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生命保険に入った方がいいかな?と思ったときに考える手順

「生命保険に入ろうと思うんだけど、どれがいいのでしょうか?」
私がFP資格を取得した25年前から変わらずに寄せられる定番の質問です。今回の記事では、この場合に考えるべき手順をお伝えします。

■最初に考えるべきは「保険に加入する目的」

そもそも、なぜ保険に加入しようと考えたのでしょう?

この質問をすると多くの方は、「不測の事態が起こった時に備えるため(=イザという時に備えて)」と答えます。では不測の事態とは何でしょう?

それは、思いがけない早い死であったり、長期の入院であったり、自然災害による被害であったり、自動車事故であったりします。
そして、この中で「身体に対する不測の事態に備える」ものが生命保険や医療保険であり、「事故や災害などによる不測の事態に備える」ものが損害保険です。

今回取り上げる生命保険は、「自分が亡くなった時に経済的に困る人を支えるため」に加入するもの。つまり目的は「自分が亡くなった際にお金を遺すこと」です。

これがわかると、そもそも生命保険が必要かどうかを判断できます。
「自分が亡くなった時に経済的に困る人」がいなければ、お金を遺す必要がないわけですし、そうすると生命保険に加入する必要が無いからです。

最初のご質問にもどると、「どれがいいのかはわかりませんが、まずは自分の目的に合った保険を探しましょう」というのが答えになります。

■生命保険に加入するタイミングは?

自分が亡くなった時に経済的に困る人が出るのは、多くの場合結婚した時というより、子どもが生まれた時になるでしょうか。
ただ、実際には「社会人になったこと」をきっかけに保険に加入する人がすくなくありません。

この場合も、目的があるかどうかを確認してください。

例えば、学生時代に奨学金を利用していたとしましょう。一部の給付型を除き、奨学金の多くは卒業後に返済が必要です。そして、その返済が終わらないうちに亡くなってしまうと、連帯保証人となっている人が残りの返済を引き継ぐことになります。つまり、自分が亡くなったことで経済的な負担がかかるわけです。これを避けたい(=負担をかけたくない)のであれば、「奨学金を返しきれる程度」の金額で保険に加入しておくとよいでしょう。

また、人が亡くなった際には、お葬式などのセレモニーを行うことが多いですが、この時の金銭的な負担をかけたくないのであれば、お葬式代程度の保険には加入しておくべきでしょう。しかもこの費用はいつ亡くなっても必要ですから、保障が一生涯続く「終身保険」で加入することが目的に適っています。

奨学金などの返済もないし、お葬式代の負担は考えていないというのであれば、加入しなくても問題ないわけです。

では、結婚した場合を考えましょう。
夫婦共働きの状態であれば、経済的に依存する割合は低いでしょうから、先ほど言った「お葬式代」ぐらいと、あとは入院に備えた医療保険を準備しておけばよいでしょう。

一方で、「もう実家に帰ることは考えられないから、自分にもしものことがあった時に安心して暮らせる住まいを遺してあげたい」と考えるのであれば、住宅を取得するまでの期間限定で、「考えている家を購入できるお金を遺す保険」に加入するのは、目的に適っています。
その後、住宅を購入したタイミングで、この保険は止めればいいわけです。

子どもが誕生したタイミング(というか、妊娠が分かったタイミング)では、その子が社会人になるまでに必要な費用を遺してあげたいと考えるのは自然なことです。本格的な死亡保障を考えるタイミングと言えるでしょう。

■必要保障額の計算

保険に加入することを決めたら、次は「いくらの保障が必要なのか?」を考えなくてはいけません。
一般的な手順は次の三段階です。

①今後必要となる支出の総額を計算する
②遺族年金など今後見込める収入の総額とすでに用意できている預貯金を計算する
③支出と収入の差額を計算し、保険で用意するべき金額を決める

この点については、こちらの記事に詳細を書いてますので、参考にしてください。

■保険の営業職員との接し方

さて、自分に必要な保障とその金額の目安ができれば、実際に保険商品を選んで加入する段階に入ります。
今は、ネット上でほとんどの情報が入手できますが、「自分に合った保険」を検索することはできません。ですから、ここまでの手順に沿って自分で考えた上、保険会社のサイトにある保険料シミュレーションなどで掛金の見積もりを出すのが第一歩でしょう。この時点では保険会社にこだわる必要がないため「見積もりが出しやすいサイト」で構いません。
このぐらいの保障を、このぐらいの期間で契約すれば、掛金はこの程度になる。という目安を出すことが目的です。

その上で、相談できる人がいるならば声をかけてみましょう。
声をかける人が思い浮かばないのであれば、保険ショップなどを訪ねてもいいでしょう。今は多くの保険ショップがオンライン相談にも応じてますから、相談のハードルも下がっています。

とにかく大切なのは、ここまで説明した順番を守ることです。
つまり、必要な保険を考え、およその掛金の水準を把握した上で相談するということです。
間違っても、最初の段階で「何もわからないのですが、どんな保険がいいでしょうか?」という接し方をしてはいけません。

食事をする際、どんな料理が出てくるかわからない状態で、「お腹が空いたので、何でもいいから食べ物をください」と言っても、自分好みの料理が出てくるとは限りません。
「私は麺類が好きで、辛いものが苦手なのですが、どんな料理がありますか?」と聞けば、自分に合った料理に巡り合える可能性が高まる、と考えるとわかりやすいかもしれませんね。

あくまでも「自分主導」で話が進むように心がけましょう。


■生命保険は何百万円にもなる買い物であることを意識しよう

生命保険に加入すると、毎月(あるいは毎年)の保険料支払いが発生します。
保険料が毎月1万円だとしても、1年間で12万円、10年で120万円。生命保険の場合は、加入期間が30年~40年ということも少なくないので、総額は360万円~480万円となり、車1台は軽く買えてしまう契約であることを忘れないようにしましょう。

契約の際には「毎月〇万円の支払い」ではなく、「総額〇万円の契約をする」という意識を持つことが大切なのです。

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