがいるのは知られているので、太い後ろ盾もあるんだろうか……。

本物モデルさんたちはピクリともせず黙って立っている。
それを「これ可愛い」「すごくないですか」「白と黒のね」などと言いhappyがベタベタ触りながら説明。完全にマネキン状態。でも仕方ない。彼女らは仕事だ。

マルシェに置いているのでぜひ羽織って欲しいそうだ。
(後の休憩時間に殺到しているのを見て居たたまれなくなった)

司会の鯨井さんが登場すると「どうだったどうだったねえどうだったどうだった」とはしゃぐhappy。うるっせえ。

happyは「みんなのやりたいを叶える場だけど、私も同じ土俵だから。人にだけやりたいことやんなよと言って自分が挑戦しなかったらダサい」と。
自分だけ本物使ってんじゃねえよ……。素人がかわいそ過ぎないか……。


■「This is me!」

さあ、ここからまた素人さんたち登場だ。
「私に時間ちょーだい。」ステージ。
「私はダンシングクイーン」だそうだ。

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目が痛くなるようなキラキラの衣装に身を包んだおば様達がたくさん出てくる。
曲は「ダンシングクイーン」(BABAA。間違えたABBA)
真ん中のキンキラおばちゃんが気持ちよさそうに歌っている。
5、6分歌いきって踊りきってみんな感無量で「ひーん」と大号泣。
よかったなおばちゃん……。

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これ、よく本物モデルがバリバリ歩いた後に持ってきたな……。
何かちょっと挟むとか主宰者の配慮あるだろ。

「クールベジタブルズ」
今度は金色の衣装に身を包んだ集団がレディーガガを歌って踊る。「Born This Way」だ。
ボーカルの女性はとても発音がよくキレがある。好きなんだろうな。声はさっきのおばちゃんの方が出ていた。

その金色集団の後ろから、野菜をイメージしたという服装の皆さま。なるほど、それでベジタブルズなんだな……。
モデルの年齢層かなり高い。その層に合わせた感じの色合いなのだろうか。
なんでレディーガガをここにくっつけたのか。意味が全く分からない中、またもやファッションショー開始。もう分かったって。

野菜たちが去ると、レディーガガダンサー達が再登場。あ、男性もいる。ああ、上を脱いで上半身裸でくねくね。だから脱ぐなってば……。

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終わると「最高最高!最高!決まったね!」とhappy登場。
またみんなやりきってボロボロ泣いてる。

このデザイナーさんがなぜ野菜をイメージした服を作ったのか。説明を始めるhappy。
「タケノコじいさんはイチゴちゃんみたいに赤くなりたがる。でも、タケノコが赤かったら変だよね。固いのに柔らかさを求めたら変だよね。野菜で例えたら自分それぞれでいいのに人間は人になりたがるよね、みたいな話をしたことがある。そのインスピレーションからこの衣装ができた」とのことだった。
あの……こんなにも「ちょっと何言ってるか分かんない」をぶつけるのがふさわしい説明あるか?

happy「あれは何?」ゴーヤです。
「じゃあこれは?」レタスです。
「あれは?」ドラゴンフルーツです。
「もうドラゴンフルーツ入れてくる所が天才的ですよねー」
そうだね。(つっこめよ)

他にも色々と病気関係の頑張れ的なやり取りとかあったけどなんかもういいや。


さて次。
「パワフルステージ45」

うわあ45。ってことは来るゾ、これ。
スクリーンに映されるおば様たち。
「女の美貌と、底力! パワフルステージ45!」
待て。身構える時間をくれ。45歳以上のショーの開始だ。

暗転。スポットの中から一人の白い衣装のおば様。アカペラ。

♪ かーごめ…かーごめ…かーごのなかの…

いや、なんでやねん!(わりと全力のツッコミ)
怪談でも始まるんか!?
歌い終えると急に力強い声「パワフルステージ45!」
ノリノリの音楽。ドンツクドンツク…

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みんなそれぞれ思い思いの派手めの衣装で登場。またファッションショー。うわあ、マジでおばちゃん達だなあ。
BGM変更「♪女の子は誰でもー」(東京事変) いやいや、いくらなんでも「女の子」は無理があるよう。誰がどう見てもおばちゃんだよう。
ウエディングドレス率が高く7割ぐらい!!
なんかバッサーと羽を広げるおば様も。
よし許す、飛べっ…!(やけくそ)

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最後はみんなで自由にダンスダンス!
BGMを切り替えるたび盛り上がる。

最後は、

「This is me!」 ドーン!終わりっ!

もう本当に大好きだもんねこの人たちって「This is me」みたいなの。
そうだよ、それがお前だよ。なんで分かってねえんだよ。

リーダーの女性「この猛獣たちをまとめるのが…」
会場おおウケ。でも、変に気どらずにこう言ってしまうのにはすごく好感が持てた。最後にちょっとだけ救われた気分。


■「結婚おめでとう」

はい次ね「HTLメンズコレクション」
もう、ちょっと悪いんだけど(ずっと悪いだろ)「うわあ」って。なんかもう「うわあ」って感想。ごめんなさい。
というのは、今までで一番の盛り上がりに全くついていけなかった。

このhappy界隈っておそらく信者さんの9割以上が女性。
でもやっぱり男性の信者さんも少しはいるわけで。その男性たちのステージだ。
おじ様たちが次々にスクリーンで普段の姿を見せてから、オシャレな衣装と洗練された変身をして登場する。
会場もやっぱり9割以上女性だから、これが盛り上がること盛り上がること。

若い男の子もいる。スクリーンに映る時はものすごくダサい。
「消えたかった」なんて暗いこと言ってる。
なのに、ステージに登場するとイケメン(に見えるように変身)。明るくガッツポーズや堂々とした姿。

これがもう悲鳴と拍手の嵐よ。
隣の席らへんの女性グループなんかもう悲鳴上げながら手を取り合って抱き合ってるもん。二席ずつ空けろって言ってんだろ。こんなん漫画のリアクションだよ……。

一番笑ったのが(いやごめん笑うて。笑ってた人も実際いるし)ダサいまま、変身なしで背中を丸める感じでしょんぼりしながらトボトボ出てきて、ランウェー途中でコケた人。
持っていた荷物からhappyの著書「3日後引き寄せ日記」が出てくる。それをむさぼるように読んで感動したらしい演技で、羽織っていた白い衣装をばさっと脱ぐ。

下から黒いビシっとしたスーツ。胸を張ってここで大変身!
グワーっと、盛り上がる会場。「うわあ…」と、うめく私。
音響も照明もすごく力が入ってる。

次の男性はさっきの男性が途中で脱いだ白い衣装と、ランウェーに残されていたhappyの著書を持って学者風になってビシっと去っていく。
なんか、こう……後で説明されな分からんやつちょいちょい挟んでくるよな。

最後はそのファッションショーにはいなかったおじさん達も出てきてみんなで激しい光の中でダンス。
三代目Jsoulブラザーズみたいな感じの激しい曲。(ごめん、よく知らんねん)

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いや、実は最後じゃなかった。
「ちょっと待ったー!忘れてもらっちゃ困るなあ」みたいに言って、アロハシャツのおじさん8人グループが出てくる演出。
この人らがシンプロ名物「オジザイル」らしい。

会場はもう爆発するような大騒ぎ。「ウギャーーー!」みたいな超絶大歓声。
ここのお客さんらって、他に好きなアーティストのコンサートとか行かへんのやろか……。これでよくテンション上げられるな……。

「USA」(DA PUMP)が始まる。
下手なんだけど、おじさんが必死で踊っているというのがウケるらしい。
もうアリーナみんな立ってる。ノリノリだ。

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チューチュートレインが始まった。私だけトイレいったろか。
ああ縦に並んで手をぐるぐるさせて回ってる回ってる。
ハイハイ、これやるなら当然そら回るだろうよ。回らいでか。ドバーっと盛り上がる。
スクリーンには「OJIXILE」の文字が躍り、EXILEメドレー開始だ。早く怒られろ。

ステージ終わり。ハアハアゼエゼエのおじさん方をhappyがさらに促し再び音楽。
総勢30人ほどでチューチュートレイン開始。ぐるぐるぐるぐる。ギャー!のドワー!!
もういいってば……。

しかし、ここで縦列に並ばせたのには理由がある。
なんと、コロナの影響で結婚式ができなかったというカップルが登場。
新郎はさっき変身した若い男性のうちの一人だ。純白ドレスの新婦さんとともにオジザイルたちの花道で祝福を受ける。

happy「会場のみんなでおめでとうって言いましょう。●さん、●さん、結婚おめでとー!」
私も拍手。よかったな。これは信者さんには一生モンだ。

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アリーナ席に向けてブーケトスだ。
幸運にも受け取った女性にスポットが!
さっきのベジタブルズの野菜だった一人のよう。大歓声と拍手。これには私も思わず前のめりに。

あわててマイクを向けにいくhappy。
「ご結婚は!?」
「してます」

な!?

happy「あらー幸せの上塗りですね。おめでとー」

な、な、なんじゃそりゃ!

(まばらな拍手パチパチパチ…)
そらそうなるよ。しょぼーんだろ……。

でも、よく考えてみれば新婦さんもたまたまそこに投げちゃったんだよな。
誰が独身とか知らんもん。で、そりゃ受け取るよ。目の前に飛んで来たら。
普通の座席だったら独身の人がみんな手を伸ばせたけど、今回ばかりは投げた所に一人しかいなかった。アリーナ席の座席間隔が離れているがゆえに起こった悲劇。どうしようもない。

ああ憎い、コロナが憎い…。


― 続く ―

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