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Gift 02 〜 人生をしあわせにする方法は日々の「ロール」に隠れている

一日の終わりに「今日は何をしたか?」を大ざっぱではなく、つぶさに振り返ってみると、私たちがいかに多くのことを手がけながら暮らしているかわかります。

朝はもろもろの仕度をして、人によっては職場や何かの集まりに出かけ、夕方までやるべきことに従事し、夜は趣味や娯楽や勉強や家族の相手など、それぞれの日課をこなします。移動や休憩のあいだも、いまならスマホを取り出してその場でできることを見つけるでしょう。

おそらく「起きてから寝るまでのあいだに、何もしていない時間はどのくらいあるか?」と聞かれれば、私も含めたほとんどの人が「ないかも……」と答えると思います。

もちろん、ここでそのような暮らしぶりを問題にするつもりはまったくありません。たとえ、いまやっていることのいくつかをやめたとしても、遅かれ早かれ、その余白を使って別の何かを手がけたくなるに決まっているからです。

私も過去に意図して仕事の量を減らしたことがあります。でも、それによって何もしない時間が増えるわけではなく、手がけることの種類が新しくて楽しいものや、より興味をもてるものに置き換わっただけでした。

結局のところ、私たちは何もせずにはいられないし、口では忙しいより暇なほうがいいと言いながらも、本当は何かをするのが大好きなのです。

たしかに自分がこの性質をもっていて、おそらく他の人の中にもあると感じたとき、私は次のような仮説を閃きました。

「人生とは何かを手がけること!」

同時に、この一文には、私たちがしあわせでいるための大切な示唆が隠されている予感がしたのです。

なぜならば、日々の「手がけること」が私たちの「人生」を彩っているなら、両者には、

「あらゆることをいい感じで手がけられていれば、人生もしあわせであるはず!」

という簡潔でわかりやすい関係が成り立つからです。

「人生をしあわせなものにするにはどうすればいいか?」の問いはあまりに深遠で、一生かけても解けない感じがします。これに対して、

「どうすれば、あらゆることをいい感じで手がけられるか?」

なら、私にもわかりそうな気がします。そして、先の仮説が的を射ているなら、2つの問いの答えは同じであるはずです。

おそらく「人生をしあわせにする方法」はそれほど多くないと思います。もし、それが真理に迫るものなら唯一無二ということになります。でも、そこにたどり着くための道程は無数にあるでしょう。私は自分の直感を頼りにこの方向に進んで行こうと思います。

まずは、話の途中で混乱しないように「手がけていること」に名前をつけておきましょう。そこには私たちが一日に行うすべてが含まれています。とても「仕事」や「家事」や「趣味」などの分類では表せません。もっと広義の「活動」や「タスク」でも拾いきれないものがありそうです。

そこで「RPG」でおなじみの「ロール」を使ってみようと思います。あのゲームが人生の縮図だとしたら「ロールプレイング」の「role」は、まさにその中でプレイヤーが「手がけること」にあたります。

とくに、オンラインで何年も遊べる最近の大作では、モンスターと戦うだけでなく、お金を稼ぐために内職をして、カジノやコンサートや季節のイベントに出かけ、ストーリーを進めるのに疲れたときは、自分の建てた家で庭の手入れや家具の配置もできます。

これらすべてに優劣や貴賤をつけず「ロール」(role)というひとつの名称で呼ぶ点は、ここまでの文脈にとても合っていると思います。加えてこの単語には「役割」の意味があるところも気に入っています。しかも、責務や任務ほど重くて深刻ではなく、劇の配役を「演じる」くらいの軽さを感じるのもわるくありません。

名前が決まったところで、さっそく「手がけること」改め「ロール」をめぐる探索を始めましょう。最初にこの問いについて考えてみてください。

「私が何をすれば、ひとつのロールは完了するか?」

イメージしやすいように身近な例をあてはめます。あなたの家にパートナーの両親が遊びに来ました。この大切な来客に飲み物を出すとしたらどうでしょう。上の問いは次のように変わります。

「私が何をすれば、来客に一杯の飲み物を出すというロールは完了するか?」

すでに、あなたは台所にいる自分をイメージしながら詳細な手順を挙げているかもしれません。

「冷蔵庫を開け、ペットボトルを取り出し、キャップを開け、2人分のグラスを用意してお茶を注ぎ、お客さんの座るテーブルに持っていけば終わり!」

手順とは「身体を動かす段取り」にほかなりません。つまり、私たちのロールとは「行動」の集まりなのでしょうか。

だとすると、

「私が手を動かせば、来客に一杯の飲み物を出すというロールは完了する!」

ということになります。

何となく、誰もが納得できる答えに見えます。けれども、私はこれだけでは絶対に終わらないと思うのです。

(次章に続く……)

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