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素敵なものは、素敵。自虐ではない伝え方で。

10日間のお休みをいただき、スタッフそれぞれに島根の外に出かけていたわけですが、帰ってきてあらためて感じた「島根いいなあ」という思いを、そのまま率直に伝えることの大切さについて、今日は綴ってみようと思います。

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私は松江市に暮らしていますが、自分の暮らす街に美しい湖があり、歴史を感じさせるお城があり(しかも天守が現存していて)、夕日や朝焼けを眺めることができる、というのが誇りです。

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いつも、いつでも、私たちのそばにそんな風景が待っていてくれる、ということが幸せでなりません。

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また、少し車を走らせれば思わず声をあげてしまうほどきれいな海があり、逆に山へ向かえば自然の豊かさや厳しさに圧倒される。

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そして、田んぼが広がり、風の通り道を見ることができる…そんな「自然を五感で感じられる」ことも、本当にありがたいなと思っています。

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さらに、自分が暮らすうえで欠かせない場所…例えばお気に入りのスーパーとか、パン屋さん、コーヒーショップ、和菓子屋さん、産直市、カフェ…どれも都会のように「たくさん」あるわけではありませんが、「私はこのお店が好き」というのが決まっています。

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自分の好きなものが手の届くところに確かにある、という感覚は、満たされる気持ちを与えてくれます。

これらのことは、最初の「湖やお城」を除けばどこにでもあるもので、ことさらに外へ向けてアピールできるツールにはならないかもしれません。でも、普通に、身の丈に合った暮らしができること。これが生きていくうえで一番大切なことなんじゃないかと、つくづく感じるのです。

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島根を素敵なところだと、いろんな人がいろんな手法で発信しています。それ自体はとても良いことで、私たちも頑張らなければ!と思うのですが、例えば島根を貶めることで注目してもらう、いわゆる「自虐ネタ」などは、正直理解できません。

自分をおとしめて注目を浴びようとする、その行為自体は広報の手法として否定はできないかもしれませんが、自虐しているあれこれを見るたびにボディブローのようにストレスが積み重ねられていく県民もいるのだ、ということを理解してほしい。

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素敵なものは、「素敵なんですよ」とただ、伝えるだけではだめなんでしょうか。

「島根って本当にいいところなんです」とストレートにただ言い続ける。それじゃあ観光振興にはならないのでしょうか。

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島根の魅力はどう考えても「風景・自然」、「歴史・神話」、「食」だと思います。つまり「風土」なのです。いい温泉があって神話のふるさとで、人々がその中で真面目に働いていて、実直で良い町なんです、ごはんがとっても美味しいんです。そのことをただひたすらに言い続ける、それだけではだめなのかな。

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愚直に言い続けることができず、有名人や都会で流行っているものに頼るような発信をするのはなぜなのか。もしかしたらその理由は、「島根は本当にいいところなんだ」と言い続ける自信がないから、ではないでしょうか。風景も歴史も食の豊かさも、「どこの県にでもあるから特徴にはならない」と思っているから、ではないでしょうか。

どこかと違うオリジナリティを見つけるのはとても大変なので、新しいコンテンツを作るほうが楽だし「やった」感があると思います。でも、そのたびに作って終わり、作って終わり、を繰り返していると、島根って結局何が誇りなの?どこが魅力なの?と、県外の人も、実際に暮らしている人も、混乱してしまうようにも感じます。

自虐を繰り返すことも然り。積み重ねた自虐が県民の肩にのしかかって、「47番目に有名な県ですいません…」という変なオーラがつきまとってしまうことだって、あると思うのです。

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私たちくらしアトリエは地域と暮らしをつなげ、「住んでいる地域を好きになれば、毎日が楽しい」というコンセプトを伝えるために活動しています。

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だから、たとえどこかの地域と同じであっても、どこにでもあるような特徴しかないとしても、「島根っていいところ!」と言い続けています。それは、言い続ける自信があるから。本当に心の底から、いいところだと感じているからです。もちろん利便性には劣るし、先のコラムでも書いたような地域格差も歴然としてあります。でも、それを補って余りある魅力がここにはある、そう確信しているから活動を続けることができるのです。

以前、とあるテレビ番組でヴェネツィアに暮らしている人の引っ越し風景を観たことがあります。ヴェネツィアは車が入れないので引っ越しもすべて手作業。アパートもエレベーターがなかったり狭かったりするので、家具をひとつひとつ窓から吊るして下に運んでいました。途方もない作業です。一度行ったことがあるのですが、冠水もあるし、海のにおいもけっこうあって、住むのは大変そうだなあというイメージの町です。でも引っ越しをしているテレビの中の人は「すごく不便だけど、それを我慢しても十分おつりがくるほど、ここは素敵なところだから」とさらりと答えていました。いいな、と思いました。

素敵なところだと信じて暮らす。魅力に日々気づき、数えながら暮らす。その積み重ねで、地域を見る目は確実に変わってくるはずです。


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美しい風景がたくさんあって、おいしい食が当たり前にあって、ある意味とても濃い、深みのある人間たちがいて、お城があって湖があって、島もあって、神様もいる。そんな、当たり前の「島根っていいところだな」という気持ちを、そのまま素直に発信すること。くらしアトリエ、そして「シマシマしまね」のビジョンの柱として、これからも常に心の真ん中に置いておきたいと、あらためて感じました。


サポートありがとうございます。とてもとても励みになります。 島根を中心としたNPO活動に活用させていただきます。島根での暮らしが、楽しく豊かなものになりますように。