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DRAG QUEEN - No Light, No Queen- ヨシダナギ あとがき英訳

前の投稿で「小説翻訳したいー!」「出版翻訳なんて金にならないー!」と言っておきながら、年に数本は出版翻訳のお仕事をいただいています。ありがとうございます。

今回はヨシダナギさんの『DRAG QUEEN -No Light, No Queen-』のあとがきを英訳させていただいてます。

初めて彼女の作品を知ったのはいいオフィス上野でのことした。スリ族の写真が飾ってあって、「素敵な絵〜」と思って近いて見たら写真だったんです。カラフルで迫力があって、見たことがない構図で「すごいー!!!」と感動したのを覚えてます。まさか数年後にその写真集の翻訳をすることになるとは。

ヨシダナギさんの写真集の翻訳のお仕事を依頼してくれたのはライツ社さん(表紙写真拝借しました)。この出版不況の時代の中、2016年創業という、出版社としてはかなり若い会社さんです。

ライツ社さんの本は、ヨシダナギさんの本もそうなんですが、とにかく「実物として手に持ちたくなる」本なんです。

Kissのジーン・シモンズも「電子書籍はエモくない」とか言ってましたが、確かに、いい本というのは手にとった時に作り手のエモーションが感じられます。それは、表紙の材質であったり、匂いであったり、写真の光沢であったり、いろいろなんですが、とにかく、ライツ社さんの本を一度手にとって貰えば「ああ、エモいってこういうことか」とわかってもらえると思います。

そんな素敵な出版社さんから「ヨシダナギさんの本翻訳しない?」と言われたら即答了承です。

少数民族のヒーローを活きいきとカラフルに撮った写真集です。個人的なお気に入りは「トゥアレグ族」。まじイケメン。

この本を手にとった時は、それこそ、当時はエモいという言葉はなかったけど「エモい」と思いました。手にとった時の感触がすごくいいんです。写真の色もすごく綺麗。最初にヨシダナギさんの写真を見た時に思った「絵画みたい」という印象そのものでした。Amazonの説明文を見てみると本の仕様についても書いてあります。

表紙:最上級紙「エアラス」に、まるで美しい人肌の手触りになる「ベルベットPP」を採用
本文:京都の老舗美術印刷会社「サンエムカラー」の特殊技術「8K」により、超高精細印刷を実現
製本:ハードカバーにもかかわらず本が「180度」に開く「キャラコ巻き製本」。職人が一冊ずつ施工
題字:京都のデザイン集団「UMMM」北原制作によるオリジナルタイプフェイス「YOSHIDA FONT」を使用

うん、何書いてあるかよくわからないけどすごい。

そして昨年。ライツ社さんから「またお願いします!」とのご連絡が。「よろこんで!」。

送られてきた資料を見ると、カラフルな…お姉さま…?ある意味少数民族。

私たちの仕事は前書きと後書きの英訳。

世界中の少数民族ばかりを撮影し続けてきた私が、なぜ今回ドラァグ・クイーンというモデルを選んだのか疑問に思う人がいることだろう。

から始まる後書きには、1986年生まれ、同い年の彼女の仕事への葛藤が綴られています(ライツ社さんのnoteに日本文全文掲載があります)。

「好き」と「仕事」。「求められること」と「お金になること」と「やりたいこと」。

あー。私も翻訳通訳エージェントと名乗りながら自分でも翻訳も通訳もしつつ、なんども「翻訳なんて向いてないっ!」「徹夜で仕事するのほんま嫌ー」「理系資料まじ無理」と挫けそうになりながら、というか挫けたからピュアな翻訳者や通訳者にならずにマネジメント側にいるんだけど…もがきながら仕事を続けてきました。

「好きなこと」に付随する雑多な仕事と戦いながら、たまにぽっとでてくる「めっちゃ好き」な仕事に支えられて日々生きてる気がします。

今回の仕事は出版翻訳、ライツ社さんの仕事、ヨシダナギさんの作品ということで「めっちゃ好き」な仕事。翻訳パートナーのYoji Kemloとあーでもない、こーでもないと英文を練りながら。納品を終えて、本が手元に届くと…ああ、美しい。写真はデータで先に見てたけどやっぱり本になると美しい。

お気に入りはランドリーでの写真です。何カットかあるんですが、よくよく見るとランドリーに「Speed Queen」って書いてあるんですよね。これ、みつけたの?たまたま?

そんなヨシダナギさんの最新刊、DRAG QUEEN -No Light, No Queen- 。

紀伊國屋書店 新宿本店で出版記念として、合計57面展開の超巨大フェアをやってるそうです!1F広場、1F話題書、4F芸術書棚の3箇所に、ドラァグクイーンさまたちがどどんと!見てみたい!

新宿にお立ち寄りの際には、一度本を手にとって見てみてください。私の文章では伝えきれない「エモさ」が伝わると思います。

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