君の物語 18 外猫かもしれない
ルゥが来て1年くらい経った頃の話。
夜も更け、雨戸のシャッターを閉めようと半分まで下ろしたところで、庭の暗がりに1匹の猫が座っているのが目に入った。
じっとこちらを見ている。
見覚えのある猫だ。
というか、ルゥじゃないか?
完全室内飼いのはずなのに、なぜ庭に?
驚かさないよう静かにそっと、窓を広く開けた。
暗くてはっきりと見えないけど、ルゥだよね?
た、たぶん、ルゥ‥だよね?
なにしろよくいるタイプの猫だから、
ちょっぴり自信がなかったりする。
でも、たぶん、きっと、ルゥ。
捕獲したいけど、私が外に出たら逃げてしまうかも。すごく緊張してるのが見てとれる。できるだけ刺激しないようにしなくては。
ムギの部屋は遠い。呼んでくる間にどこかへ行ってしまうかもしれない。
どうする?
どうしたらいい?
心臓がバクバクする。
対応を間違えたら取り返しのつかないことになってしまう。
ふと横を見やると、なんという偶然!
猫じゃらしが転がっていた!!
さっと手を伸ばして引っ掴み、誘ってみた。
すると、すぐに狙いを定めてきた。
よしよし。
きっと一発勝負だ。
緊張して喉が詰まる。
なにしろ私は猫じゃらしの扱いが下手くそだから。
タイミングを見計らって、すいっと猫じゃらしを部屋の中央へ。
すると、猫がものすごい勢いで窓から中にダッシュしてきた。猫じゃらしに向かって。
やった!成功した。
やるときはやるじゃないか、私。
すぐに窓を閉めて振り返る。
ルゥだよね。
確かにルゥ‥だよね?
もう一度言い訳する。
よくいるタイプの猫だから。
絶対の自信が持てないという、情けない私。
何はともあれ確認。
珍しくすんなり抱き上げることができたので(抵抗なく抱っこされるなんて、やっぱりニセモノかも?)そのままコハクとムギの元へ連れて行った。
「あの‥。この猫、ルゥだよね?」
「「ルゥだよ!」」
ー笑われた。
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