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お話会レポート「素敵な人に会いに行こう!」邑南町 うつわとカフェ「こめじるし」さん

おはようございます。

「素敵な人に会いに行こう!」シリーズの1回目、邑南町のカフェ「こめじるし」さんでのお話会のレポートです。とても実り多い会でしたので、皆さまにぜひ、シェアしておきたいと思います。

8時前に家を出て、2時間ちょっと。

途中道に迷いかけ、江の川沿いの細い細い道(いつも心細くなるけれど景色は抜群)で野ウサギに遭遇したりしながら到着しました。

※ちなみに同じ道で帰りにはサルの家族3匹に会いました!


少し雨もぱらついた1日でしたが、おかげでこめじるしさんの森の緑がより深く、濃く見え、とても美しい風景のもと、米田さんご夫婦にお話をおうかがいすることができました。

まずはカフェ開業への経緯について。

もともと広島でデザインのお仕事をされていたご主人と、コピーライターだった奥さま。ご主人のお祖父さんお祖母さんの家が邑南町にあり、ご主人にとって邑南はとても縁のある土地だったそうです。

あわただしい毎日から少し離れ、何気なく遊びに来たおじいちゃんおばあちゃんの住む町。奥さまは同じような田舎の環境で育ったということで、おふたりとも、なんとなく「ここで暮らしたいな」という気持ちを持たれたとのこと。

おふたりの感性や価値観がとても似ていて、同じものを見て「いいな」と思える、そのことが、島根に住むという決断をするきっかけになったのだと思います。

ほぼノープランで移住を決められたとのことですが、民芸が好きという共通の趣味や、ふらっとお茶を飲むところがないという現状から、「お店をするんだったらこういうのがいいね」というのをご夫婦で話し合ってこられたそうです。

当初からお世話になった移住コーディネーターの方からいろいろな物件を紹介されて、偶然出会ったいまの「こめじるし」の土地に惹かれ、そこからほどなく開業を決められました。

「初めてこの土地を見た時は紅葉の季節で、もみじが燃えるように赤くて」「この土地がほかの人のものになるのはいやだな、と思ったんです」とおふたり。

自然に囲まれたこの場所だから、飲み物はどんなものがいいのか、お菓子はどんなものがいいのか。周りの自然に導かれて、おのずと「自家焙煎のコーヒーとヴィーガンのスイーツ」というかたちができていったのだそうです。

おいしくて楽しくて、なるべく身体にやさしく、地元のものを使ったものを提供すること、というこめじるしさんの核となる部分は、この場所、木々や風、鳥の声や川のせせらぎ…そういった自然のものからかたちづくられたものだったことが分かりました。

生き方として大切にされていることは?という問いに、奥さまが「新しくこの土地に来られた方や若い方たちから刺激をもらうのも楽しいけれど、この地域で歳を重ねて来られた方たちにこそ、尊敬の念を持つべきだと思っている」という話をしてくださいました。

「何もないこの土地で、昔ながらの知恵を持ち、ないところから作り出して暮らしを営んでいる人たち。そういう人が作ったものは、新しいものよりもぐっと説得力がある。そういう面白さをもっと引き出していきたいなと思うんです」と奥さま。

実際に今はご高齢のお祖父さんお祖母さんと同居されているとのこと。こういった考え方ができる方だからこそ、この土地で楽しく、前向きに生活をされてこられたんだなあ…と思います。

ご主人も、島根の魅力は?という問いに対して、「地域とのつながりが深いこと」と話してくださいました。

「行事ごとなど大変なこともたくさんありますが、長い目で見たら自分の子どもたちや孫世代に残していく価値のあることばかり。次の世代へとつなげていく一員に自分がなれているのかな、と思うと嬉しいですね」とご主人。きっと煩わしいこともたくさんあると思うのだけど、ご家族が同じ方向を見据えて一緒に歩んでいるからこそ、この空間、この暮らしができているんだなあと感じました。

そして印象的だったのが、奥さまがおっしゃっていた「この土地で暮らす魅力は"何もない”ということ」というお話でした。

ない、ということは、すなわち自分たちでどうにかする、何かを作り出す、ということにつながる。「ない」から考える、自分たちで作る。それがとても楽しく、「何もないことはとてもわくわくすることなんです!何もないってすごく豊かなことだと思うんです!」と目を輝かせながら話しておられました。

その言葉は、制約こそ最大のチャンス、と常に考えている私たちにも響くものがありました。とかく「ある」と「ない」なら「ある」ほうが偉くて、「ない」ことは貧しいことなのだと思われがちですが、視点を変えるだけでものごとの価値は簡単に変わる。そのことを身をもって実践されているように感じて、すごく心強かったです。

他にもいろいろ素晴らしいお話をしてくださったのですが、全体を通して感じたことは、「こめじるし」という空間が私たちにくれる、何とも言えないのんびりとした時間やおいしいコーヒーやお料理、広がる景色、そのひとつひとつにちゃんと米田さんご夫婦の思いが行き届いているのだということ。

「ふたりともとても臆病なんです」とおっしゃっていましたが、常にお客様のことを考え、大丈夫かな、もっとこうしたらよかったんじゃないかな、とご夫婦で話し合いを重ねてこられているからこそ、誰にとっても心地よい時間を過ごせるカフェになっている。そのことがお話から伝わり、とても腑に落ちた気持ちになりました。

お昼には、特製のサラダとベジシチュー(そら豆や地元産のしめじ、野菜がたっぷり!)。動物性のものは使っていないけれど、とてもコクがあって豊かな味わいに、参加者の方々もびっくりされていました。

食後にはコーヒーに、スタッフが大好きなヴィーガンマフィンも。

自家製のあんこと地元産のきな粉が入った、本当においしいマフィンです。このコーヒーとマフィンのおいしさの中にもお客さまへの思いがぎゅっと詰まっているんだなあ、と思うと、より味わい深く感じました。

米田さんご夫婦には、お忙しい中お時間をとっていただき、とても素敵なお話をたくさん聞かせていただきました。参加された方々も、この空間だからこそ分かったこと、勉強になったことがたくさんあったのではないかと思います。特に今回は、お住まいの地域で何か活動を始めたい、あるいは始めている、という方が参加されていたので、大いに刺激を受けられたのでは、と思います。


楽しすぎてずいぶんと時間オーバーになってしまいました。米田さん、参加者の皆さま、素敵な時間を本当にありがとうございました。



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