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九州3都市 路面電車の世界

九州の熊本、鹿児島、長崎の3都市は路面電車が走っていて都市景観においてもシンボルとなっている。九州大好きおじさん兼路面電車大好きおじさんの私が好きな都市。よそ者だから勝手いうと東京とは全く違う風土、少しばかり古臭さ?レトロさのある街並み。都市の息遣いの中に溶け込む路面電車のガタゴト音。そんな3都市の路面電車を制覇して、堪能しました。

そんな3都市の象徴的な路面電車のある風景。

城下町熊本の通町筋(トップ写真)

鹿児島中央駅の観覧車と路面電車

水の上を走るのが船から電車に変わった長崎

  • 熊本市交通局 12.1km 2系統 大人180円 1日乗車券500円

  • 鹿児島市交通局 13.1km 2系統 大人170円 1日乗車券600円

  • 長崎電気軌道 11.5km 5系統 大人140円 1日乗車券600円

こう並べてみると3都市とも似たり寄ったり。3都市ともにJRの中心駅は市の中心から少し離れていて、その駅と中心部との間のアクセスには路面電車が分かりやすい。3都市共に新幹線駅ができて駅前も大規模再開発が進んでいでいるという共通点も。

人口規模で言うと熊本市の人口は約73万人 鹿児島市約58万人 長崎市約39万人。熊本だけが政令指定都市で、市電以外にも熊本電鉄があったりと頭一つ飛び出ている感じ。長崎中心部は山が多くて市街地が狭く集中しているので、路面電車がくまなくカバーできている。ちなみに長崎だけ民営企業で、熊本と鹿児島は市営。そして3事業者とも一応の黒字経営と頑張っている。

3都市ともいずれにしても車社会ではあるのだけども、都市の規模がほどほどで、都市の役割が戦前に完成していて発展もほどほどだったことが功を奏したのか路面電車は残り続け、市内交通の重要な役割を担っていることは間違いない。

熊本市交通局

A・B系統が乗り入れる終点の健軍町。名前の由来は健軍神社から。旧健軍村で今は東区の一部。不自然な区画となっているのは旧三菱重工の爆撃機工場跡。工場が設置されたことをきっかけに、陸軍の拠点となり現自衛隊基地があるけど、別に名前の由来ではない。
早朝の健軍町。地方都市の外れのアーケード街も絶滅危惧景観かなと
田崎橋電停。A系統の起点。熊本駅から近く坪井川にかかる橋から。熊本駅一帯は熊本城下を流れる坪井川と白川の下流に当たりあまり栄えていないエリアだった。
あいにくの雨でしたが、超満員だったの辛島町行きの臨時列車がきた。そもそも熊本駅と市中心部を結ぶ系統が観光客でも混雑するのに、市中心部の折り返し運用が難しいという問題がある。
上熊本電停。B系統の起点。JR上熊本駅に隣接、熊本電鉄も乗り入れる熊本のターミナル。
上熊本電停隣接して車両基地がある。
市電の上熊本電停の駅舎に使われているのが旧上熊本駅駅舎。遠方から熊本へのアクセスにも使われていたターミナルで、かの夏目漱石も降り立った駅。
健軍町から中心部へ向かう。国道57号東バイパスのこの辺りは国道3号バイパスとの共用区間で福岡と鹿児島を結ぶ国道3号、熊本阿蘇や大分方面へ九州を横断する酷道57号の幹線道路が合流しているということで熊本有数の交通量を誇る大幹線。
新水前寺電停、JR豊肥本線の新水前寺駅との接続駅として1988年開業とかなり新しく、熊本県下で熊本駅に次ぐ2位の利用者を誇る、熊本市東部JR豊肥本線沿線からの通勤通学客が市電に乗り換えて中心部方面に行くには便利な立地。
ヤクルトの村上選手出身校の九州学院もある交通局前電停。車両は熊本市の友好都市のハイデルベルク市イメージ。城と川の町にちなんでとのこと。
白川にかかる大甲橋から水道町方面を望む。
通町電停は熊本市の中心。この写真の右手が上通、左手が下通とというアーケード街が伸びる。
熊本地震前の天守閣から見下ろす。通町電停が見える。
熊本随一の繁華街ということで利用者もとても多い。
正面の鶴屋百貨店は熊本唯一の百貨店。熊本県民の信頼が厚い老舗。
熊本の中心だった桜町バスターミナルの再開発で、バスターミナルと複合施設として2019年開業のサクラマチクマモトの建設中の様子。産交バスグループが手掛けた。
10年前、旧バスターミナルの内部。この機会にセットで紹介したい。
これが2014年の熊本駅三代目駅舎の様子。戦後から平成まで使われたレトロさ。九州新幹線開業と駅の高架化で無個性商業施設とともに現駅舎に改装された。
一応熊本駅と言えばの馬刺し。

鹿児島市交通局

鹿児島市電の軌道は積極的に緑化されている。
郡元電停は1系統と2系の分岐する電停で、2系統はここで折り返す。鹿児島市南部の旧郡元村の中心街。鹿児島飛行場が最初に設置された場所で、今ではその飛行場跡地は再開発され鹿児島県庁の最寄電停になっている。
郡元からは市中心部と鹿児島中央駅へ直接行けるので交通至便。
右に行くのが2系統の鹿児島中央駅方面、左(南)に行くのが1系統の谷山方面。
涙橋から谷山方面は専用軌道でJR指宿枕崎線と並走する。開業時は路面電車ではない電車として開業していて、郡元付近も専用軌道だったところ、線路に並行して道路が拡張され今の形となったとのこと。
谷山電停は日本最南端の路面電車の駅でもあり、日本最南端の電車の駅でもる(モノレールは除く)
交互に発着する。
南鹿児島駅前電停は、JR指宿枕崎線の南鹿児島駅と隣接。JR指宿枕崎線は見ての通りキハ40という骨董気動車が走る長大ローカル線かと思いきや、喜入駅までは1時間に2本以上確保されている通勤路線。
保線作業も欠かせず。灰が降るので分岐期のメンテは大変だろうなと。
鹿児島駅前電停。鹿児島へ鉄道が来たときは北側から来たので九州の東と西を回って鹿児島に到達するJR鹿児島本線とJR日豊本線はこちらが起点だけれども、博多からくるメインの特急が西からくることから、現在の鹿児島中央駅(新幹線開業前まで西鹿児島駅)が次第にターミナルになっていた。
鹿児島市北部から路面電車に乗り継ぐにはいまだにこちらの方が便利。1系統と2系統の起点にもなっているので便利。
湖南省の省都長沙と姉妹都市とは知らなんだ。
火山の町ということでイタリアのナポリとも姉妹都市。
鹿児島市役所。素晴らしい立地。この辺りは旧城下町の武家屋敷が広がっていたエリアで、よくある官公庁集積エリアになっている。
旭通電停といづろ通電停の間にあるのが鹿児島の老舗百貨店の山形屋。
この重厚感と市電のコントラストが好きな景観。
天文館通は鹿児島随一の繁華街。ちょうど鹿児島駅と鹿児島中央駅の真ん中に立地。
アーケードと大型商業施設などがあることから熊本の通町と比較されがち。
大久保利通像。薩摩と言えばの幕末・明治維新の重要人物。鹿児島が幕末が最盛期と呼ばれる所以(?)
神田(交通局前)電停。市電の本部と車両基地がおかれている。
昼間は車両基地も近づいて見れるように解放されている。
これが鹿児島中央駅。今では九州新幹線の終点で博多や新大阪につながるメインターミナル。新幹線開業前の西鹿児島駅時代から博多、熊本、鹿児島を結ぶ特急は西鹿児島駅が終点だった。方角+都市名の駅シリーズで、方角付きが長距離列車主要駅として逆転していたのは鹿児島くらい。ヨーロッパみたいでロマンあると思います。今では東室蘭くらいしか残ってない。
鹿児島と言えばの白熊(2014年)。天文館通電停からすぐ。本当に美味しいので行ったら絶対食べてほしい。

長崎電気軌道

長崎市北部まで路線は続く。JR長崎本線とも並走。
浦上車庫電停には車庫が設置されている。
原爆資料館電停。日本で唯一建造物の中を路面電車が通過する長崎西洋館という商業施設があった。この商業施設はもともと長崎電気軌道の持ち物で閉業、JR九州に売却されマンションになるらしいけど、線路は移設するのだろうか。
浦上駅。長崎駅から1駅。最初に長崎まで鉄道が到達したときはここが長崎駅だった。
長崎駅前電停、1系統と3系統が分岐する。
市役所前電停は3系統と、4・5系統の乗り場が少し離れている。左手の建物は市民会館で、市役所はこの写真で言うと右の見切れている角にある。
蛍茶屋電停3、4、5系統が乗り入れる。4系統は朝夕ラッシュのみ。見ての通り山が迫っていて平地はここまで。目の前の建物は車庫。上は駐車場として貸していて、ロイヤルホストまであって民間企業なので不動産業もやっている。
この辺りはめがね橋、浜町アーケード電停付近。長崎がっかりスポットの1つであるめがね橋はこの川にかかってる。
こちらはベルナード観光通りアーケードの入り口にある観光通電停。
長崎唯一の浜屋百貨店もある、この一帯が長崎の中心商業エリア。
長崎弁の注意文がむぞらしか
夜の様子
思案橋電停は暗渠になった川にかかる橋の名前から。
港町にふさわしい丸山遊郭があったエリアで、歓楽街が広がる。
崇福寺は4系統と5系統の終点。この下の川が思案橋へ繋がっている。
新地中華街電停。1系統と5系統が分岐する。名前の通り日本三大中華街の新地中華街の最寄駅。横浜、神戸とならんで明治期の港町に由来するのであって、はっきり言ってかなりショボくてさびれてる。ある種の清朝末期レトロチャイナの時代の歴史遺産なわけで、中華人民共和国以降の流れをくむ大阪千日前や東京池袋に集う現代のニューカマー中国人とは一線を画した文化と考えたほうがいい。
長崎の最も古くからの中心部。奥に見えるのは出島。
出島。今でこそ周りが埋め立てられて島ではなくなったけど。奥に市電も見える。
5系統の末端部は単線で、石橋通と呼ばれる水路を埋め立てたところを走る。
大浦海岸通電停。この写真の左手に旧居留地のオランダ坂が広がる。
長崎駅前電停。長崎へ新幹線が来たことで駅前を大規模開発している。
長崎駅前電停には県営バスターミナルもある、かなりレトロなビル。
これが工事中の長崎駅、2023年末の様子。
これが長崎駅前電停で新幹線開業前の様子。
別角度からみた2014年の旧長崎駅。新幹線の開業で駅が全体的に西へ移動したので、駅と電停がかなり離れてしまったのが不便。
左が新幹線開業前、右が開業後の様子。
この1系統の新地中華街電停と出島電停の間は電車と道路が完全に軌道になっている。
長崎名物はトルコライスですね。ドライカレー(ピラフ)、ナポリタン、カツ(エビフライ)のトリコロールが由来だとか。


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