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「一期一会」の語を作った直弼/風俗店と町屋が同居する街/彦根市

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★城郭 彦根城

 彦根市はアンチヒーローの街だ。時代劇などで敵役、悪役となりがちな井伊直弼石田三成がこの街では英雄なのだ。
 三成の居城佐和山城は彦根駅北東すぐ。彦根城と目と鼻の先だ。徳川家康を意識し東に備えて築城された。街には三成にちなんだ土産物や展示施設もある。
 関ヶ原の合戦後、井伊直政は佐和山城に入るが、まもなく徳川家の総力をあげた新たな城造りが、彦根城のある金亀山(こんきさん)で始まる。今度は西の大阪を意識し、また港を持つ城と城下町造りが行われた。以後譜代大名最大の30万石の大名として、明治維新まで変わることなく井伊家が藩主であった。
 井伊家は四家しかない大老の家柄だったが、最も有名なのが幕末に就任した井伊直弼だろう。朝廷の意に反し日米修好通商条約を結び、安政の大獄を引き起こしたことが負の事績として語られることが多いが、これは維新政府に都合のいいもの見方である。
 しかも直弼が44歳で暗殺されるまでの生涯のうち、大老職にあったのはわずか2年足らず。その間の事績だけで人物を語るのはあまりに狭い了見だ。
 直弼は1815年、13代藩主直中(なおなか)のなんと14男として、二の丸槻(けやき)御殿で生まれた。入り口に「井伊直弼生誕地」の碑が立つ。当時の建物の一部は現存し、庭から眺めることができる。直中はすでに隠居して

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