うっかりハマった沼を存分に楽しむ。人生何が起こるかわからない。
「シマシマしまね」では、昨年度「偏愛の会」なるものを企画・開催していました。結局2回しか開けなかったのですが、「生活の中で自分だけが持っている、好きで仕方なくてそのことなら何時間でも語れるというもの」、すなわち「偏った愛」を大いにプレゼンしていただこう、という集いです。
その中で私自身は、恥ずかしながら某歌劇団についてプレゼンさせていただいたのですが(皆さん勢いに圧倒されていた)、いま、その時の自分が予想だにしなかった別のものにハマり、まさに「偏った愛」をつのらせているのです…。
その愛の対象は「シンリンオオカミ」。
…え?と思われる方もいらっしゃるでしょう。
私だってまさか自分がシンリンオオカミの沼にハマるなんて思いもしなかったのです。
人生、何があるか分かりませんよ…今日はそんなお話です。
もともと、私がシンリンオオカミにハマるきっかけとなったのがカバでした(そもそも、このきっかけから意味が分からないと言われる)。
あれは今年の4月。いわゆる「ステイホーム」期間のことです。家から出ずに仕事をしていた中で、なんだか心の奥に虚しさを感じ、癒やしを求めていたところにたまたま見かけたのが、北海道・旭山動物園のカバの赤ちゃんの動画でした。
なんというかわいさ!カバの赤ちゃんってこんなにかわいいのか!
幼い頃、一番好きだった岸田衿子さんの絵本「かばくん」。キャベツを丸ごと食べちゃうカバに心ときめかせていた自分を思い出したのです。
それから、私は毎日カバ子(のちの「凪子」)の動画に釘付けになり、家族や友人にも「カバ見てみて!」とおすすめし(たいていは苦笑いされる)、カバの成長とともに日々を過ごしていたのでした。
ゴールデンウィークにもかかわらず閉園中だった旭山動物園では、動物との出会いを楽しみにしているみんなのために、連日インスタライブを実施してくれました。その中でカバのほかに、オオカミの生態や、旭山のオオカミのパック(群れのこと)の紹介があり、もともと犬好きな私は「あ、オオカミかわいい」と心惹かれます。でも、一番私が心を動かされたのは、旭山動物園のオオカミたちをまとめていたαオス(リーダーのこと)・ケン(13歳)の存在でした。
もうかなり高齢で、よぼよぼしていて歩くのもおぼつかないのに、群れをしっかりまとめ、ともすれば反乱を起こすことだってできる(力では全然負けている)自分の子どもたちを統率しているケン。力によってねじ伏せるのではなく、あくまでも「俺がこの群れのみんなを認めているんだから、みんなもそのルールに従え」という、実に社会的な統率力を持つオオカミで、私はその姿に感動し、すっぽりとオオカミ沼にハマったのでした。
以来ずっと動物園が提供してくれる動画を見たり、それには飽き足らず「#シンリンオオカミ」で検索しまくっては誰かが撮影してくれた画像や動画を漁ったり、果ては「#旭山動物園」で検索し、動物園で撮影された親子やカップルの画像を見て「そういうのじゃなくて!オオカミの画像!載せて!」と毒づくほどに。
今ではそこから派生して、日本の動物園にいるシンリンオオカミの顔を見て「これは鹿児島のミナ」「これは富山のシートン」と判別できるまでになりました(自慢)。
先述した旭山動物園のケンは今年の10月、残念ながら亡くなってしまいます。日本中のオオカミ好きの皆さんがケンを悼み、たくさんのメッセージを送っておられて(号泣した)、あらためてその存在の大きさを思い、さらにシンリンオオカミへの愛が深まって、今に至ります。
(スタッフのお子さんが偶然にも今年の冬に旭山動物園に行っていたので、画像をLINEで送ってもらいました!これはワッカ♀です。)
オオカミの画像を見て、それで何だ、と言われたらそうかもしれないのですが、とにかく好きで見たくて応援したくて、その背景や周りのあれこれまで調べあげて…という、これはもう「推し」なですよね。こういう、「説明しづらいけれど、とにかく好きなんだ」というのが偏愛なのではないでしょうか。ああ、今年度偏愛の会があれば、思う存分オオカミの社会性についてプレゼンできるのに!
こんな私の姿を見て、スタッフはアメリカの国立公園で撮影されたオオカミの画像をインスタで見たのを保存して見せてくれ、オットは「そんなに好きなら北海道にGOTOで行って来たら」と半ば呆れて提案してくれました。
周りを巻き込み、呆れられ、それでもただただ愛でたくなる、それが偏愛。コロナ禍がなければ(カバ子に出会わなければ)こんなにハマることもなかった、と思うと、いやあ人生何があるか分からんねえ、と感慨深いものがあります。
皆さんも、普段何気なく暮らしている中で、うっかり想像もしなかった沼にハマることがあるのではないでしょうか。今年は思わぬ趣味と出会ったり、意外なものにときめきを抱くことになった、という方も多いように思います。そんな自分を楽しみ、沼を思う存分味わうことも、暮らしを楽しむコツのひとつだと思います。日々、好きなことへの思いをつのらせ、わくわくして生きる。健康にもいいんじゃないかなあ。
いつかまた、「偏愛の会」をやりたい。その時にはぜひ、皆さまもご参加くださいね。
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