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大人が行う、こどもたちの行動への価値づけ 〜 小学校でのワークショップNo.4 〜

NPO法人Collable(コラブル)のくりのです。
小学校でのワークショップシリーズも今回でラスト!みなさん今まで読んでくださり、ありがとうございました!

No.1 「こどもたちの関係性を覗き込む」  
(大人から見たワークショップの価値について)


No.2「こども自身が自らの参加の仕方を探る 」
  (こどもの変化について)


No.3 「学校という枠の難しさ」
  (日常へのワークショップの限界について)


No.4「大人が行う、こどもたちの行動への価値づけ」
  (関わる大人の価値付けの変化について)

今回は「関わる大人の価値づけの変化」についてです。それでは最後もじっくり読んでくださいね!

ー組織の課題を顕在化させるための構図。

山田:この実践のやり方はすごく柏木さんという人に頼っているから、変容するっていうのは難しいんですが、どうやったらそういう場のあり方って転用できるのかなって。

実は一個、「支援級の子たちとの関わりももちろん大事だけど、そうとは言い切れないクラスの多様性はあって、そこをどうにかしたい」っていう先生からの問い合わせがあって。課題意識のマッチングはできたんですけどね、予算の関係でできなかったんですけど。

柏木:構図はもう見えてきていると思うのね。ある種の固定化された組織がある。そこに外部者が入っていく。できれば外部者は専門が違う何人かで入る。組織の内部の協力者と一緒に組織の内部を揺らしていく。揺らしていくことで顕在化するものを見つけていく。そのことをお互いにフィードバックしていきながら顕在化したものについてある価値づけ、エバリュエーションしていく。

すると、ある片方からは問題行動に見えるものが、ある片方からは価値があるものに見えるとか。あるいは何方向からもこれは改善した方がいいと思われる現象もあらわれる。他にも、このことはある種の継続性をもたせた方がいいというような行動が見えてくるわけだよね。

そのときに、「継続させたい行動」っていうのは何によって起こった現象なのかを考えるときに、組織内部の人が継続性をもたせられるかどうかを検討すればいいわけで。それがある種の成果として残っていくわけだよね。


ー価値づけの可能性を増やす。

でも、ある問題行動のように思えたものが、ある違う側面から見ると、それはとても良い行動に思える。例えばKちゃんの「前に進まないダルマさんが転んだ」は、他の子のことを慮って、その子たちを一緒に前に出させてあげようとした結果、前に進まなくなったっていうような視点が投げ込まれることによって、その子の見え方が変わるわけじゃない。

「あの子前に出られなかったですねー」から、「あの子、待ってあげたんですね」に変わるわけでしょ。じゃあ、声のかけ方が変わるよね。「待たなくていいよ」になるのかもしれないし「楽しんでおいで」になるのかもしれないし。

山田:そう考えていくと、私たちの役割は今あるものに診察をしてカルテを出すようなことをしつつ、特に視点の投げ込みを提供するという役割ではありますね。

柏木:5年生とやった時にAくんが好き勝手におしゃべりして、5年生は僕の話を聞いている状態がありましたけど、Aくんに対して僕が突っ込んだり、無視したりしながら話が進んでいく。

そのおしゃべりが効果的で、5年生のクラス全体の発言量ってのは増えたと思うんです。でも先生からすると「Aくんがあんなふうに無軌道に何かを喋っていて、すいませんでした」って価値づけになってしまう

我々から「あれで5年生の発言量が増えてリラックスする大きいきっかけになったんですよ」っていう提示があると「あ、そんなこともあったんですね」っていうふうに目線が変わっていく。

そういうことが提示できるだけも、それである一人の人の物の見方は変わるはずだと思うので、意味はあったかなと思うんですよね。でも、本当にそうかどうかはわからないでしょ。

しゃべり続けていたっていう事実はあって。その事実に対して迷惑だったなっていうのも、実は憶測でしかない。役立っていましたよっていうのも迷惑だったというのも実はただの憶測でしかないってことだと思うのよね。このプロジェクトがやるべきはここらへんじゃないかな。

***

見えている事実は同じでも、その事実に対してどんな価値付けを行うのか。
日頃自分がどんなふうにこどもたちを見ているのか、なかなか気づくことはありません。「こんな見え方もあるよ」ということを伝えることが、外部から人が介入する価値です。

これで4回のインタビュー連続投稿が終わりました。
小学校でのワークショップは事例もさほど多くなかったり、そこで行われていることや関わっている人がどんなふうに考えているのかを見聞きする機会もなかなかありません。

今回の記事は、現場で悩んでいる先生やこどもたちに関わることをしている人たちのヒントになればと思って書きました。ワークショップにはいいところもあれば、限界もあります。だからこそ、どんなふうに使えるかを考えて取り入れてもらえたら嬉しいです。


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