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くまモン電車 熊本電鉄

熊本電気鉄道はJR鹿児島本線の上熊本駅から合志市の御代志駅の菊池線と、北熊本駅から分岐して熊本市中心方面の藤崎宮駅の藤崎線の2つの路線計12.9km、16駅。運行上は藤崎宮駅~御代志駅間が本線扱いで藤崎宮駅を熊本中心側のターミナルとして、北熊本駅~上熊本駅間は支線の上熊本線になっていて、上熊本駅から御代志駅へ行くには北熊本駅で乗り換えが必要。鉄道と合わせて路線バスも運行していて合志市、菊池市、熊本市北区(旧植木町)などの熊本市北部エリアの交通を担っている。

藤崎宮前駅。駅ビルの熊電プラザビルはほぼ空いている・・・。後述の通りターミナルとしては立地がいまいち。
本線は30分に1本、朝夕ラッシュは15分に1本になる。
上熊本駅はJR上熊本駅に隣接、ロータリーを挟んで市電の上熊本停留所がある。
北熊本駅。本線と上熊本線が分岐する、上熊本線は本線と接続するようにダイヤが組まれている。鉄道事業の本部はここだけど、本社の最寄り駅は隣の坪井川公園駅、北熊本駅からだと徒歩10分くらい。
北熊本駅は車庫も併設。
御代志駅。合志市。隣の再春医療センター前駅と共に再開発で駅を少し移動させ新しいロータリーができている。駅前には日本最大のハンセン病療養施設、国立療養所菊池恵楓園がある。
県道37号と並走、古い路線のままなので遮断機も無い踏切が連続する。
国道3号バイパスの真下にある新須屋駅。合志市に入って最初の駅でこの辺りはベッドタウンとして住宅街が広がる。
北熊本駅から出て本線と上熊本が分岐するところ。右が上熊本駅方面。
上熊本線韓々坂駅。台地のヘリを行く。
昼間は自転車が持ち込める。

菊池線の名前に名残があるように、元々は熊本と北部の菊池(当時の中心部は隈府町)を結ぼうとして菊池軌道線として1913年に、池田駅(現 上熊本駅)と隈府駅(のちの菊池駅)の間で開業。名前の通り軌道線=路面電車で今のルートとは異なって、熊本城の北側を通って現 藤崎宮駅から北上するルートをとっていた。その後、電化して菊池電気軌道となり、戦後に熊本電気鉄道に名前を変え、1950年に今の上熊本駅と北熊本駅の区間を開業。路面電車部分だった上熊本駅と藤崎宮駅の区間を熊本市電に譲渡して分離(すでに廃線化)した。モータリゼーションの波には抗えず、1986年に菊池駅と御代志駅の区間を廃止してしまった。

熊本高専合志キャンパスの目の間の熊本高専前駅。
国立病院の熊本再春医療センター目の前の再春医療センター前駅。熊本藩の藩立医学校の再春館から名前をとったもの。ドモホルンリンクルの再春館製薬とは無関係だけど、由来は同じ。

熊本電気鉄道の本業の鉄道事業は2023年3月期で約3.9億円の売上に対して約4.7億円の費用が発生していて約8000万円の赤字。バス事業の売上は2倍以上9.1億円あるもののの約4000万円の赤字。一方で不動産事業が全事業の赤字をすべて埋めるだけの利益を出していて体裁を保っている形。

面白いのがくまモンが中華圏でかなりの人気を博しているのを利用し、くまモン電車乗車体験をツアーに組み込んで売り出している点。ツアー客は上熊本駅から乗車させて、ツアーバスだけ北熊本駅へ移動、北熊本駅にはお土産屋も設置して台湾人団体ツアー客が押し寄せる。私が乗ったタイミングでも3団体が利用していて、北熊本駅は台湾人で満員状態。後でHPみて知ったけど熊本電鉄は台湾に事務所も設置していて力を入れていることがはっきりわかる。ちなみに団体客に話しかけてみたところ、団体内でも温度差があるようで興奮してくまモン電車を写真撮りまくっている人がいる一方で、冷めて座っている人もいて反応が面白い。

この2編成は元銀座線から。銀座線のこのシリーズはすでに引退済みで、引退を前に逆輸入で銀座線でくまモン電車が走ってる時期もありました。
ツアー客があふれて口内踏切も危ない。
くまでんショップは、熊本電鉄オリジナルグッズ以外もいろんな熊本土産を扱っていて、ツアー客が小爆買いしてた。
台湾企業の社員旅行ツアーで九州6日間らしい。

鉄道事業の大きな課題として熊本市中心部まで直接到達していないことがある。一方のバス路線は中心の桜町バスターミナルや熊本駅へ直通しているけれど、朝夕のラッシュは九州最悪と言われる交通渋滞に巻き込まれ定時性は期待できず。一部区間は自社の鉄道とバスが競合していて効率が非常に悪い。しかもターミナルの藤崎宮駅は一応中心部の通町筋まで1kmと微妙な距離感ではあるものの、道路的な立地が悪くバスに乗るには少し歩かないといけないため、中心部へのバス接続が貧弱というのを感じた。上熊本駅を本線扱いにするにも、中心部に対しては広大な熊本城を挟んでいるので市電が遠回りになる。なんとも中途半端と言わざるを得ない。北部エリアの住人にとっては日常に密接した交通機関である一方で、観光利用などはしにくいという致命的な弱点に思える。

その弱点を補うためにLRT化構想というのもある。藤崎宮駅から国道3号を経由して、中心部の市電水道町に路面電車として乗り入れるという計画。しかし事業費用は100億円超と、経常売上20億円の企業に出せる金額ではないというのが現実。実現したら面白いと思うけれども。

水道町は熊本市の中心商業、ビジネスエリアの一角を占める。左に見えるのが熊本唯一の百貨店の鶴屋百貨店。
藤崎軍前駅と隣の黒髪町駅の間は路面電車時代の名残の併用軌道が一部残っている。
こんな感じで電車が走る。この車両は元都営三田線の車両。
くまモン電車、元東京メトロ日比谷線で使われていた車両。
熊本電鉄はICカードも導入していて、SUICAなども使用できる。熊本電鉄や熊本エリアの各種路線バス会社と共同のくまモンのICカードも購入可能。
東京メトロ時代のロゴも流用しているこだわり。ちなみにこの黄色ベースは銀座線の復刻塗装で、逆に今の銀座線は新車両でこのカラーリングですね。
北熊本駅でそろい踏み。日比谷線、三田線、銀座線、銀座線。こういう中古車両は引退タイミングと欲しいタイミングが一致しないと実現しない。
東急の青ガエルこと初代5000系が動態保存されているらしい。イベントで乗れるとのこと。
熊本電鉄では一番新しい静岡電鉄から来た車両。

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