苛立ちを飲む夜。

冷房が心地よく稼働する真夜中、突然怒りが込み上げてきた。

私がもっと若ければ、夜の校舎に忍び込んで窓ガラスを割って回っただろうが、今そんな奇行に走れば警察のお世話になるだろう。

しかし、この胸の苛立ちを何処かにぶつけなければ私はおかしくなるかもしれない。

そう思いながらも苛立ちは止まることはない。

そんな私は思い出した、人類にはこんな時に頼れるお供があるのだ。

そう思い、家を見渡すとそこには開けるのを渋っていたワインがあった。

私は今この苛立ちを和らげるため、ワインに託すことにした。

飲み始めは苛立ちの主張のほうが強く、私の右足が一定のリズムを刻む。

私は苛立ちに飲み込まれまいと、ワインを一気に流し込んだ。

ワインは本来、一気に飲むものではないが、少しでも早くこの苛立ちを解消したかった。

少し気分が悪くなったが、アルコールが周り始めたのだろうか、少しは苛立ちが薄まった様な気がする。

酔ってはいるだろうが、頭は冷静に今の状況を見定めようとする。

すると、今度は涙が出てきた。

なんて情けない人間なのだろうと、自分自身で理解したのかもしれない。

文字を打ちながら、当分ワインは飲まないと勝手な誓いをたてる。

右足はまだ止まらない。






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