「上司より優秀な部下」は存在するのか?
すこし前の話ですが、元ホストで実業家のローランド氏がテレビで、
『上司よりも優秀な部下は存在しない。なぜなら、上司よりも優秀な部下は、そう気が付いたときに自ら去っていく』
ということをおっしゃっていました。
今回はこの言葉の意味について、考えてみたいと思います。
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上司よりも優秀な部下、と考えると、私としては背筋が凍るような感覚に襲われるほど、どちらの立場にとっても不健全な状態に感じます。
上司よりも部下が優秀なので、てこの原理のように、上司の想定や思惑以上に部署の施策などが進んでしまい、管理が出来ない。つまり上司がリーダーシップを発揮できない。
または、上司には逆らえないので、上司がボトルネックとなって部下や部署が不完全燃焼となる。
足を引っ張る上司の存在理由が分からなくなる。待遇の不満も出ることで、他所に人材が流れる。
こうなるともう破滅の一途です・・・
確かにこう考えると、上司よりも優秀な部下は存在しない(存在しなくなる)でしょう。
しかし実際には、上司よりも仕事のできる部下は多いですし、CEOの仕事量以上に組織は大きくなっていくもののようにも感じます。
では、このローランド氏の言葉は間違っているのでしょうか?
考えるに、ここでいう『優秀さ』とは何かの定義によって解釈が変わるのではと思います。
確かに仕事、いわゆる『実務』においては、上司より優れた部下はたくさんいるでしょう。
CEOが実務レベルで従業員よりもこなせるか、といえば、そうではないと思います。
しかし、その優秀さの定義が『統率力』のようなものであったらどうでしょう?
思想や知識、知恵による説得力や、人間力のような愛される力、包容力など、統率に必要なものはたくさんあると思います。
多くの人間を信頼の元で束ねていく統率力というのは、組織運営には必要不可欠と感じます。
(恐怖で統率することも可能ではありますが、信頼は得られません…)
この統率力により、実務レベルで高いパフォーマンスを発揮する部下たちを、一つの大きな力にまとめることこそが、究極的な上司の役割だと感じます。
つまり上司は、実務が出来ているだけでは足りないのです。
日本の企業はその仕組み上、営業であれば売り上げが高いなど、実務能力で昇進します。
しかし、昇進すると、実務以外にマネジメント力も問われるため、シゴデキだけでは成果を出せなくなっていきます。
そして、かつて実務に優れた方がマネジメントで悩み、その役職から昇進も降格も出来ず居座ってしまい、席が空かないため後進がつっかえる(これをピーター効果といいます)現象が起きます。
このピーター効果から冒頭の現象をみると、不健全ながらも十分起こりえる現象といえます。
そうならないようにするためには、なかなか個人レベルでは難しい部分、特に、残念ながら部下の立ち位置からでは不可能な部分が大きいです。
評価制度や昇進制度の見直し、またはそもそも上司が部下に追い越されないような体制を組織レベルで行う必要があると強く感じます。
しかし、そんな優秀な部下がいる状態において、それらをマネジメント(統率する)ことは、果たしてそれほど難しいことなのでしょうか?
この上司目線でのテーマについては、
「部下の方が優秀なのでは」と感じた時に、上司であるあなたが取るべき行動とは?
のnoteにて解説していきます。
今まさにこの問題に直面している上司は必見ですが、リーダーシップやマネジメントの基礎を学ぶ上でも重要な部分ですので、これからリーダーになっていく方にも是非読んでもらいたいと強く感じます。
ご興味のある方はぜひよろしくお願いいたします。
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