国語で線を引く上での重要な考え方

国語、現代文の文章で、線の引き方について、迷っている人もいると思います。今回はテクニック的なことではなく、「考え方」について書いてみます。

「いちばん大事なこと」を読み取る

当たり前のように聞こえますが、文章読解においては、「いちばん大事なこと」を読み取る必要があります。その補助手段として線引きがあります。

その「大事なこと」とは、文章のジャンルによってとてもざっくりと、次のように分けられます。

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ただ、いろんな筆者・文章が存在するので、最初に「なんか主張っぽいことを述べているな〜」と思って線を引いても、その後の具体例をよく読んでいくと、「いちばん大事なことはそこじゃなかった」なんてことはよくあります。

「一番言いたいことは何か」をチューニングし続ける

では「いちばん大事なこと」を(われわれ大人は)通常どうやってとらえているのか。

たとえば、吉本隆明『悲劇の解読』の一部を読んで、こういう要約ができたとします。

太宰治の作品には、①読者の感受性にすっと染み込んでいく魅力と、②人間存在の深い問いかけとの両方がある。太宰は他者との関わり方がわからない不安があり、③悲劇的な作品を創り上げる資質をもっていた。

この本文を実際に読んでいくと、最初は、

「ふむふむ、筆者は『①太宰の作品には読者の感受性にすっと染み込んでいく魅力がある』ということを言いたいのかな?」

と考えるのですが、読んでいくと、

「いやいや、それよりも②人間存在の深い問いかけがあることの方が重要そうだぞ」

と分かってきます。そして最後まで読めば、

「なるほど、この文章は①②を踏まえて『太宰は③悲劇的な作品を創り上げる資質があった』ということを紹介したい文章なんだな」

と分かるわけです。

こうして読んでいく間、「この筆者はいちばん何を言いたいのか」をとらえるべくアンテナを張りながら、「これか?いや、これじゃない、・・ああ、これだ!」というふうに、「言いたいこと」の核心を正確にチューニングし続けていくのです。

手順その1:本文を読む時に線を引く

本文を読み終わらないで線を引いている間は、何がいちばん大事な情報なのか、まだ決まっていません。それでも大事な部分をつかむために、具体的にどういう手順で本文を読み、線を引くか。

↑この記事に書いてある、具体的な手順例を引用します。

作業1:「全体のテーマ・流れ」をつかむ
作業2:説明文であれば「具体」「まとめ」のグループ分けをする。
     話題・主張・言い換え・対比・キーワードに線を引く。
     物語文であれば「場面」を分け、心情の変化をとらえる。
     心情表現・心情を表す場面描写や比ゆに線を引く。
注意:あまり細かいことにこだわらない。さっさとやる!

線を引く際のイメージとしては、この部分は要約したときに残すべきかどうか?で決めると良いです。

要約したときには、重要でない情報は削ぎ落とされ、いちばん大事な筋だけが残っているはずです。その要約で残っているはずの、
・説明文ならば、話題・主張・対比・キーワード
物語文ならば、心情表現・心情を表す場面描写や比ゆ
に線を引く、と考えるといいのではないでしょうか。

そうして、線を引いている部分をつないでいくと、要約が完成する、というイメージです。

手順その2:設問を解くときにも線を引く

さらに、設問に答える上でも線を引くことになるでしょう。ここでは最初の読みのときより、つまり要約しようと引いた線よりも、もう少し細かくなります。それぞれの設問の解答の根拠を探すわけですが、そこに線を引きます。
具体的には、

・ぼう線部の言い換え表現
・ぼう線部に対応する対比表現
・ぼう線部の理由となる表現

に当たる部分です。

というわけで

こうした線引きは、一朝一夕に身につくものではありません。毎回、毎週、テストや問題演習で線引きをし、復習するときにその線引きを検証していきます。解答しているときには自分を信じてバンバン線を引く。復習するときには謙虚に丁寧に見直していく。その繰り返しで、きっと読解の精度が上がってくることでしょう。

参考にしてください!

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