坊さんは熱く語る〜本のひととき〜

「ボクは坊さん。」白川密成

お坊さん。

法事のたびにやってくる人、もしくは日本昔ばなしの登場人物のひとり。

失礼ながらパッと浮かんだイメージはその程度だった。

お坊さんが何をしているひとなのか、どうやったらなれるのか。知らない人は多いと思う。どうだろう?

ボクは坊さん。

そのままズバリのタイトル。

24才の現役僧侶が綴ったノンフィクション。

表紙のイラストから想像するに、お坊さんを身近に感じられるよう多少コミカルに描かれるのだと思っていた。

住職を祖父に持ち、お寺の子として生を受けた著者。そのお寺は愛媛県にある四国八十八ヶ所霊場のひとつ・栄福寺。

高野山の密教修行を終え、一度は社会に出たという経歴がユニーク。書店にお勤めだったそうだ。

祖父が急逝したため、住職の道へ。

そのくだりは冒頭で語られる。

お坊さんならではのエピソードも散りばめられているが、要所要所で弘法大師のことばが引用される。現代語訳が添えられ、仏教に明るくない私にも伝わった。

社会人として過ごした日々も経験のひとつ。

著者は自分なりのやり方で住職の仕事に向き合う。

お墓に始まり、私たちが逃れられない生と死という壮大なテーマまで。楽な道ではないが「坊さんを楽しむ」と語っている。

古い形は大切だし継承するものだけど、ライフスタイルは時代と共に変化していく。だから現在進行形のはず、という考えもうなずける。

自分だからできること。

自分のことばで伝えること。

実行しないことは、怠るのと同じだ。

著者の修行は今も続いているのだろう。

私も、楽しむことを忘れずに生きて行こうと思った。

大袈裟かもしれないが。

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