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日米株価を長期的に比較してみて分かること

先日、証券会社が主催するオンラインセミナーを受講した。ETFについての説明会なのだが、講師を務めたモーニングスター株式会社代表取締役社長・朝倉智也氏は、米国ETFは普段から積極的に勧めているが、日本のETFはそれほど熱心には勧めていないらしい。

一応、氏が言うには
・日本株ETFは保有数や出来高がなどの規模が小さいものが多い
・規模の大きい日経平均やTOPIXのETFであれば買ってもよい
ということだったが、恐らくそれだけではないだろう。というのも、日米の長期的な株価の推移をみれば、一目瞭然だからだ。

こちらが米国S&Pの40年ほどの株価の推移である。

Investing.com S&P500 (SPX)

2000年代に2度ほど暴落と言える時期があるが、概ね右肩上がりであるといえるだろう。

2度の暴落は2002年頃のITバブル崩壊と、2008年頃のリーマンショックである。いずれも、その当時は大変なことだったろうと思うが、いずれも数年で回復している。また暴落と言えば2020年のコロナショックが記憶に新しいが、その後の金融政策とと財政出動によりすぐに回復し、ほんの小さな揺らぎでしかない。

つまり、過去の実績からみて、15年以上の長期でいえば、まず儲かる可能性が高いと言えるだろう。

一方、こちらが日経平均株価の推移である。

Investing.com 日経平均株価 

2013年頃、つまりアベノミクス以降は右肩上がりと言っていいが、それ以前、1990年代以降はむしろ右肩下がりと表現するしかない。1989年の史上最高値を未だ更新できないでいる。

30年以上も前の株価より今の方が低いなど、先進国として俄かに信じられないことだ。30年前と言えばS&Pは今の10分の1以下でしかない。米国株が10倍になったこの30年で、日本株は逆に3分の2に下落しているのである。

両者の比較から分かることは、
・米国株は長期で見れば値上がりする可能性が高い。
・日本株はどうなるか、今一つ信用できない。
ということになる。これでは日本株を積極的に勧めることはできない。

日本政府は以前から「貯蓄から投資へ」をスローガンにNISAやiDecoなどの税制優遇措置を取っているが、それならば日本株が長期的に上がるような政策をとって頂けないものか。

アベノミクスではその信用が一定程度あり、現実にも数年に渡って値上がりしたのだが、岸田政権ではどうも期待できない。今は引っ込めているが、金融所得課税の増税を言い出すなど、どうしても期待よりも不安がよぎる。

日本株の信用が低いままでは、日本株ではなく米国株に投資しろ、と言っているようなものである。日本の税金を割り引いてまで米国株への投資を推進しているようなものなのである。

岸田首相はロンドンで「Invest in Kishida(岸田に投資しろ)」と演説したが、これほど迫力のない首脳演説もない。投資しろというのであれば、確約などしなくてもよい、せめて儲かるという夢だけでも見させてもらえないものだろうか。

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