見出し画像

Gift 01 〜 第一部:興味と「知りたい!」想いを取り戻して心を探究する

子どもは新しいものを見つけたり、人や生きものの不可解な行動を目撃したりすると、間髪入れずに「これは何?」「なぜそんなことをするの?」と聞いてきます。

私も物心ついたときから質問魔と呼ばれるほどの聞きたがりで、まわりの大人からはよくウザがられていました。しかたなく、親から買ってもらったポプラ社の『なぜなぜ文庫』を開いては、自分の疑問に答えてくれそうな「ひるとよるはなぜあるのですか」「あめはどうしてふりますか」「おとはどうしてつたわるか」といった章を読み漁っていました。

この世界に生まれたばかりの私たちは、目にするものすべてに尽きることのない興味を抱いていたのでしょう。その「知りたい!」という想いによって、いまから思えば驚くほどの早さで、複雑な日本語から、この国や地域の慣習、家庭のルール、さまざまな遊びとその攻略法、漫画やアニメの楽しみ方、他の人との接し方まで、膨大な量の情報を体得できたのだと思います。

一方で、大人はあまり聞きません。何十年と経験を積むあいだに、見慣れたものばかりになってしまったからでしょうか。けれども、私たちはいまでも日々、見知らぬ人々に出会い、新しい技術や文化に触れています。「いまだかつてない」や「○○史上初」がつく事件や出来事にも少なからず遭遇します。

おそらく、私たちが「何?」「なぜ?」と聞かなくなったのは、子どものころにもっていたあの強烈な興味を失ったからだと私は考えます。自分で問うことにエネルギーを費やさずに、多くの人が「これはこういうもの」と合意した答えで納得する、まさに「大人」の学習法を身につけてしまったのでしょう。

いま、私はこの本を手に取ってくれたあなたと一緒に、しあわせに暮らし、働き、人と関わるための的確な修正点を見つけ、その改善に挑もうとしています。それは「心を探究する旅」といってもいいでしょう。なぜならば、しあわせとは身体や思考ではなく、心の状態にほかならないからです。

たしかに、身体にも気持ちよさを感じる機能があります。思考も利や得を判別できます。けれども、それが自分にとってしあわせかどうかは心の審判に委ねられているのです。

そして、私たちは自分や他の人の心について本当のことをほとんどわかっていません。この分野に限っては、目に映るすべてに驚く幼子と同じ位置にいるということです。

だとしたら、あのころのような強い興味と「知りたい!」という純粋な想いが心の探究を助けてくれるはずです。まずは、私たちが生まれながらに手にしたこの素晴らしい能力を取り戻しましょう。そのうえで、あまり向き合ってこなかった自分の心に「これは何?」「なぜそんなことをするの?」と聞いてみるのです。

私たちが本気で投げかける問いには凄まじい力があります。私もこれからつづる結論にたどり着くまでに、さまざまな質問を自分自身にぶつけました。それがどのようなものだったかをできるだけ忠実に再現するために、本書でも「問い」に導かれるようにして話を進めていきます。

「○○とは何か?」の形の文が出てきたら、しばらく立ち止まってその内容について吟味してください。できれば、頭で考えるのではなく、しあわせを感じる源であるあなたの心に答えを聞いてみましょう。

誰もがあたりまえと信じるやり方でしあわせを得られないなら、常識や習慣に挑むしかありません。当然、そこには抵抗や不安がつきまとうでしょう。聞きたがりのあなたが携えていた情熱が、その分厚い壁を突破してくれると私は信じています。

(次章に続く……)

前の記事「Gift 00」 | 次の記事「Gift 02」
この記事のマガジン


グッドバイブス公式ウェブ/「Heartnik & The Gift.」の学び方

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?