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”住宅性能”の定量的な指標に価値を求めた自分と世間とのギャップ|住宅への価値観の変遷 5

理想の住宅像を形作るためのYoutubeでの情報収集。自分自身を納得させるのはやはり数値。雰囲気やポエムではなく、明確なエビデンスが背景にある情報であれば信頼に足るものである。

一児の父となり家族が安心して健康に暮らせる環境を求め、いくつかの選択肢の中から注文住宅を選ぶことになった。その結論に行き着いた考えを整理する。


住宅性能の定量的な評価 耐震等級について

耐震等級
耐震等級とは、住宅性能表示制度および耐震診断により、建物がどの程度の地震に耐えられるかを示す等級で、「構造躯体の倒壊等防止」と「構造躯体の損傷防止」、「その他」の3つがあげられる。
建築基準法の耐震基準を満たせば「等級1」、その1.25倍なら「等級2」、1.5倍なら「等級3」となる。耐震等級を取得した住宅は等級に応じて地震保険料の割引を受けられる。
https://suumo.jp/yougo/t/taishintoukyuu/

僕が初めて認識した住宅の性能指標が「耐震等級」だった。その説明は専門家に任せるとして、これまで「耐震性」という概念はわかっていても定量的に評価できる指標あるなんて知ろうともしなかった。
様々な計算のもと建築される構造物において、計算できないことはほとんど無いだろうし、良い意味で住宅の価値基準についてマインドセットされた。

耐震等級に対して、一番影響を受けた情報が熊本地震に関するレポートだ。これも様々な専門家が引用して説明されているが、耐震等級3を獲得している住宅は、無被害または軽微な被害のみで地震の後も安全に住み続けられたという話だ。実際の現場の状況などは下記の動画が参考になった。


現在、僕が住宅購入を検討する上で一番重要視しているのがこの耐震等級だ。それは家族の命に直結する問題だからに他ならない。熊本の2回の震度7以上の地震が発生した場合は未知数ではあるが、少なくとも現時点で日本が経験した最大級の地震に耐えられる基準が明確なのであればそれを選択しない理由はないと考えている。

耐震等級3の中古住宅は探すことができない

住宅購入を考え始めたとき、はじめに中古住宅を検討した。取り急ぎ物件情報サイトで検索を始めるが、明確に耐震性を備えた物件は探すことができなかった。

耐震の性能証明を取得した物件がどれくらい市場に流通しているのかわからないが、絶対数が少ないのだろう。
現時点(2021年前半)で京都府内の中古地住宅件数は約2800件。長期優良住宅で絞り込むと25件。1%に満たない。ただし、長期優良住宅の認定で必要な耐震等級は2となる。

自分が重要視する条件で検索ができず、早速 中古住宅を購入するという計画が暗礁に乗り上げてしまった。

耐震等級については、多くの建築系のYouTuberば啓蒙している通り僕の中では当たり前になってしまっているが、その盛り上がりはここ数年の話なのかもしれない。物件情報サイトには築年数の浅い物件はあるものの、「耐震性」の情報についてはその項目が無い。

設計・建築業界と不動産業界。それぞれ建物を扱う業種だが、見てるところが違うからなのだろうか。
ニーズのある情報を掲載するのがマーケティングの基本なのだろうが、耐震性に対するユーザーニーズが少なければ、不動産業界は物件情報サイトに耐震性に関する情報を掲載する必要もない。
一方で研究熱心な設計・建築業界は、情報のアンテナをアカデミックな方面に伸ばし、最新の技術・情報の取得に励む。
社会問題をトリガーに風向きが変わるとき、こういった人達がアーリーアダプターとなり自ら情報発信をすることで僕たち一般人がYoutube等を通してその情報の存在を知ることになる。
ただ、我ら一般人が使う住宅検索の項目に耐震性がない時点でそれもごく一部分の動きなのだろう。

市場に自分の求める物件がなければ、作るしかない。
僕が注文住宅を選択する一番の理由である。

今日はここまで。
住宅への価値観の変遷 6 へ続く)

画像素材:
スマホで緊急地震速報
https://www.photo-ac.com/main/detail/3207328

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