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そして受け入れる。

「仕事終わりに飲みたくなるものはなんですか?」

そう聞かれたとき、皆さんは何を思い浮かべるのだろう。

ビール。
焼酎。
ハイボール。
レモンサワー。

私は迷わず、「紅茶」と答えます。

自分以外に、この質問をしてお酒以外の答えが返ってくる瞬間に私は遭遇したことがありません。

だからなのか、周りからは希少種の生き物を見るような視線を浴びます。

「変わってるね。」

この言葉を聞くと胸が苦しくなる、そんな過去が私にはありました。


私にとって、「誰かと同じ」というのは心の安定化剤でした。

目立ちたくない、変に思われたくない、嫌われたくない。

そうならないためにも、普通を演じる。

でもふとした瞬間に本音が漏れて、視線を浴びる。

実際には存在しない誰かの声が、耳に響くような苦しみを感じる。

耳を塞いでうずくまることしか出来ませんでした。


でも今は違います。

誰かと違う、そんな自分でいられることに誇りを感じる。

みんながお酒好きでも、私は紅茶が好きだと胸を張れる。

自分が苦しんでいたはずの言葉を、喜びを感じる言葉に変えることが、どうやら人間には出来るようです。

茶葉の渋みに顔を歪めていた少年時代の私。

今となってはその渋みを受け入れて、心から楽しむ私がいるように。


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