vol.8 お酒の飲めない営業本部長によるキャリアの旅_特命Gと新規事業

2009年後半~2010年のこと

前営業本部長の中原さんからやってみないかと打診頂いた仕事は特命グループ。メンバーは浜田さん(現リージョナル営業部副部長)と青野さん(現人事部長)の2人で3人のグループです。夜が得意な中原さんは様々な人脈をお持ちで、そこで盛り上がる話もあるのですが、実現する部隊がないということでその役割を担うことになりました。形になったものがあったか無かったかあまり記憶にありませんが、気心知れた後輩と様々な企画書を作り提案するなど、完全に切れていた糸を結び直す時間として有益な時間を過ごせました。

次に新規事業です、事業名はかんたんSaaS。デヂエという製品がありまして、そのデヂエをプラットフォームサービスとして提供し、事業会社と提携してそのノウハウを形にして販売しようという取り組みです。ファブレスメーカの工場と本社で利用するアプリ、環境コンサルティング会社の産廃マニュフェスト伝票管理、住宅メーカーの施主向け建築中アルバムサービスなどをリリースしました。しかしなかなか販売実績につながらず、次第に短期収益を目的にSFAテンプレートをキャリアと組んで販売する計画に変わっていきました。

ここで私が他者評価を受けることが出来なかった原因となる悪い癖が再び出てきます。

事業に対する批判であり、行動です。この新規事業は計画時点から短期の収益化は難しいと感じていました。ただ事業プラン自体は共感できる内容であり、その実現に向けて活動していました。だからこそプラン変更に納得がいかず、上司に食って掛かります。その時に上司から伝えられた言葉が今でも忘れることが出来ません。

「なんか勘違いしてる?お前の役割は事業におけるチャネル開発(≒営業)であり、事業自体に権限もなければ責任もない。意見は聞くけど、事業の権限と責任はリーダーである自分にあるということは理解すべきじゃないか。」

これです、これ。全く持ってその通りでございます。組織で仕事をしていると当然意見が割れることがあります。人によって強弱はありますが、誰しも意見があるということは自分の意見が正しいという立場に立ちます。私は自分の意見が正しいという立場が【強】だったんですね。意見が割れたときのためにリーダーが存在し、そしてその決断に責任がともないます。意見が言えない心理的安全が確保されていない組織はリーダーの独断になりがちでイエスマンしか周りに集まらず決断の質が高まりません。しかし逆もしかりでリーダーの決断に従わないメンバーばかりでは組織を健全に運営することが出来ないのです。

このことが理解できなかった私はリーダーが間違っていると自分が思った時に組織の邪魔になるような行動ばかりを取っていたことに気が付きました。どんなに力があろうと正しかろうと意見が割れた時、責任と権限があるリーダーの決断を邪魔するようなメンバーは評価されるはずもありません。

この後は変更された事業プランをもとにチャネル開発に専念します。心の底では事業プランに納得しきれていませんでしたが、それはチームで決めたこと、と完全に割り切って自らの役割に徹しきりました。チャネル開発の成果は上々と自己評価しても良いぐらいと思っています。かんたんSaaSの営業テンプレートを、とあるキャリアとタイアップが出来て、先方の法人部門担当役員と青野の共同記者会見までこぎつけます。

公開済みで過去の情報だから成果を貼り付けちゃいましょう。サイボウズとソフトバンク、iPhone向け「かんたんSaaS」で提携、2010年4月23日、懐かしい!

予想通り!?この事業は撤退することになります。さて肝心の私の評価ですが、しっかり評価を頂けたと感じました。かんたんSaaS営業の次はプロダクトマネージャーという役割につきます。メーカーにとってPMは重要な役割であり、評価していない人間に任せる仕事ではないですからね。ようやくチームで仕事をする時に大事なことが理解できました。その時32歳。遅いのか早いのか分かりませんが、このことは今現在に至る非常に大切な学びとなったことは間違いありません。

次回は営業現場を離れ、プロダクトマーケに関わることになった時代の話です。

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