見出し画像

今年も難関私立大学の受験は厳しかった

今年の大学受験も終了し、結果が出そろいました。その中で担当している生徒さんや、また同業者との情報交換を経て思ったことがあります。

それは、首都圏の難関私大受験が、依然として非常に厳しい、ということです。

ご存知かとは思いますが、首都圏への学生集中を抑制するために、定員の超過に対する補助金の削減ルールが厳しくなりました

2015年までも、大規模な私立大学の入学者数が定員の1.2倍以上になると、助成金が全額交付されないというルールがありました。しかし、文科省はさらにこの基準を厳しくしていきました。具体的には、2016年度は1.17倍、2017年度は1.14倍、2018年度は1.1倍以上で補助金が削減されてしまいます。

しかも、2019年度からは、入学定員充足率が90%~100%となった場合に限って補助金が増額されます。

ということは、大学側の気持ちとしてはこうなります。

「定員が1.1倍になったら補助金がもらえないから絶対増やしたくない、でも、定員がちょっと割れたとしても一定の補助金が確保できる、ということなので、合格者を少なめに出したいな〜」

実際、難関大学では、合格者を少なく出すようになっています早慶上智やMARCH、関西では関関同立が特にその傾向が顕著です。

たとえば早稲田大学でみてみましょう。

画像1

グラフ

画像2

(「総志願者数」というのは、センター利用と一般受験両方を出願した人1人を「2人」とカウントした「延べ人数」です。実際の受験人数である「実志願者数」は毎年54000人程度と考えられます。早稲田大学ホームページより作成)

2018年度入学の合格者は昨年よりも約1900人減少しました。たとえば法学部だけで限ると、約200人減少しています。これは昨年の合格者と比べて、約15%減少していることになります。

そして、最新の2019年度の合格者は速報値ですが、昨年より5人少ない程度で、合格者数は横ばいでした。これはどう考えればよいでしょうか。

予測でしかないですが、入学定員を1人でも超過すれば助成金を減額する、という罰則強化策が予定されていたらしいのです。ただ、それが見送られたため、さらなる悪化は防げたということのようです。とはいえ、依然厳しい状況は変わりません

肌感覚としても、抑制策が講じられる2015年以前だったら早稲田も受かっただろうと思われる人が、日東駒専に合格できなかったという例も聞きます。(あくまで極端な例です)

つまり、従来の受験業界の常識で判断しきれない事態になっています。

それだけに、今まで以上に真剣な進路設計が必要です。

もし、大学に入って何を学びたいか、将来どうしたいか、があるならば、作戦を立てやすいです。

たとえば、弁護士になりたい、という人の場合。

早稲田は定年退職した東大のレジェンド教員(司法試験を作っているような人たち)を多く雇っているそうで、法科大学院の質がとても魅力的になっています。もしその大学院が目標となった場合、大学受験でわざわざ早稲田に入る必要はなく、他大で4年間しっかり勉強をしたほうが良かったりするかもしれません。

また、将来、関東で仕事をしたいか、関西で仕事をしたいか、という考え方もあると思います。

関東であれば、関東圏の大学に行っておくのも良いでしょう。また、関西で仕事をするのであれば、関西圏の大学のほうが知名度があり、もしかするとOBも多いかもしれません。

もちろん、将来のことを高校時代にしっかり考えられている人は多くはないと思います。(かくいう自分がまさにそうでした。ただ東京に出てバンドがやりたい、というだけでしたので苦笑)

でも、これを機に考えてみるのもいいかもしれません。大学進学は人生の大きな転機の一つです。

僕の日々の授業の方でも、お勉強だけではなく進路についても、ちょっとずつ話をしていければなと思います。「でさ、大学入ってどうする?」というような雑談も含ませていきながら、少しずつコミュニケーションを取っていければと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?