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外傷性くも膜下出血における白質異常~論文紹介~

初めまして。くろと申します。
臨床4年目、回復期リハビリテーション勤務の作業療法士です。

今回は、外傷性くも膜下出血についての論文紹介をしていきたいと思います。


はじめに

くも膜下出血とは、くも膜が破れたことによるの出血です。
脳動脈瘤破裂によるものが有名ですね。
外傷性くも膜下出血は外傷によるものです。
これまでの研究では、外傷性くも膜下出血では、他の脳損傷を伴う/伴わない場合でも、予後が不良であることが報告されています。
今回は、その外傷性くも膜下出血について調べてみました。


研究方法

対象者
・10 人の患者
(男性 6 人、女性 4 人、平均年齢 50.60±19.17 歳、範囲 23 ~ 79 歳)
・年齢と性別が一致した健康な対照被験者10名
(男性6名、女性4名、平均年齢49.50±16.99歳、範囲22~74歳)

拡散テンソルイメージング等を使用して研究されました。


結果

  1. 患者群のFA値は、48個の白質ROIのうち19個で対照群のFA値よりも低かった。

  2.  患者群と対照群の間で FA 値の比率が最も低い ROI は、脳梁とその隣接する神経構造 (脳梁と帯状体)、脳幹とその隣接する神経構造 (大脳脚、上小脳脚、中小脳脚)、長い神経路(放線冠、皮質脊髄路、上縦束)を通過する皮質下白質であった。

FA 値とは、水拡散の方向性の程度を反映し、白質の完全性 (例、軸索径、線維密度、髄鞘形成を示す) を表し、白質の状態を評価するために使用されます。FA 値の低下は、対象の神経構造の微細構造の完全性の低下を示します。 

これまでの多くの研究では、外傷性脳損傷患者の白質のほとんどは局所軸索損傷等を伴っていました。

考察

その他の研究でも白質が広範囲にわたって損傷していることが示されています。
多彩な症状を示す可能性が考えられ、リハビリテーション評価としても、様々な評価が必要となる可能性があります。
臨床で出会った際には、症状をよく観察し、残された機能を活用しつつリハビリを進めていきたいですね。

参考/引用文献

Kim MS, Cho MJ, Kim JW, Jang SH. White Matter Abnormalities in Traumatic Subarachnoid Hemorrhage: A Tract-Based Spatial Statistics Study. Med Sci Monit. 2021 Oct 17;27:e933959. doi: 10.12659/MSM.933959. PMID: 34657118; PMCID: PMC8529937.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC8529937/


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