丹巌堂

特産の石の歴史に触れ/福井人の師、橋本左内を偲ぶ/福井市

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 越前平野は古代から栄えた場所だ。「現皇室は福井県出身」という展示があって、なるほどと思った。現皇室に連なる継体天皇は越前国から大和に迎えられた。天皇の巨大な石像が福井市街を見下ろす足羽山(あすわやま)の頂きに立つ。像はその足羽山特産の笏谷石(しゃくだにいし)で刻まれている。
 笏谷石は越前の繁栄を彩る重要な存在だ。古墳の石室や寺院の敷石などに使われ、戦国末期からは城の屋根瓦に加工して用いられた。「石の瓦?」と聞くと瓦を作れなかったのかと勘違いするが、豪雪地で寒冷地の福井では、陶製瓦では凍結して割れてしまうことがあった。その点笏谷石を削り出した瓦は耐久性があり、実用的だったのだ。
 石が削れるのか?と思うが、笏谷石は火山灰が固まった凝灰岩の一種で、関東の大谷石と似てノミなどで簡単に加工できる。周辺では石仏や祠など様々に使われており、中には市内の九十九橋(つくもばし)のように石の橋もあった。市立郷土歴史博物館に実物大模型があって壮観だ。

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       九十九橋の実物大模型。橋脚が石でできている

 越前の繁栄は三国湊などに代表される日本海交易によっても支えられていたが、笏谷石はその船に乗せる重要な交易品でもあった。加工しやすく、水に濡れると美しい青色になり青石とも呼ばれ、日本海沿岸各地で様々に珍重された。
 山形県鶴岡市には江戸時代初期の巨大な鳥居が残る。同じく酒田市の日和山にも石畳がある。松前町の項で触れたが、松前藩主の墓は笏谷石で作られている。他にもむつ市、舞鶴市、松江市など至る所にある。交易品であるとともに、船の安定を保つバラスト材として使われていたため広範囲に広まっ

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