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「うつわにまつわるエピソード」vol.5 長く愛するうつわ

おはようございます。

オンラインイベント「うつわと暮らしを楽しむ秋」も残りわずかとなりました。なんだかちょっと寂しいね…とスタッフで話しながら、昨日も発送作業を行ったり、ミニ蚤の市に出す食器を整理したりしました。

マーケットへのご予約もいただいています。引き続き、よろしくお願いいたします。たっぷりと予約枠を取っておりますので、お時間きっかりにお越しいただかなくても大丈夫ですし、ギリギリにご予約をいただいてもかまいませんので、お気軽にお越しくださいね。


さて、うつわにまつわるエピソードの第5弾。一応、今日が最終となります。
ご紹介するのは3つの物語です。


まず、メドックさん。素敵なうつわを紹介していただきました!

「実家の蔵を解くことになり、片付けていた食器の中から、このエッグベーカーを見つけたとき、お祭りの日の台所の風景がよみがえりました。

エッグベーカー1修正済み


茶碗蒸しの具材を一緒に並べた祖母の笑顔や、お吸い物用のはんぺんを手品のように花の形に切る母の姿など、次々に浮かんできました。
実家では、定番のごちそうに加えて、何故かエッグベーカーの卵焼きも並びました。子ども心に、この器の色合いとフォルムがなんともおしゃれだなあと感じていました。
エッグベーカーの中身は、卵焼き(目玉焼き)だと分かっているのに、蓋を開けるときにはわくわくしたものです。
蓋を開けるときの特別感もお祭りの演出なのかもしれませんね。

エッグベーカー2修正済み

今はこのエッグベーカー、我が家の食卓で、卵だけでなくスイーツを入れたりするおしゃれな器として活躍してくれています。」

おばあさま、お母さま、そしてメドックさんと、受け継がれた素敵なエッグベーカー。メドックさんがお持ちのものは出西窯のものでしょうか…。私自身は、初めて島根のうつわに触れたのが湯町窯さんのエッグベーカーでした。こんな食器で朝ごはん作れたらいいな~、と憧れの思いで手に取ったのを覚えています。普段は「何にでも活用できる使い勝手の良さ」をうつわには求めてしまいがちですが、こうした「〇〇専用」のような作品にも惹かれますね。メドックさんのようにスイーツを入れたりしても素敵。あしらいも趣があって、暮らしを楽しんでいらっしゃるようすが伝わりました。


次に、いつもデザインのお仕事でお世話になっている、岡山・蒜山の「ユキミドリ」石賀さん。

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アロマスプレーや化粧水など、ご自身のライフワークである香りのお仕事と、お住まいの土地である蒜山とをつなげながら、地域にかかわる活動もどんどん広げていらっしゃいます。

石賀さん3修正済み

そんな石賀さんのエピソードはこちら。

「蒜山の伝統工芸品のひとつ、郷原漆器の器です。

古いもののようで、漆もぼってりと厚みがあり、武骨な佇まいのなかのあたたかみ、のようなものにとても惹かれます。どんな方が木地を引いて、どんな方が漆を塗られたのかな、もしかして技術を習得する前の手習いの器なんだろうかとか、生活の中で使われてきた様子など…想像(妄想w)は膨らみます。屋根裏で見つけたときは、まるで宝物を発見した気分でした!

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主人のひいおじいさんが郷原漆器にかかわっていたという経緯もあり、我が家のルーツを垣間見た気もしました。

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ちょっと大げさですが、古い器はわたしたちをタイムトラベルに誘ってくれますね。普段はスコーンなど手作りのお菓子を盛って楽しんでいます。
大切に引き継いでいきたい器です。」

とても素敵な形のうつわで、うっとりしますね。写真に撮っていただいたスコーンやマフィン、お月見団子も石賀さんの手作りで、ぽってりとした質感ととてもよく合っているなあと思います。
以前お伝えした「出西窯」のうつわもそうですが、住んでいる土地で長く息づいている手仕事が、家庭でも長く受け継がれて手に渡る、というのは、ある意味奇跡のようなこと。大切に、次の世代に受け継いでいかれることでしょう。皆さんのお住まいの地域にも、こうした受け継がれる手仕事があるのではないでしょうか。いま一度、周りを見渡してみるのも良いですね。


次に、「studio.美南」の安達さんです。

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来週12日~14日に開催するうつわマーケットの会場を管理されているオーナーさんでもあります!ふんわりとした雰囲気で、いつもやわらかな言葉で思いを綴ってくださり、「この方たちが携わっている場所でイベントができたらいいな」と思い、お願いさせていただいたのでした。

そんな安達さんのエピソードはこちら。

「学生時代に友人から貰ったお茶碗です。
友人は、本当に良いものや大切なものは長い時間をかけて少しずつその良さや大切さが分かっていくものを言うんだ、というような話をする人だった気がします。

美南安達さん修正済み

結婚してこのお茶碗は実家に置いておく組になり、実家でごはんを食べる時に使うお茶碗になりました。

たまに使っているとふと、ザラザラした手触り、重さ、丸みのある形の向こうにその友人を思い出すことがあります。

私は建築設計と環境デザインの仕事をしています。

デザインを考える上で選択を悩んだ時にはできるだけ遠い未来を想像します。

長い時間をかけて少しずつ良いなぁ大切だなぁと感じるような建築、うつわ、人が好きなんだと思います。」

うつわを手に取って大切な人を思い出す…ああ、自分にもそういうことあるなあ、と思い出しました。手で触ったり、実際に使ったりする、その行為は記憶と結びついているのですね。長い時間をかけて愛せるのも、うつわの良いところ。いまよりもちょっとていねいに扱っていきたいな…と思わせていただけたような気がします。
打ち合わせなどで美南の古民家にお邪魔すると、いつも素敵なおもてなしをしてくださる安達さん。そのやわらかな空気感が、古民家にも流れているように感じています。お越しになる皆さまも、ぜひその流れる空気を感じてみてくださいね。

うつわには物語があり、その物語をこうしてシェアさせていただくことで、自分の暮らしもまたちょっと輝いて見えたり、あらためて気づかされたり。単なる「物」ではあるけれど、やっぱり手に持つと伝わるものがある…うつわって本当に不思議な存在だなあ、と感じています。

皆さまのエピソードを通じて素敵な物語を共有させていただき、また楽しませていただきました。ありがとうございました!


オンラインイベント「うつわと暮らしを楽しむ秋」は残りあと4日ほど。また、直接うつわを見ていただけるマーケットは11月12日~14日、出雲市斐川町で開催いたします。

詳細はこちらから。お気軽にお問い合わせくださいね。


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