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「かわいいランチ」考。

先月開催したうつわイベント「普段のうつわ、ご褒美のうつわ」では、会場に飾っていた「うつわ×暮らし」の写真。
たくさんの方に見ていただきました。

黒板に、ちょっとInstagramの投稿みたいに四角いパネルを貼りつけて、それぞれの窯元や作家さんのうつわにお料理を盛り付けた写真を飾ったのですが、その写真を見てうつわに思いを馳せておられる方がとても多くて、スタッフもとても嬉しかったのでした。

「こんな風に盛り付けたらかわいいね」「こういう使い方もあるのか」という気付きになれば…という思いからのディスプレイでしたが、実はこういうお料理写真は、自主的に時々撮影していたもの。

言うなれば、スタッフたちの「うつわ×暮らし」の日常の積み重ね、なのです。

例えば「翁明窯元」さんのうつわに”おむすびランチ”を盛り付けた写真。

特に背伸びをして作ったものではなく、スタッフ2名がお互いの家で作った「おかず」を持ち寄ったランチです。
事務所のある「オープンスペース.美南」さんにはキッチンがないので、本格的な料理を作ることはできません。
なので、前の日にSlackで「何がある~?」「オクラのごま和えあるよ」「私は卵焼きならできるかな」「じゃあおにぎり作ってくる。黒豆があるから豆ごはん作ろうかな」みたいなやりとりをして、彩り豊かなお昼ごはんをイメージします。
そして当日いろんな盛り付けを試行錯誤して、出来上がったのが「おむすびランチ」の画像。かわいくできた!気がします。

なので、よーく見るとおかずの1品1品はけっこう「その時期の田舎でよく出てくるおかず」です。実際、ごま和えにしたオクラも、煮つけにしたカボチャも、自分の畑で収穫したもの(出雲弁で「あばかんほど採れた(あり余るほど採れた)、というやつです)。

そのままどさっと一品ずつ盛り付けてしまえば「田舎のおかず」ですが、どうしたらかわいくなるかな?というのを考え、うつわの力を大いに借りて盛り付けていく。これが、けっこう楽しい。


こちらはごく最近、思い立って「明日いいお天気みたいだから”かわいいランチ”しようか」ということになり、家にある食材を駆使して作ったお昼ごはん。

スタッフが週末に大山の「コウボパン小さじいち」さんに行って買ってきたカンパーニュと、自宅で先日焼いて冷凍していたかぼちゃのベーグル。
クリームチーズ+ジャムでいただきます。

ジャムは、ちょうどうつわイベントの時に会場にディスプレイとして飾っていた紅玉りんごをジャムにしていたので、「色がかわいいし季節感が出そう」と思い、持ってきたものです。
豆乳の具だくさんスープは、スタッフが以前「シマシマしまね」のワークショップで教わった「重ね煮」で作ったものだそう。「翁明窯元」さんのスープカップに入れると、土のあたたかみが相まって、ほっこり感が増しますね。

パンに添えたサラダは畑で栽培しているルッコラとサラダリーフに、出雲市の「くるみ市」で見かけた「GOOD LIFE FARM」さんのケールをミックス。

ありあわせの持ち寄り、という割には充実したランチになりました。

「この季節でカンパーニュのランチだったら、木のうつわがいいかな」と、合わせたのは松江市の「家具工房en」さんのお皿とフォーク。

「紅葉した葉っぱもあるとかわいいかも」と、自宅の庭から落ち葉を拾い、産直市で買ったりんごもディスプレイに。

事務所からヨイショヨイショと机と椅子を出してきて、事務所の前でぽかぽか陽気の中、撮影しました。

「オープンスペース.美南」さんの和風なお庭の常緑樹たちを背景に撮影すると、ちょっと「深い森の中のランチ」みたいな雰囲気に…。こういうのを考える時がとても楽しい!
見た方が「秋だねえ」「なんかスープが飲みたくなるね」なんて思ってくれたらいいな…と思いながら、葉っぱの位置やお皿の向きをいろいろ修正しつつ撮影。もちろん、最後はおいしくいただきました。

雲南市で活動していた頃も、時々こうした「かわいいランチ」または「かわいいティータイム」を決行していました。

こちらは「畑展望公園」でのランチ風景。
どうやって盛り付けたら、どういう風に撮ったら、「素敵!」「かわいい!」と思うのかをとことん考える良い機会にもなるのです。
撮影の自主練にもなるし、盛り付けやあしらいの訓練にもなり、おいしいお昼が食べられる…私たちにとっては何よりの豊かな時間になります。

ただし、準備はそれなりに大変ですが…何しろ荷物が半端ない量になるのです…この時もテーブルや椅子、食材にカセットコンロと、コンテナを何個もえっちらおっちらと車に運んで繰り出しました。

でも、こうして積み重ねたものを見てくださった方が、写真のお仕事をくださる、というパターンもたまにあったりするのです。

こちらは邑南町の川角集落にある「天国に一番近い里」にて。
満開の花桃の木々を眺めながらお弁当を食べよう!というコンセプトで、パンにサラダ、ジャムやピーナッツバター、そしてコーヒーを持ち寄りました。この時はピクニックっぽくしたいなと思っていたので、お皿もホーローのもので、下にはレジャーシートを敷いてアウトドアっぽく。

…こうして振り返ると、「かわいいランチ」には風景の魅力も大いに影響している、というのが分かりますね。
素敵な風景とおいしいごはん。これぞ、地方で暮らす醍醐味です。そこに自分たちならではの「このうつわを合わせたい」や「小物で季節感を出したい」という思いが折り重なって、「かわいいランチ」へと向かっていくのかもしれません。

パンや野菜などを作ってくださる作り手の方々や、うつわを作られる窯元・作家さん。そして、地元の愛すべき風景。そんな「大切なものたち」のおかげで、私たちの「かわいいランチ」は成り立っているのかな、というのを、こうして振り返ってあらためて実感しました。

テーブルコーディネートを学んだり、盛りつけの勉強をしたり、といったことはしていなくても、自分たちの流儀で構わない。「これにこれを合わせたらいいかも」みたいな試みをまずやってみる、というのが楽しいですよね。

自分たちなりに活動の中で積み重ねてきた「うつわ選び」や「食材の組み合わせ」「季節感の出し方」などを試行錯誤しながら、楽しみつつ表現・発信していけたら、と思います。

これから少しずつ寒くなりますが、また「暮らし×うつわ×地元の食材×地元の風景」という公式を使って、かわいいランチから生まれる化学反応を楽しもうと思います。

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