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ライフプランの作り方

ライフプラン(=生活設計)という言葉もずいぶん一般的になってきました。
金融広報中央委員会が毎年行っている「家計の金融行動に関する世論調査」を見ますと、「生活設計を立てている」世帯は35.1%で、全体の3分の1程度という状況がずっと続いているのですが、「現在は立てていないが今後立てるつもり」という世帯が41.1%あり、4世帯のうち3世帯は生活設計を意識している様子がうかがえます。

■ライフプランとは何か?

ファイナンシャルプランナーがお金に関する様々なご相談をお受けするとき、最初に確認するのがライフプランです。
生活設計と直訳されますが、もう少し具体的に言うと、現状の生活だけでなく「〇年後にこういうことをしたいので、そのために〇万円が必要」という今後予定されているイベントも含めた「人生計画」のことです。

人生計画をお持ちですか?と改めて問われると戸惑う方もいるかもしれませんが、最初は深く考えなくても大丈夫です。

例えば、「今年は難しいかもしれないけど、来年のお正月には旅行に行きたいな」というのも人生計画の1つです。
最初は「旅行に行きたい」という漠然とした想いだけだったとしても、それを実現するには、「日程」「予算」「行先」「メンバー」などを具体的に決める必要がありますよね。そして、具体的な計画が決まれば、今からできる行動も明確になってきます。
それは、ホテルや航空券の予約であったり、パスポートの取得であったり、旅行費用の準備(積立)だったりするでしょう。健康を維持する、というのも大切な準備かもしれません。

ライフプランの基本的な考え方はこれと同じで、具体的には次のステップで作成します。

STEP①:将来の夢や希望の確認(思いついたことを書き出す)
STEP②:夢の実現や希望の達成のために必要な資金の算出
STEP③:現在の生活をベースにした毎月の家計収支の確認
STEP④:このままの状況で時間が経過した際の貯蓄残高の推移の確認
STEP⑤:必要に応じた修正と見直し

ですから、最初は漠然とした夢や希望を書き出すことからスタートすればいいのです。
そういわれると、なんとなく普段から考えている方もいらっしゃるのではないでしょうか?

■STEP①:将来の夢や希望の確認

ここでは「ライフイベント表の作成」を行います。
「車の購入」とか「旅行」とか「住宅の購入」とか「子どもの進学」といった、これから先の自分に起こり得るイベントを想像し、時系列の表に落とし込んでみます。

そのためには、自分と家族などの年齢の推移を書き込んだ表の準備が必要ですが、これをライフイベント表と呼んでいます。
書き始めると分かりますが、年齢を記入すると必然的に時期の決まるイベントがあります。「子どもの進学」のタイミングはその代表的なものです。
そうすると、「あ、この年は長男の高校入学と長女の中学入学が重なるから、旅行や車の買換えなどのイベントはやめておこう」というように、他のイベントの時期を調整するきっかけとなり、結果として「いつ、何をやるか」が決まりやすくなってきます。

このように「目で見てはっきりわかる」というのは、ライフイベント表を作成する大きな効用の1つです。

■STEP②:夢の実現や希望の達成のために必要な資金の算出

次に「そのイベントの実行に必要な予算」を書き込みます。
車や住宅であれば、自分の希望する金額を書けばいいでしょうし、学費のように具体的な金額がわからないものであれば、ネットで調べた平均的な金額でも構いません。
ちなみに、住宅などの高額な支出でローンを組むつもりであれば、ここに記入するのは「自己資金」として用意する予定の金額となります。
この時点では、「この金額は厳しいぞ」とか「こんなの無理に決まってる」というように決めつける必要はないので、思いのままに書いてもらえれば大丈夫です。

■STEP③:現在の生活をベースにした毎月の家計収支の確認

ライフイベントが決まれば、次に作るのは「キャッシュフロー表」です。
「キャッシュフロー表」とは、その名の通り「お金の流れ」を表したもので、イベントだけでなく、日々の生活に要するお金の動きも書き込んでいきます。
ここで必要になるのは「お金の流れの現状把握」です。家計簿などを付けていなければ、すぐに確認するのは難しいと思いますが、収入については「昨年一年間の手取り額」を、そして支出については次の6つの項目について毎月の支払額を確認し、それを12倍した数字を書き込んでください。

【キャッシュフロー表作成の際の6つの支出項目】
・基本生活費:月々の生活にかかるお金。食費や光熱費などが含まれます
・住居関連費:賃貸にお住まいの方は家賃。ローン返済がある方は返済額。持ち家の方の固定資産税やマンションの管理費などもこの項目に入れます
・教育関連費:学校に払うお金と塾やお稽古事に払うお金など、子どもにかかる支出はすべてここに入れます
・保険料:生命保険や損害保険、共済などの年間支払額です
・一時的な支出:車の購入や海外旅行などのイベント費用をここに入れます
・その他の支出:以上の5つにあてはまらない支出を書き込みます


なお、収入は「家計に入ってくるすべてのお金」なので、お給料や個人事業による収入はもちろん、年金や家賃収入、保険の満期金の受け取りなども含めます。退職金なども見込額が想像できるのであれば入れておきましょう。

一つ注意していただきたいのは「収入は額面金額ではなく手取額で考える」ことです。

例えば、年収600万円の人がいたとしても、そのすべてが手元に入るわけでありませんよね。具体的には、所得税や住民税などの税金と年金や健康保険などの社会保険料の負担があるため、これらの金額を差し引く必要があります。
勤務先からのお給料は、予めこれらのお金が天引きされていますが、自営業の方などは「収入」で考えないように気を付けてください。
このように、表面的な収入から税金や社会保険料など必ずかかるお金を引いた金額を「可処分所得(かしょぶんしょとく)」と言います。

■STEP④:貯蓄残高の推移の確認

毎年の「収入」と「支出」が分かると、その差額である「年間収支」を出しましょう。これは単純に「収入-支出」で計算します。
この数字が「赤字」だと、その年の収入では支出が賄えないことを意味しますから、貯蓄を取り崩すことになりますし、その時に貯蓄がなければ家計は破綻してしまいます。
こうやって将来の数字を把握すると、「いまは大丈夫でも5年後には危ない」といったことが見えるようになるため、予め対策を考えることが可能になるのです。

■STEP⑤:必要に応じた修正と見直し

ライフプランの作り方、ご理解いただけたでしょうか?
あとは、毎年の現実の数字と比較して、必要に応じた修正と見直しを繰り返していくだけです。

長々と書いてきましたが、ライフプランの作り方については、こちらの動画でも解説していますので、とにかく一度作ってみることをお勧めします。

また、キャッシュフロー表はExcelなどですぐ作成できますが、書き込める白紙の表をこちらからダウンロードできますので、下書き用にご活用くださいませ。


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