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推し活は「蹴鞠」の精神で ~【櫻坂46】アーティストを応援するファンが参考にすべき心構え~

日本には、古来より『蹴鞠けまり』という球技がある。
元々は、中国にあった遊戯が伝来したことから始まったようなのだが、他の文化と同様、日本独自の進化を遂げた雅なる遊びである。
ルールは至極簡単で、「皆で一つのまりを蹴り上げて、下に落とさないようにしながら続ける」だけである。そこには「勝敗」という概念がない。
その場にいる全員が集中して、ただ一つのことに取り組むため、ミスが出来ないという独特の緊張感がある。
鞠を地上に落とすわけにいかないので、自分が蹴る時も、次に蹴る人が受け取りやすいように、優しく蹴ることになる。
これは、同じ番組内で、より面白くなるように連携プレイをする様子と似ているかもしれない。
誰かが話したエピソードに対して、しっかりとリアクションをしながら、番組をより盛り上げようと協力する姿勢は、蹴鞠の精神と同じである。
発祥の地である中国では、まだ競い合う要素が強かったようだが、日本に渡ってきた途端、「人と争う」要素が無くなってしまったらしい。
この変化は、実に日本らしいものと言えるかもしれない。

現在、スポーツとして楽しまれている球技は、点を取りあうことで、勝敗を決するものがほとんどである。
遊びには、その国の文化や考え方が色濃く反映されている場合が多い。
狩猟をメインとしていた西洋の文化圏では、何かを獲得することで「勝ち」となる球技がスポーツとして発達した。
丸い球を蹴るということは同じでも、サッカーと蹴鞠では、その土台となる考え方が全く異なっているのがわかるだろう。
相手のいないところを狙って、ゴールに球を蹴り込む「サッカー」と、
相手が取りやすいように、その人に向かって、球を蹴る「蹴鞠」とでは、真逆の心持ちである。

「誰かから何かを勝ち取る」という姿勢は、西洋でよく見られるものである。そこでは、常に競争が生まれることとなり、その争いは、相手がいなくなるまで続けられる。
この発想は、エンタメの世界にも適用され、「ランキング」という形になった。
人気のバロメーターとしては、非常にわかりやすいため、何かにつけて参考されることになる。
アーティストを応援しているファンも、自分たちのアクションがどのような成果となっているかを知るために、その指標を利用している。
ただし、それは自分たちの行動を評価する時だけに利用するべきだろう。
何故なら、楽曲もジャンルも異なる他のアーティストと比較するものとして利用するのは、余りにも無意味だからだ。
参考にする場合でも、アーティストの素晴らしさがどれだけ世間に広まっているかという目線で見るのが、正解ではないだろうか。

日本のエンタメは、見聞きすれば、その良さを理解してもらえるのだが、なかなか世界で広く受け入れられるところまでには至っていない。
お隣の国では、国家をあげて取り組むことで、世界の市場で堂々と成果を上げている。
今こそ、「蹴鞠の精神」で、互いに力を合わせて、国内のエンタメを大いに盛り上げていくことが望まれているのではないだろうか。






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