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記述問題のトレーニング法(初級編)

「記述が苦手なので、どういうトレーニングをすればよいか」

というご相談があり、考えてみました。

ここでは、次のようなお子さんを想定しています。

「塾のテストで、抜き出し問題はいくつか答えられるが、記述の解答がなかなか作れない。毎回ちょっとしか書けないか、空欄になってしまうことが多い。」

もちろん、毎回の塾の授業をしっかり聞いたり、教材に取り組んだりして、演習問題を解いていくことが重要なのは間違いないです。ですが、そこで取り組む問題には空欄補充、抜き出し、選択問題、記述問題と、いろんな種類があります。ピンポイントで記述の作業の練習をしたい、となると、もう一工夫あれば・・・という場合もあるかもしれません。

そこで、記述問題を解く作業を分割して考えてみたいと思います。

2つの工程のうち、ハードルの低い方を練習

記述問題を解くプロセスには、大きく分けて2つあります。

  1. 設問の答えとなるポイントを本文から拾ってくる

  2. 拾ってきたポイントをつなげて、一文にして解答する

1.よりも2.の方がハードルは低いです。そして塾の記述問題が空欄になってしまうお子さんは、まず「2.拾ってきたポイントをつなげて、一文にして解答する」がうまくできません。

そのような状況で記述問題に単純に取り組むと、まず1.でつまずき、2.に至らないまま白紙、という状況になってしまいます。これを克服していくのは、本来かなりハードルが高いものです。

そこで、まずは、2.の低めのハードルを越えられるように練習する、という方法を考えてみます。

「それじゃあ1.は練習できないじゃないか」と思われるでしょうが、それでもこのやり方を提案してみるのには理由があります。

志望校や問題のレベルによって、1.が比較的容易な問題もあります。傍線部の直前や後ろに根拠が固まっているような読解問題です。そういう問題は正答率も高くなり、「取るべき問題」です。そういう問題への対応力をつける場合、2.の力をつけておくことだけでも大きいと思います。

定期的な塾のテストの記述問題(マンスリーテストや週テスト、学習力育成テスト)を使うのが最も効率が良いと思います。すでに取り組んだ読解問題ですので、「書く作業」の練習に適しています。復習は終わった前提です。定期的に行われるので、のちのちの練習材料としてストックしていけるのも強みです。塾のテストでなくとも、40字〜80字くらいの、ポイントが2,3箇所に分かれている記述問題であれば最適です。

手順

1.問題文をコピーする。原稿用紙を用意する。

2. 40字〜80字くらいの記述問題を探す。

このくらいの問題が模試にはよく出てきます

3.記述問題の模範解答を見て、解答のパーツが本文のどこにあるかを探す。解答のパーツの該当部分を見つけたら、コピーした問題文にマーカーを引く。わからないパーツがあれば、ぼう線部の近くにメモする。
(お子さん一人では難しいかもしれないので、大人と一緒にやってもいいし、大人がやってあげても良い。状況に応じて判断する)

ポイントが2〜3ヶ所程度に分かれているのが望ましい

4.後日、マーカーを引いた問題文を見ながら、記述問題の解答を作る。

赤字部分を解答時に調整する必要がある

5.解答を大人が見てあげて、正解になっているか、日本語がおかしいところがないかを確認する。

以上です。

この練習で必要な作業

「パーツをつなげるなんて簡単じゃん」と思われるお子さんは、この作業は不要だと思います。

  • 2つの「句」や「節」をどう「複文」にしていくか

  • どの名詞にかかるようにすればいいか

  • 主語をどうまとめるか

  • 解答の主語だと、述語は能動態が適切か、受動態が適切か

  • 各パーツの末尾をどう調整して正しい日本語にするか

など、こういう作業が地味に足かせとなってきます。これに特化する練習というのも、お子さんの学習段階によっては必要になってくるかもしれません。

こうした作業が悩みながらではなく、スムーズにできるようになってくれば、終了して次のステップを考えて良いかもしれません。

そしてもし、余力があるようであれば、正解した問題に関しては、後日マーカーをつけていない問題を使って、「1.設問の答えとなるポイントを本文から拾ってくる」という作業からやってみるのも良いかもしれません。

参考にしてみてください!


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