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君の物語 13 後頭部

ルゥの後頭部には基本、哀愁が漂っている。
窓から外を眺めている時も、コハクとムギをじっと見ている時も、ストーブで温まっているときも。

そしてお腹が空いている時も。

用事が多くて慌ただしい夕方。
バタバタしながら通りかかってハッとすることがある。
空っぽなお皿の前で、ルゥがじっとうなだれて座っているではありませんか!
哀愁の漂った後頭部をこちらに向けて。
その後ろ姿の切ないこと。

いったいいつからそこに座っていたのか?
慌ててごはんを準備する。
「気付かなくてごめんなさい」
用意をすると、足にスリスリと挨拶してから食べ始める。
きっと〈ありがとう〉〈いただきます〉なんだろう。

ルゥはおねだりしない。
ただ待つ。じっと、無言で待つ。
こちらに圧もかけない。
空気のようにただ、背を向けて待っている。

『君は猫なんだから、もっとわがままに自己主張していいんだよ。』
という声かけは、ルゥには届かない。

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