用語 まとめ③「一時庇護上陸」「仮滞在」

一時庇護上陸

(入管法18条の2)

船舶や航空機の外国人乗員や外国人乗客に対し、在留資格が無くとも一定の条件を満たす場合に限り査証等を求めることなく、簡易な手続により一時的に上陸を認める許可のこと。

こ難民に該当する可能性があり、かつ、その外国人を一時的に上陸させることが相当であると思われるときに入国審査官が許可する。

しかし、一時庇護上陸許可数は著しく低迷しており、許可を得られる確率は低い。また、仮に許可されても、就労は禁止されており、生活の困難に直面せざるを得ない。

一時庇護上陸許可制度については、①その許可数が年間0~数件に止まっていること、②その審査中は並行して難民申請をさせず一時庇護上陸の結果が出てから初めて難民申請を受理する実務が主流であること、③一時庇護上陸が不許可となった外国人に対しては、改めて通常の上陸許可申請を行う機会さえも付与されず、法的地位が明確でないままに退去(帰国)させられる実務であること、といった多くの問題点が存在する。

2006年から2010年までの5年間では、合計110件の申請があり許可が合計4件に過ぎないので、許可率は3.6%である。

仮滞在

(入管法61条の2の4)

不法滞在者等の在留資格未取得外国人から難民認定申請があれば、当該外国人が本邦に上陸した日から6か月以内に難民認定申請を行ったものであるとき(「6か月要件」)、または(クロ注:難民性についての)一定の要件を満たす場合に、仮滞在を許可し、その間は退去強制手続が停止される。

なお、仮滞在許可の判断は、難民認定申請者から提出のあった難民認定申請書等の書類により行うので、別途、仮滞在許可のための申請は必要ありません。

仮滞在期間は,原則として6月。
仮滞在許可を受けた者は住居や行動範囲が制限されるほか就労は禁止され、難民調査官から出頭の要請があった場合には指定された日時、場所に出頭して難民認定手続へ協力する義務が課されるなど種々の条件が付される。

実務上の許可率は低迷しており、2011年の仮滞在許否判断数は689人で、仮滞在許可者は71人(10.3%)に止まり、不許可者のうち「6か月要件」が不許可理由として含まれている者は455人に上っている。

<参考文献・URL>

関聡介「続・日本の難民認定制度の現状と課題」『難民研究ジャーナル 第2号(2012年)』難民研究フォーラム編

出入国在留管理庁「難民認定制度」のページから一部要約・抜粋。