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あまやどり読書室

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読んだ本の中から、「これはよかったよ!」というものを紹介しています。
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2019年10月の記事一覧

考える素材として│読んだ本

タイトルだけ読むと、世間に物申すというか、やや前のめりなイメージを持つかもしれないのですが、実際に読んでみた印象は立ち止まって、振り返って、考えて……を繰り返しながらゆっくり進んでいく感じの本です。 本書は知人の身に起きたことをきっかけに執筆した本、ということもあり、明快な結論があるわけではありません。書きながら浮かんできた思いを言葉にしながら話を進めていくので、読み終えてもなんとなくぼんやりした感覚が残ります。 その意味では、結論だけを知りたいという方にはもどかしく感じ

たまにはなじみがない本を│読んだ本

アマゾンの潜入ルポを読んでいる最中に買った本です。ゴリゴリっとした本を読んでいると、あまり何も考えずにさらさらと読める本を欲してしまうのですよねぇ。 ただこの本、タイトルに「さみしさ」なんて入っていて、「何も考えずにさらさら」といかなそうな気もしたのですが、たけしさんの本だから大丈夫かな……と思って手にとってみました。 文体が会話調だったこともあり、確かにさらさら読めましたが、「老い」とか「死」といったことがテーマになっているので、やっぱりさらっと簡単に流せなかったです。

「自分さえよければ…」が行き着くところは│読んだ本

なんとなくタイトルから内容が想像できたので、もともと読むつもりはなかったんですが、気付いたら買っててびっくりした本です(ホントに)。 棚に戻したつもりだったんですけど、買ってたんですねぇ。たぶん、ビジネス書なんてめったに紹介しない方が、SNSでこの本を紹介していたのが気になって買ったんだろうと思います。 この本はアマゾンの実態を描き出した本です。アマゾンは徹底した秘密主義を貫く会社ということで、著者自身が小田原にある配送センターで注文した商品をピックアップするアルバイトを

料理の「きほん」を身につけるために|買った本

レシピ本をたくさん持っている割に、見ながら作ることがほとんどありません。なので、なくていいんじゃないかと思うこともあるんですが、たまにパラパラ眺めるのは楽しいし、なくすとただでさえ殺風景な部屋がもっと殺伐とした感じになりそうな気がして、そのままにしています。 そこに先日、楽しみにしていた寿木けいさんのレシピ本、『いつものごはんは、きほんの10品あればいい』(小学館)を本棚に加えました。 寿木さんは Twitter で「きょうの140字ごはん」というアカウントを運営されてい

映画『任侠学園』を観たあとに│読んだ本

『きのう何食べた?』をきっかけに、筧史朗(シロさん)を演じた西島秀俊さんが出演された作品を観るようになりました。もちろん、西島さんがナンバー2の日村誠司役を務める映画『任侠学園』(2019年9月27日より公開)も観ています。 この映画、主人公がヤクザということもあり、最初はちょっと抵抗があったのです。でも、試写会で観せていただいたときに映像から作り手の情熱がものすごく伝わってきたこと、最初から最後までほぼ笑いっぱなしだったせいか、試写室を出た後に心が軽くなっていることに感動

『華氏451度』で描かれたことが現実になっていることに冷や汗をかく│読んだ本

小説の中でもSFはなんとなく避けていたジャンルのひとつなのですが、藤井太洋さんの『ハロー・ワールド』を読んで、SFで描かれるちょっと先の未来って怖いけど面白いと感じ、少しずつ読んでいます。 『華氏451度』を選んだのは、たまに参加している洋書の読書会で課題図書になったことがきっかけです。英語のほうで一度読み終えたのですが、わかるところとそうでないところの落差が激しく、ストーリーを追えていたのか自信がなかったので。 最後まで読み終えて、おおまかなストーリーは追えていたこと(