【雑記_7】大人になってからニュースが嫌い

「朝からそんな顔するんじゃない」と言われて、自分の眉間に皺がよってることに気づいた。
朝8時20分。メイクをしながら朝の情報番組を見るのが習慣となっている。

まったく朝から嫌な気分だ。
行方不明の子ども、大学生の交通事故、痴情のもつれによる殺人事件、芸能人の一家心中。

もっとこうさあ…

パンダの赤ちゃんが産まれました　とか、
犬が「おはよう」って言ってる空耳動画　とか、

そういう頭空っぽにして
「あらまあ、可愛いねぇ…👵」
って思えるニュースをくれ！！！！

ちなみに最近はニュース番組中、
大谷翔平くんにとびきり癒されてる。

スポーツとハピネスなニュースだけを流しておくれ。せめて天気のいい朝には特に。

そんな話をドライブ中に友達に打ち明けると、「わかるよ、めっちゃ分かる。吉田正尚もいいよね」と求めていた、いや、求めすぎていた返答をいただけた。

そしてふと友達が言った。

「でも学生のときはここまで落ち込まなかったよね、朝のニュースに。なんでだろ」

「たしかに。社会人になってからの方が心が辛い気がする」
「ね、そうだよね。自分の心に余裕がないからかな」
「毎日の楽しみがなくてストレスばっかりなのに、さらに暗いニュースが報道されたら、ね。」

友達がふーっと煙草を吸う姿を見て、私はとあることに気づく。

「わかった！大人になって想像力増したんだよ」
「なに急に」
「今までさ、無職の36歳男性が事件起こしたって言われても"ふーん、そっか"で終わってたけど」
「うんうん」
「今だと、"この年齢で働いてないって…"とかその人の背景を隅々まで考えちゃうんだよ」
「あーーなるほどね」
「世の中の嫌な部分を沢山知ってしまったからこその想像力…！」
「あれだ、一言で言うと事件の解像度が上がったんだ。だから余計嫌になってんだワ。」
「あ〜〜！！！それそれ〜！！！！」

ディスカッションの終わった車内にORANGE RANGEの上海ハニーが響いた。「いやあスッキリしたね」「良いディスカッションだったね」

気温は25度。朝見たニュースへの嫌悪感はやっと消化されて、心地いい初夏の風が車に入り込む。

横をみると、部活に行く途中なのか、自転車に乗る学生たちがたくさん。若いなあ、坊主だし野球部だろうな。

ついつい気持ちよくなって「いまのうちに青春たのしめよ〜〜！」と言うと運転中の友達の左拳が飛んできた。

「馬鹿！窓あいてるっつーの！」

「スミマセン……」

大人になった気がしてたけど、
やっぱりまだそうでもないみたい。

m.