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radikoのレコメンド機能実装プロジェクトを勝手に妄想する

radikoを使っていて、ふと「radikoよくやったな、でも大変だっただろうな」と感じたところをデータサイエンティスト視点で書いていきます。

ラジオが好き

1日が24時間では足りない。最近は特にそう思うことが多い。何かの期限に追われているわけではないが、起きている時間は常に何かをしている。そんなとき、ラジオというのは私たちの生活にすっと寄り添ってくれるメディアだ。家事をしながら、運転しながら、入浴しながらでも私たちの時間を奪わずに情報を届けてくれる。

私はラジオを聴くときにはいつもradikoを使っている。radikoはインターネット回線を通してのラジオ音源を流すので、音質が安定しているし、1週間以内なら無料で過去の番組が聴ける。しかも、1つのアプリで各局の番組を聴くことができる。普段はライバル同士で別々の電波を発しているラジオ局が1つのサービス内に(仲良く?)収まっている。

ついにradikoにレコメンド機能が

普段、企業の中でデータ分析の仕事をしている私が今回気になったことは、最近radikoにレコメンド機能ができたことだ。アプリだとこんなかんじでオススメの番組がレコメンドされる。

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レコメンド機能で有名なのはAmazonだろう。
「この商品を買った人はこんな商品も買っています」
これには過去のユーザーの行動パターンをもとにユーザーの次の行動を予測する機械学習モデルが使われることが多い。(詳しく知りたい方は、「レコメンド 協調フィルタリング」などで検索するとよい)

Amazonが消費物を売るプラットフォームだと捉えると、radikoは消費物ではなく、ラジオ番組を提供するプラットフォームと考えることができるので、このようなレコメンド機能が実装されることに不思議はない。

アルゴリズムは忖度できない

しかし、企業でデータ分析者として働く身として注目したのは単にradikoにレコメンド機能が実装されたという事実ではなく、radikoが私にレコメンドしてきた内容だった。上の画像を見てもらえれば分かる通り、「三四郎のオールナイトニッポン」のレコメンド結果にはニッポン放送とTBSラジオの深夜番組が表示されている。逆にいうと、ニッポン放送とTBSラジオ以外のラジオ局の番組が表示されないということだ。これを見て私はすごいと思った。それはなぜか、

ここからは私の勝手な妄想です。

radikoは株式会社radikoによって運営されており、その株主にはラジオ各局の名前が連なっている。つまりradikoの運営には各局が口を出せる状態にあると想像できる。仮に私が文化放送側の人間だった場合、ニッポン放送やTBSラジオの番組ばかりがradikoでレコメンドされれば不満を抱くだろう。最悪の場合、レコメンド機能を取り下げてほしいと申し出るかもしれない。

一方で、一般的なレコメンドアルゴリズムはそんな忖度はせずに、単純にユーザーに合った番組をレコメンドしてしまう。そうなると上記の例のようにレコメンドされやすい番組が有利になるといった不公平感が出てくるかもしれない。

このような自局の番組露出を不利にしたくないビジネス側 vs ユーザーに最適な番組を表示したい技術側の対立がある中でradikoにレコメンド機能を実装するプロジェクトにはさまざまな困難とドラマがあったのではないかと勝手に妄想する。

妄想終わり。

ビジネス側と並走できるデータサイエンティストが求められる

データ分析の仕事をしていると、もちろん技術的難易度の高さでつまずく場面も多いのだが、意外とビジネス側の制約の壁にぶつかることも多い。レコメンド機能を例にすると、単にユーザーの趣向に最もフィットしたものを提示することだけを考えればいいのではなく、各ステークホルダーの意向や倫理的な問題、タイミング、コストなどなどビジネス的な厄介な問題が出てくる。

そんなときに「この問題は自分の仕事の範囲ではないから他で解決してくれ」と断るような技術者は民間で働くデータサイエンティストとしては不十分だと私は考えている。単にパフォーマンスのよいアルゴリズムを作成するだけならば、DataRobotを始めとする自動機械学習に近々取って代わられるのではないか。いわゆる、AIの仕事がAI自身に取って代わられるという状態。だからこそ、これからは技術領域だけでなく、ビジネス側の問題にも一緒に立ち向かえるデータサイエンティストがますます必要とされると考えている。そして自分自身もそうなりたいと日々心がけている。

おすすめラジオ番組

最後にずっとradikoを愛用している私のオススメ番組を紹介して終わりにします。(このオススメ番組はラジオ局に忖度しているわけでもなければ、高尚なレコメンド機能でもありません)

TRAVELLING WITHOUT MOVING (J-WAVE)
日曜のゆったりとした時間に聴きたくなる番組。野村訓市さんの渋い声が最高です。

ナイツのチャキチャキ大放送 (TBSラジオ)
毎週番組の冒頭にナイツの2人が時事ネタ漫才を披露します。これを聴くために土曜の朝にちゃんと起きる気になれます(聞き逃してもradikoなら1週間後まで聴けます)

安住紳一郎の日曜天国
さすがベテランアナウンサー、しゃべりもうまい!おもしろい!


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